グルメにイベント。モンテディオ山形のスタジアム滞在の充実度が高い。
グルメにイベント。モンテディオ山形のスタジアム滞在の充実度が高い。
それを象徴するかのように、家族向けのサービスを充実させているのが、J2・モンテディオ山形。ホームゲームが行われるスタジアムは、Jリーグ最大級のスタジアムグルメを中心に、一日中楽しめる工夫が施されている。実際にNDソフトスタジアム山形を訪れると、そこは『サッカー観戦』以外の魅力が溢れる空間だった。
山形県総合運動公園内にあるNDソフトスタジアム山形。東京ドーム約12個分の広さを持つ自然豊かな公園は、モンテディオ山形が山形県から指定管理を受けて運営を行っている。スタジアムに向かい並木道を抜けた先に広がるのは、圧巻のスタジアムグルメ、通称『ブルーキッチン』。スタジアムグルメの定番品だけでなく、『餃子』『ビール』『山形宮城物産グルメ市』など、毎試合趣向を凝らしたキッチンカーには絶えず行列ができている。スタグルとしては珍しい『パン祭り』など、既存の枠組みに囚われない豊富な企画力が売りだ。「今回はどんなグルメが出てるのかな…」と楽しみにしているファン・サポーターも多く、こうした飽きさせない工夫が何度もこのスタジアムに足を運ばせる。
グルメだけでも十分楽しめるラインナップ 【©MONTEDIO YAMAGATA】
事前の期待を大きく上回る見た目のクオリティ、味に驚きを隠せなかった。
筆者が一品目に選んだのは『ラーメン』
実は山形県内は一人あたりのラーメン消費量が全国1位で、ラーメン県とまで言われている。そんなラーメン好きの県民も一目置くのがこちらの中華そば『雲ノ糸』。小さいこどもからお年寄りまで幅広い世代に愛される一品は、くどくなく絶妙なバランスの煮干しスープと小麦の香りたっぷりの自家製麺が特徴。
一度食べたら忘れられない味だった。
日本一のラーメン消費量を誇る山形のラーメンがスタジアムでも楽しめる 【©MONTEDIO YAMAGATA】
これは食べるしかないということでいただいたのが『牛ハラミステーキ丼』。
高級ランクとして名高い山形牛を贅沢に使用したステーキ丼。この価格でスタジアムで食べられるのはきっと他を探しても山形だけだろう。アウェイで訪れているサポーターの方も行列に並んでいたのも頷ける。言うまでもないが、味はぴかいちだった。
スタジアムでこのレベルのステーキが味わえる 【©MONTEDIO YAMAGATA】
山形といえば、さくらんぼや桃、ラ・フランスなど果物も有名な地域。
残念ながら筆者は食べることはできなかったが、なんでも実店舗では常に開店まもなく売り切れになり、個数制限まで設けられるほどの爆発的人気商品だそう。次の機会があれば是非とも食べてみたい一品だ。
果物王国山形の絶品のフルーツがこれでもかと挟まれている 【©MONTEDIO YAMAGATA】
スタジアムでゆったりとした時間を... 【©MONTEDIO YAMAGATA】
年に数回行われる『ファミリーデー』には、こどもたちが大好きな“はたらくくるま”が大集合。ダンプカー、はしご車、パトカーなどの定番だけでなく、コンクリートミキサー車など本格的な車も集まる本気度。その他にも恐竜イベントやスーパーカーフェスティバルなどは、大人も一緒になって楽しむことができ、こどもたちにとっても貴重な体験になること間違いなしのイベントになっている。
子どもも楽しめるイベントが盛りだくさん 【©MONTEDIO YAMAGATA】
そしてイベントと連動してスタグルも毎試合企画が変わっていくそうだ。こうしたこだわりが来場者のリピート率を高めるのは間違いないが、同時にお客さんの期待は上がり続けるのも否めない。クラブとしての営業努力は常に問われるだろう。
忘れがちだが、スタジアムの中も素晴らしい雰囲気だった。試合直前の映像や光の演出(筆者が訪れた試合がナイター試合だったため)には気持ちの高ぶりを感じた。
応援席とされるゴール裏にはたくさんのこどもサポーターが旗を振り、声を出して応援をしている。ゴール裏以外の一般席でも、入場時に配布された応援ハリセンを叩き応援する文化が根付いていて、スタジアム全体がホームチームの雰囲気をつくりだしていた。こどもや新規観戦者を迎え入れる優しさを持ったサポーターの存在も一つこのクラブの特徴なのではないか。
一部の試合では、小中高生は無料 【©MONTEDIO YAMAGATA】
はじめての方でも安心「初観戦サポート窓口」 【©MONTEDIO YAMAGATA】
10月29日群馬戦は、はじめての試みとして『コーヒーフェスティバル』が開催されるそうだ。この日限定のコーヒーショップも多数出店が決まっているとのことで、コーヒー好きにはたまらない。
11月12日甲府戦がリーグ戦最終節。ここでの注目は来場者12,000名に配布される来場者プレゼントだ。シーズン開幕戦ではユニフォーム型のフランネル素材で制作した『着るモンチョ』を来場者に配布するなど、何かとプレゼント選定がユニークなクラブとして有名なモンテディオ山形。
今年のシーズン最終戦では来場者に『エスキモーキャップ』がプレゼントされるとのこと。エスキモーと聞いてもピンと来ない人もいるだろう。筆者もだ。
今年の最終戦は「エスキモーキャップ」プレゼント 【©MONTEDIO YAMAGATA】
さて、そろそろまとめに入りたい。
ここまで読んでいただいた方も感じている通り、実際に筆者がNDソフトスタジアム山形を訪れた際、「サッカースタジアムらしくない」雰囲気を感じた。
「サッカーの試合観戦をしなくてもいいのではないか?」と思わせるほどにモンテディオ山形のホームゲームのイベントは充実している。実際、NDソフトスタジアム山形の場合、スタジアム内よりもスタジアム外の方が人が多く滞在しているというデータもあるそうだ。
しかし、それでいいのだ。
サッカーを観てほしいと思うのは、サッカー好きのエゴなのかもしれない。楽しみ方は人それぞれ。休日のお出かけ先は、“大切な人たちと一緒に楽しめる空間”であることが大事なのだと、1つのJリーグチームから思い知らされた。
この記事を通して一人でもモンテディオ山形の“観戦”のきっかけになったのであればこの上ない喜びだ。
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