横浜の瀬谷で10月に開催されるビーチサッカーのイベント 秘める魅力に限界なき競技は肉眼での観戦がベスト
強い日差しが照りつける炎天下で、オーバーヘッドキックが何度も披露された 【写真撮影:Takuhei Minami】
砂浜で一つのボールを追いかけ繰り広げられる、アクロバティックなフットボール「ビーチサッカー」。ビーチサッカーと聞くと反射的に浜辺など波打ち際を連想しがちだが、関東ビーチサッカーリーグ1部の会場で海辺にあるのは平塚ビーチパーク(神奈川県平塚市)のみで、ほかは横浜市瀬谷区、東京都立川市、埼玉県さいたま市、千葉県美浜区と“内陸”でもビーチサッカーは開催されている。
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サッカーのハイライトが凝縮された競技がビーチサッカー
バモス・ア・ラ・カーサとの試合に臨んだレーヴェ横浜の選手 【写真撮影:Takuhei Minami】
横浜市瀬谷区をホームタウンとするレーヴェ横浜がこの日対戦したのは、千葉市美浜区の「バモス・ア・ラ・カーサ」。千葉市幕張、稲毛をホームグラウンドにしているチームだ。強い日差しが降り注ぐ午前10時に始まった試合は、レーヴェ横浜が 4-3 で接戦を制した。負傷して戦列を離れている選手が複数いて100%の戦力を整えられず、控え選手の数が相手より少ない状況での対戦。フィールドプレーヤーの松田康佑は負傷明けでなく、怪我が癒えていないコンディションでもチームを補うべく途中出場をしたほどだった。この日のレーヴェ横浜の戦力について、理事フロントスタッフの兼子氏は「50〜60%」とベストメンバーでなかった旨を吐露している。
見どころの最たるところはやはりシュートの瞬間だ 【写真撮影:Takuhei Minami】
ビーチサッカーはサッカーの括りでは同じだが、似て非なるもの。兼子氏によれば最初からビーチサッカーを始める選手は皆無で、過去にサッカーやフットサルで技術を磨いた人がビーチサッカー選手に移る傾向があるという。同氏いわく「(足元での)ボールコントロールができないと試合にならない」からで、その言葉通りビーチサッカーのプレーに求められるのは卓越したボールコントロール。しなやかな足首の動きでボールを浮かせ、軽快なリフティングでボールを操り、最適なタイミングで味方にパスを出す。こうしたプレーをそつなくこなす巧者がサンドコートに集うからこそ、ビーチサッカーは見どころの宝庫となる。
ビーチサッカーのピッチである砂は凸凹が常であるため、ボールのバウンドも一定ではない。そのため、ドリブルでボールを運ぶ場面は少なく、リフティングと浮き球のパスがメイン。さらにはピッチの凸凹を逆手に取り、シュートのときだけあえて砂にボールを叩きつけることもある。凹凸のある砂で弾んだボールが、キーパーの目の前でイレギュラーなバウンドをしてゴールネットを揺らす可能性もあるためだ。
ビルドアップが鍵 キーパーは第5のフィールドプレーヤー
ビーチサッカーにおけるキーパーは、俗に「第5のフィールドプレーヤー」とも称される 【写真撮影:Takuhei Minami】
ビーチサッカーでは、選手がオーバーヘッドキック(バイシクルシュート)に及んだときには、他の相手選手がチャージをしてはいけないルールがある。そのため、オーバーヘッドキックに持ち込める状況を作ることがオフェンスにとって有利になる。前述の兼子氏もオーバーヘッドキックを重用する利点に言及していて、事実、この日もオーバーヘッドキックは頻発して会場を盛り上げた。そうした特殊なルールもまた、ビーチサッカーをよりアクロバティックにしている一因であろう。
試合後、2人の元Jリーガーがインタビューに応じてくれた。
かつてジェフユナイテッド市原・千葉やアルビレックス新潟シンガポールにも所属していたレーヴェ横浜の松本憲(10番) 【写真撮影:Takuhei Minami】
そしてY.S.C.C.横浜のOBでもある松田は、「砂の深さが違う」と会場による足の踏み込みの違いについても言及。「スコップとかトスなど(ビーチサッカー特有の)技術がやりやすい」と述べて、しらこばと水上公園やタチヒビーチの砂は「やりやすい」との感触を得ている旨を明かした。砂のコンディションでボールコントロールに差異が生じるほどに、ビーチサッカーの環境はデリケートなのだ。
10月の「The PRIDE BEACH GAMES」に向けて
Y.S.C.C.横浜のOBでもあるレーヴェ横浜の松田康佑(4番) 【写真撮影:Takuhei Minami】
「自分も所属しているレーヴェ横浜が関与している大会なので、前回も優勝しましたし今回も優勝を目指すのもそうなんですが、大会自体が盛り上がるといいなと。(PRIDEでは)強いチームが集まって戦うので、観てるほうも楽しめると思いますし、楽しい大会にしたいですね。会場にいらっしゃるビーチサッカーが好きな人もそうですし、イベントに遊びに来る地域の人もたくさんいると思うので、まず高いレベルの試合を観てもらって(ビーチサッカーに)興味を持ってもらえるといいなと思います」
このときのインタビューでも、ビーチサッカーについて「一回観るとハマる」と明言した松田は、次のようにビーチサッカーの魅力を語った。
「(サッカーの場合は)90分と長いし、ボールがダラーッと回ってるところとかは素人の方だと楽しみ方が難しいと思うんですよね。ハイライトで十分というか。その点、ビーチサッカーはそのハイライトが続いているような。プレーも凝縮していて、(BGMで)音楽も流れていたりして、ロケーションも良いところが多いんで。ビーチスポーツの中でも(ビーチサッカーは)けっこう楽しいスポーツだと思うんですよね。ビーチバレーとか他の(ビーチ系の)スポーツもあるけど、(ビーチサッカーは)観てて楽しいと思います。
試合内容が一方的になっちゃうと退屈になるかもしれませんけど、今度やるPRIDEなどのように強いチーム同士が戦う場合などは、日本代表クラスの選手もいっぱい来ますし、レベルの高い試合やビーチサッカーの楽しいところは観られると思いますので、たくさんの人に観てもらいたいですね」
正午に行われた試合では、東京ヴェルディBSのサポーターが横断幕を掲示して応援する熱の入れよう 【写真撮影:西野寿洋】
(取材・構成・文:西野寿洋)
THE PRIDE BEACH GAMES 2023
会場:SAL SPORTS PARK 横浜瀬谷(〒246-0004 神奈川県横浜市瀬谷区中屋敷3丁目21-2)
参加チーム(予定):◇レーヴェ横浜 ◇ラソアペーゴ北九州 ◇ソーマプライア沖縄 ◇JFAビーチサッカークリニック選抜(以上、男子) ◇レーヴェ横浜FRAU ◇PRIDE UNITED ◇ラソアペーゴ北九州レディース ◇ソーマプライア沖縄レディース(以上、女子)
入場料:500円(来場特典付き)
主催:THE PRIDE BEACH GAMES実行委員会
共催:レーヴェ横浜
後援:関東ビーチサッカー連盟、瀬谷区役所、(公財)横浜市スポーツ協会
協賛:カルビー株式会社、花王株式会社、 DM三井製糖株式会社、株式会社ロッテ
協力:TOPPAN株式会社、横浜リゾート&スポーツ専門学校、東京リゾート&スポーツ専門学校、神奈川県立瀬谷高等学校、瀬谷区商店街連合会、横浜市長屋門公園
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