私のミッション・ビジョン・バリュー2023年第11回 内田優晟選手「世界中の人を笑顔に」

水戸ホーリーホック
チーム・協会

【ⒸMITOHOLLYHOCK】

水戸ホーリーホックでは、プロサッカークラブとして初めての試みとなるプロ選手を対象とした「社会に貢献する人材育成」「人間的成長のサポート」「プロアスリートの価値向上」を目的とするプロジェクト「Make Value Project」を実施しています。

多様性と交流を基盤に、様々な業種の講師を招聘し、異業種の方々の価値観や使命感に触れることで、プロアスリートとしての存在意義や社会的な存在価値を選手たちに問い続けます。

その一環として、キャリアコーチと選手が継続的に面談をして「ミッション」「ビジョン」「バリュー」の策定をする取り組みが昨年から行われています。

ミッション・・・社会の中での自分の役割
ビジョン・・・ミッションを実現した理想の未来像
バリュー・・・日々のこだわり、行動指針

原体験を振り返り、自らのサッカー選手であるうえのスタンスや価値観、使命感を見つめなおすことでピッチ内外でのパフォーマンス、言動、行動の質の向上につなげていこうという取り組みです。

2023年も選手・スタッフの今季策定した「ミッション」「ビジョン」「バリュー」を紹介していきます。
2023年第11回は内田優晟選手です。

(取材・構成 佐藤拓也)

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Q.MVVを作成するために面談はどのぐらい行いましたか?
「1回30分から1時間の面談を5回行いました。最初はミッション・ビジョン・バリューがどういうものなのかを説明していただき、そこからどういう思いでサッカーをしてきたのかとか、サッカーの時に出てくる感情をいくつか出して、その時の経験に気持ちをあてはめながら共通する言葉を出していきました」

Q.自分の思いや経験を第三者に話をする経験はいかがでしたか?
「自分の思いを整理できたし、聞かれないと考えないこともあったので、そこで考えることができて、自分の潜在的な思いを探ることができました。新たな自分の中身を知ることができたという印象ですね」

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Q.まずはミッションについて聞かせてください。「周りの人を笑顔にできる選手・人になる」と「地元・石岡市をホームタウンにする」の2つですね。まず1つ目の言葉の思いは?
「僕らは人前で行う仕事なので、見てくれる方を笑顔にしたいという思いが強いです。そして、自分が見る立場だった時、選手がゴールを決めたら自然と笑顔になっていたんですよ。その時、幸せな気持ちになるんです。サポーターやファンの方々と話をすると、応援しているチームが勝つと、その週は仕事や勉強を頑張れるという話をよくされます。だから、そういう方々を笑顔にできる選手になりたいと思っています」

Q.プロになってからこういう思いを抱くようになったのでしょうか? それとも、プロを目指している時から『こういう選手になりたい』と思っていたのでしょうか?
「子供の頃から親に喜んでもらいたいし、笑顔になってもらいたいと思ってプレーしていました。チームメイトともサッカーを楽しみながら、笑顔でなりたいと思っていました。プロになって、応援してくれる方が多くなった中でさらにそういう思いが強くなりましたし、明確になりました」

Q.過去に周りを笑顔にした経験はありますか?
「一つはユースでチームがプリンスリーグ昇格を決めた時ですね。両親も笑顔でしたし、見に来てくれた友達もチームメイトも、監督もコーチングスタッフもみんな笑顔でした。試合後のロッカールームはみんなずっと笑っていました。小学生の時もいろんな大会で優勝した時、みんなが笑顔になっていました」

Q.やはり、勝利やゴールが人を笑顔にするんですね。
「それが一番ですね。FWというポジションは勝負を決める役割を担っていると思っているので、その思いを強く持っています」

Q.2つ目は「地元・石岡市をホームタウンにする」という言葉ですが。
「昨年、クラブはホームタウンをそれまでの9市町村から15市町村に広域化したのですが、石岡市は入っていないんですよ。石岡市に住んでいるサポーターの方もいますし、スポンサーの中に石岡市の企業もありますし、自分は昨年までずっと石岡市に住んでいたので、石岡市をホームタウンにして、もっと石岡市の人に試合を見てもらいたいと思って、この言葉を選びました」

