【柏レイソル】犬飼智也がもたらす新たな力「2023Reysol Report Vol.15」

柏レイソル
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 中断期間中の7月24日、チームに嬉しいニュースが飛び込んできた。それは「犬飼智也、期限付き移籍加入」のリリースである。レイソル加入前まで、リーグ戦通算243試合出場を誇り、2018年の鹿島アントラーズ時代にはACL優勝も経験したJ1のレギュラークラスのセンターバックの加入は、まさに晴天の霹靂でもあった。

鹿島時代にはレイソルの前に強く立ちはだかった犬飼 【©️KASHIWA REYSOL】

 7月26日、レイソルでの練習初日、犬飼は移籍の理由を語った。
「オファーをしてもらって、力になりたいと率直に思いましたし、すごく熱意を感じたので、このチームのためにやれることをやろうと、すぐに決断しました」
 加入直後から多くの選手とコミュニケーションを取る姿が見受けられ、早くもリーダーシップを発揮していた。戸嶋祥郎も「来たばかりとは思えないぐらい馴染んでいます。すごく頼りになる選手が加わってくれた印象です」と、彼の様子を話していた。

「リーダーシップを取って、守備のところをより引き締めてほしい。人間的にも素晴らしく、この状況をなんとかしようという思いで我々のチームに加わってくれて、いろいろな選手とコミュニケーションを取って、チームをより良い方向へ進めていこうという雰囲気を感じますし、プレーでも引っ張ってくれています」
 井原正巳監督もまた、ピッチの内外における犬飼の存在感をそのように述べていた。

合流まもなくのトレーニングからすぐに新チームに溶け込んだ 【©️KASHIWA REYSOL】

 加入からわずか10日間という準備期間にもかかわらず、犬飼は前節の京都サンガF.C.戦にて、スタメンでレイソル初出場を果たした。コンディション面の不安もあり73分で退いたものの、前半終了間際にサンガにカウンターを受けた際には、落ち着いた対応で木下康介の侵入を食い止め、相手のクロスボールが増えた後半には、持ち前の空中戦と対人守備の強さで、入ってくるボールを跳ね返し続けた。
「経験のある選手なので、単純にやりやすさがあります。細かいところ、ポジショニングの修正とか、今はこれをやれているから続けようとか、そういう会話をしてくれる選手なので、コミュニケーションでもチームに与える影響は大きいと思います」(古賀太陽)

24歳の若きキャプテン古賀太陽を支える役目も 【©️KASHIWA REYSOL】

 これまで何度か指摘してきたように、レイソルの課題のひとつはピッチ内での“おとなしさ”がある。特に後方でチームを動かさなければならないセンターバックは中堅から若手という年齢の選手が多く、その部分での物足りなさはあった。そこでも犬飼は、リーダーシップ、コミュニケーション、コーチングという彼の特徴を発揮することで、レイソルの守備を引き締めた。サンガ戦の完封勝利の要因は、中断期間中のチームの取り組みの成果も大きいが、犬飼加入の影響は間違いなくあった。井原監督も、犬飼のパフォーマンスについて「チームに安心をもたらしてくれて、本当にうちのチームで初めての公式戦かと思うぐらい落ち着いたプレーだったと思いますし、何の違和感もなく安定感があった」と太鼓判を押した。

初先発の京都戦でも攻守に渡り安定感あるプレーを見せた 【©️KASHIWA REYSOL】

 それでも犬飼にとっては、浦和レッズで出場した天皇杯2回戦以来、約2カ月ぶりの公式戦である。「久しぶりのゲームでしたし、もっともっとできたなと思うところもありますけど、妥協点かなとは思います」と彼自身も話しており、当然のことながらコンディションはまだ100ではない。裏を返せば、これから出場を重ね、コンディションの向上とチームへのフィットとともに、状態はますます良くなっていくだろう。
 今後の巻き返しに向けて、楽しみな選手が加わった。

【文】柏レイソルオフィシャルライター:鈴木潤

京都戦の勝利に沸くサポーターから大きな歓声を浴びた 【©️KASHIWA REYSOL】

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著者プロフィール

1940年に母体となる日立製作所サッカー部が創部、1995年にJリーグに参戦。1999年ナビスコカップでクラブ史上初タイトルを獲得。ネルシーニョ監督のもと、2010~2011年には史上初となるJ2優勝→J1昇格即優勝を成し遂げる。さらに2012年に天皇杯、2013年に2度目のナビスコカップ制覇。ホームタウンエリアは、柏市、野田市、流山市、我孫子市、松戸市、鎌ケ谷市、印西市、白井市の東葛8市。ホームスタジアムは、柏市日立台の「三協フロンテア柏スタジアム」。主な輩出選手は、明神智和、酒井宏樹、中山雄太。

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