大接近・大混戦 申ジエ-ライバルに感謝
申 ジエ 【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】
さぁ、これからが面白い。今大会を含め、残り5戦。年間女王争いは風雲急を告げている。メルセデス・ランキングは現在、申ジエが1位。2位の山下美夢有との差は、20.82ポイントだ。近年にないデッドヒート、見逃す手はない。
この日、申ジエは10番後方のパッティンググリーンで最終調整。「きのうがプロアマトーナメント。通常とは違うパターンです。変化があって、とてもいい。私は好きですよ」とうれしそうに語り始めた。選手でにぎわう、クラブハウス前の練習グリーンではなく、あえて静かなグリーンを選択。
【写真:JLPGA】
「とてもグリーンがきれい。とても速い。パッティングとグリーンまわりがポイントになるでしょう。優勝へのカギになる」と解説した。韓国でツアー出場、自身のジュニア大会などで3週ぶりのJLPGAツアー復帰である。その間、メルセデス・ポイント1位は変わりがなかったものの、2位・山下が猛追。「いい(タイトル)レースができる。山下さんだけではなく、選手みんなが毎試合、頑張っている。この緊張感がたまらなく好きです。もちろん、私も最後までベストをつくして、タイトルをとりたい」といい、「きっと今年は、最終戦までファンの皆さんが楽しんでくださるでしょう」と、他人事のように話している。
【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】
ということで、「本音は全試合へ出場したい。でも、今年、出場試合を絞って、しっかり体のメンテナンスをしながら、ベストの姿を皆さんに披露する。もう、私も20歳ではありません。若い頃、がむしゃらに走って頂点を目指した。だけど、いつも孤独で楽しいと感じたことは一度もない。今、一緒に戦っている日本の選手へ私ができることは、今までとは違ったスタイルを残すことです。ベテランと呼ばれる年齢になっても、ここまでできる。そんな姿を見て、将来の参考にしてくださればうれしい。その気持ちで今年は開幕から戦ってきた」。はるか彼方に視線を投げながら語っている。
さらには、現実味を帯びてきた24年パリオリンピックへも、意気込みを。「来年、JLPGAツアーはもちろんだけど、USLPGAツアーへ出場が増えるかもしれない。私にとって、パリオリンピックはラストチャンスになるかも…。すでに過去、優勝した大会などで推薦をくださる-そんな話が出ています」。もっか、ワールドランキング15位で、韓国勢では3番手につけている。
うれしい悩みが続々と出てきた。選択肢は多ければ、パワーの源となる。今大会は2年ぶり9回目の出場。16年に優勝を飾っている。もちろん、相性の良さを実感。「クラブハウスでいただく、朝食がとてもおいしい。最終日まで、しっかり体力を蓄えなくてはいけませんね。私にはたくさんのライバルがいます。実にありがたい。ライバルがいれば、成長はとまりませんよ」と、大きくうなずいた。 (青木 政司)
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