川崎フロンターレが安定の強さを見せつけJ1で3連覇を達成
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※当記事はJリーグ マネジメントカップ2022調査レポートに掲載した内容を一部改訂して転載しています。
Jリーグ マネジメントカップ2022のJ1優勝クラブは川崎フロンターレの3連覇
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平均入場者数・スタジアム集客率
平均入場者数は前年比+7,026人(+111.7%)の13,318人で、増加率トップ3の浦和、G大阪、FC東京は、それぞれ+210.6%(+16,124人)、+200.2%(+10,655人)、+199.6%(+13,272人)でした。入場制限がシーズン開始時から撤廃され、徐々に各クラブが本来の集客力を発揮できるようになってきた一方で、コロナ禍前の2019年比では平均72.9%となっており、引き続き警戒感が強いファンも一定数いたことが推察されます。そんな中、唯一2019年より入場者数を増やした清水は、国立競技場で行われたクラブ創立30周年記念マッチの入場者数(56,131人)が平均を大きく押し上げています。
スタジアム集客率は全18クラブで前年比プラス、平均は前年比+20.1P(+89.8%)の42.4%となり、入場制限などの影響が残っていた昨シーズンから大幅に増加する結果でした。川崎Fだけは66.0%(+39.5P)と60%超となり、58.3%(+24.5P)の清水、55.4%(+27.5P)の柏など、ホームスタジアムの収容可能人数が20,000人前後の比較的コンパクトな5つのクラブが50%以上を記録し、ファン・サポーターのスタジアムへの回帰がうかがえます。今後はコロナ禍以前と同程度の平均60%程度に回復が期待されます。スタジアムに戻ってきたファン・サポーターを離さないようなBM施策が、より一層重要となりそうです。
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客単価
クラブ別では、入場者数の増加を背景として全18クラブ中14クラブが昨シーズンを下回り、昨シーズントップの川崎Fも大幅な入場者増に伴いグッズ単価の水準は大きく下げたもののチケット単価の減少幅はさほど大きくなく、全体ではコロナ禍前水準を大きく上回りました。
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勝点1あたり入場料収入
入場収入について見ると、平均は前年比+7.9百万円(+102.3%)の15.6百万円でした。入場制限のない運営が可能となったことで、コロナ禍前の2019年シーズンのJ1平均(20.6百万円)に近い水準まで回復しています。
トップは浦和で、前年比+22.1百万円(+221.8%)の32.0百万円でした。J1で平均入場者数が1位で、入場料収入が前年比+813百万円(+129.9%)であったことが要因と考えられます。FM面で勝点が63から45と大幅に減少したことも本KPIを押し上げる要因となっており、ファン・サポーターの観点からは課題の残る結果です。
また、本KPIの順位が下位となった広島、湘南は、それぞれ入場料収入を前年比+54.6%の405百万円、+61.6%の370百万円と増加した中で、勝点も49から55、37から41へと積み上げ、ファン・サポーター側から見ても応援するクラブが勝つことにより顧客満足度が上がっており、バランスの取れた経営が行われているといえます。
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SNSフォロワー数・SNSフォロワー数増減率
フォロワー数の平均は前年比+79,579人(+19.9%)の479,881人でした。トップは140万人を突破したC大阪で、6シーズン連続での1位。2位の川崎Fは14万人以上伸ばし、100万人を突破した2つめのクラブとなり、堅調な成長を遂げています。
リーグ全体ではTikTokのフォロワー数増加が目立っており、川崎Fは約4.7万人、FC東京は3.2万人、横浜FMは約2.4万人を新規獲得しています。2023年1月までに横浜FM・湘南・清水・名古屋・福岡の5クラブが新たにアカウントを開設するなど、若年層への接点の拡大を狙うJ1各クラブのTikTokへの進出が加速しています。
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総フォロワー数が100万人を超えた川崎Fは増加率でも4位を記録と好調でした。特に影響が大きかったのはクラブOBの三笘選手、田中碧選手が2022年W杯で日本のベスト16進出に大きく貢献し、前所属先としてクラブが大きな注目を集めたことが挙げられます。
売上高・自己資本比率
売上高の平均は、前年比+705百万円(+16.9%)の4,864百万円となり、昨シーズンに引き続き増収トレンドでした。入場制限の緩和に伴い、入場料収入が+305百万円(+76.5%)、物販収入が+53百万円(+14.6%)の増収となっています。
1位の浦和は、入場料収入が前年比+813百万円(+129.9%)、物販収入が+278百万円(+33.1%)と大きく増加したことに加え、スポンサー収入はクラブとして過去最大の規模となっています。積極的な新規パートナー企業の獲得に向けた営業活動やグッズ事業の強化など、バランスの取れたBM面の取り組みの成果でしょう。川崎Fは過去最高の売上高を更新した昨年に比べて▲3百万円とわずかに及ばなかったものの、2位の売上高となりました。入場料収入やスポンサー収入が増収となった一方で、移籍金や賞金で構成されるその他収入が▲638百万円と大幅に減少したことが要因です。
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債務超過となった4クラブのうち鳥栖は増資による当期利益の発生により、本KPIの値が大きく改善しました。
いずれのクラブも2022年のクラブライセンス判定の猶予期間と2023年の特例措置により、ライセンスは維持されていますが、その先は増資などで状況が改善しなければライセンス取消しとなる可能性があるため、収益の確保と資本の増強は待ったなしの状況となっています。
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