Q.石岡市出身のJリーガーはいますか?
「僕の知るところでは、現在ジュニアユース監督の飯田優二さんと柏レイソルの大嶽拓馬さん(現在ヴェルスパ大分に期限付き移籍中)ですね」

Q.石岡市出身の方は地元愛が強いですよね。
「強いですね。お祭りが盛んですし、地元への愛着が強い人が多いですね。ユース時代、同じ学年には石岡市出身の選手が4人いましたし、今の高校3年生にも2人いるんです。ジュニアユースにも数人いるみたいですし、アカデミーでつながりが強くなっていますね」

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Q.次はビジョンについて聞かせてください。「1人1人が笑顔で楽しくいられて、周りが明るく豊かになる」。ミッションからつながっているように感じるのですが、こちらは?
「まず、楽しくサッカーをすることを大切にしています。そして、その姿を多くの人に見てもらいたい。楽しんでいたら、必然的に笑顔になれると思うし、それを見ている人も笑顔にって雰囲気が明るくなると思うんです」

Q.楽しくサッカーができている時はどういう時でしょうか?
「僕はあまり感情を表に出さないタイプなのですが(笑)、常に楽しくサッカーしているんです。子供の頃と比べて、『楽しい』の意味は変わったかもしれませんが、それでも、とにかくサッカーが楽しんです。プロになって周りのレベルが高くなって、もっとサッカーが楽しくなりました。もうちょっとその感情を出せるようになるといいのですが(笑)」

Q.プロは結果を求められる世界です。それでも、『楽しむ』ことは忘れてはいけないですよね。
「むしろ、『楽しい』と思っていないとやれない仕事だと思っています」

Q.「周りが明るく豊かになる」の「豊かになる」という言葉にはどんな思いが込められていますか?
「サポーターの方々に対しては、試合に勝つことによって、笑生活の活力を与えることができると思いますし、グッズ等が売れることによってクラブに対して経済的な貢献ができる。そして、チームの調子がいいと、選手は楽しくプレーできるんです。それでいろんなプレーにトライできるようになり、さらに成長できるようになる。そういったことを『豊か』という言葉で表現しました」

Q.プロである指針みたいな感じですね。
「その通りです」

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Q.では、バリューについて聞かせてください。2つありますが、1つ目は「ゴールを決めて活躍し期待に応える」です。
「まず、FWとしてゴールを決めることが仕事です。だからこそ、そこはこだわらないといけない。あとはユース時代にたくさん点を取ったことを評価していただき、トップ昇格できたと思っています。だからこそ、トップでも点を取ることによって期待に応えたいと思っています。そして、サポーターの方や親や家族からの期待にも応えたいという思いを込めました」

Q.結果を出すためにトライしていることはありますか?
「まずは練習中にゴールの意識を強く持つことです。まだできてはいないですけど、チーム内で毎日一番多くシュートを打ちたいと思っています。あとは自主練習でいろんな蹴り方でシュートを打ったり、GKからアドバイスを聞いたりして勉強しています」

Q.練習試合ではゴールという結果を残せるようになってきています。自身の中で変化や手ごたえを感じていますか?
「練習試合は点を取り続けないといけないと思っています。第35節仙台戦でリーグ戦デビューを飾ることができたんですけど、その3週間前ぐらいから練習試合で点を取ることができるようになったんです。天皇杯に出場した前も点を取ることができていました。だからこそ、練習試合で結果を出し続けることが大事だということをあらためて感じています」

Q.「期待」というところにおいて、内田選手はアカデミー出身選手としての期待も背負っていると思いますが、どのように捉えていますか?
「ユース時代に県リーグの得点記録を作ったからには、トップチームでも活躍しないといけないといけないと思っています。自分もユース時代はトップ昇格した選手を目標に頑張っていたので、今のアカデミーの選手たちもそう思ってくれているはずなので、そういう意味で、僕らがトップチームで活躍してより大きな可能性を感じてもらいたいし、夢を与えたいという思いが強いです」

Q.ユース時代、県リーグで日本代表FW上田綺世選手の得点記録に並ぶ結果を残しました。内田選手にとって、上田選手は意識する存在ですか?
「ユース時代、記録が追いつきそうな時は上田選手の鹿島アントラーズ時代のゴール集をかなり見ましたね。上田選手は常にゴールを意識してプレーしている。ボールを受けたら絶対に前を向きますし、シュートの時は足を振り切る。とにかくシュート数が多い。あと、身体能力の高さは世界でも通用しているので、すごいと思います。大きな差を感じています」

Q.とはいえ、追いつきたい存在ですね。
「そうですね。その思いは強いです」

Q.そして、もう一つは「楽しく笑顔でいる、サッカーに向き合う真剣さ」。
「サッカーが好きで楽しくプレーしていますし、サッカーは楽しくプレーするものだと思っています。でも、勝負の世界なので、メリハリも必要。上達するためには楽しくプレーすることも大事ですけど、真剣さがないといけない。ユース時代よりも何倍も真剣にサッカーに打ち込んでいますし、本当に厳しい世界で生きているという自覚を持たないといけないと思っています。その両方を大切にしたいという思いですね」

Q.プロになってから自分の中で変えたことはありますか?
「止める・蹴るという基礎はプロになったからこそ、より大事だということを気づかされています。本当に細かいところが勝負を分ける。あとは味方の動きを見ることもより意識するようになりました。相当集中しないとついていけないですね」

Q.生活面などピッチ外での変化はありますか?
「高校時代と比べて自由な時間が増えたからこそ、よりサッカーに集中して取り組むことができています。ただ、もっと真剣にならないといけないとも感じています」

Q.そういう面で影響を受けている選手はいますか?
「朝早くクラブハウスに来て体の準備をしている選手は何人もいますし、オフの日にケアを受けている選手やパーソナルでトレーニングしている選手もいるので、そういったことは勉強になっています。僕は高卒1年目なので、全員が先輩です。すべてを参考にさせてもらっています」

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Q.最後にスローガンについて聞かせてください。「世界中の人を笑顔に」。ずっと「笑顔」という言葉が出てきますが、最後はさらに大きな視野になっていますね。
「『世界中』という言葉を使っていますが、海外などの世界というよりも、『誰もが』という意味が込められています。サッカーが好きな人だけでなく、サッカーを好きでない人も、水戸に関わってくれている人も関わってくれていない人も自分のプレーで笑顔にさせられるような選手になりたい」

Q.そのためにも大きな結果を出すことが求められますね。
「サッカーを知らない人も自分のことを知らない人も、新聞やテレビで活躍が取り上げられたら、知ってくれると思うんです。誰に対しても届くぐらいの活躍をしたい。そういう意味で『世界中』という言葉を使いました」

Q.FWというポジションは笑顔にしやすいポジションですね。
「そう思います。どんな形でもゴール一つで多くの人を笑顔にできるポジションなんです。そういう自覚を自分の中でしっかり持つための言葉でもあります」

Q.残り試合は少なくなりましたが、シーズン最終盤に向けての意気込みを聞かせてください。
「今シーズン、チーム内で最も試合に関われていませんが、残り2試合はまず試合に出ることを目標に、日々の練習から全力でアピールしていきたい。もし出られなかったとしても、全員で水戸らしさを体現できるような試合をして、サポーターのみなさんの期待に応えたいと思っています」
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著者プロフィール

Jリーグ所属の水戸ホーリーホックの公式アカウントです。 1994年にサッカークラブFC水戸として発足。1997年にプリマハムFC土浦と合併し、チーム名を水戸ホーリーホックと改称。2000年にJリーグ入会を果たした。ホーリーホックとは、英語で「葵」を意味。徳川御三家の一つである水戸藩の家紋(葵)から引用したもので、誰からも愛され親しまれ、そして強固な意志を持ったチームになることを目標にしている。

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