【女子W杯】2011年のなでしこジャパンと重なるところとは?12年の時を経て受け継がれてきたもの

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ベスト8進出を果たした今回のなでしこジャパンと、優勝を果たした2011年のなでしこジャパンを比較する。

【@FIFA+】

 頂点が少しずつ見えてきた。女子W杯に挑んでいるなでしこジャパンは、1次リーグを3戦全勝で突破すると、ラウンド16のノルウェー戦にも勝利。ここまで14得点1失点という素晴らしい成績を残し、快進撃を見せている。

 2大会ぶりのベスト8に進出したことで注目されるのは、2011年以来のW杯制覇を手にすることができるかどうか。今回は当時、佐々木則夫監督のもと、澤穂希や宮間あや、川澄奈穂美らを擁し、初優勝を成し遂げたチームと比較しながら、現在のチームと重なる部分を見ていく。

【@FIFA+】

いち早く戦術を浸透させることができた理由
 12年の月日を経たなでしこジャパンだが、今回のチームと2011年のチームで似通っているところがいくつかある。

 まず注目したいのは監督と選手の信頼関係だ。現在、指揮をとる池田太監督は2017年にU-19女子日本代表の監督に就任すると、翌年にU-20女子W杯を制覇。またU-17世代に関しても指揮をとる時期があるなど、今回のメンバーに選ばれた中堅から若手の多くをアンダー世代の時に指導してきた経歴を持つ。

 その結果、なでしこジャパンの監督に就任して以降、若い選手たちがすんなり戦術に浸透することができ、そこにベテランと中堅がうまく関わっていくことで強固なチーム作りを進めることができた背景がある。

 これは2011年の佐々木監督にも通ずるところがある。佐々木監督はなでしこジャパンの監督に就任する前に、U-17女子日本代表、U-20女子日本代表監督を経験。加えて、2006年からなでしこジャパンのコーチを兼任したことでベテランから中堅、若手を幅広く指導することができた。

 それによってなでしこジャパンの監督に就任して以降も、ベテラン、中堅、若手と多くの選手が戦術をいち早くイメージすることでき、チーム全体の融合がスムーズに行われた。また、リカバリートレーニング時に、スタメン組が練習を済ませたあと着替えてトレーニングサポートに回るといったサブ組とリハビリ選手の意識が自然と高まる状況を作り出していることも似ており、この2つのチームは指揮官のチーム作りに近いものがあると言っていいだろう。

受け継がれる守備戦術と伸びた技術
 もう一つ、2011年と似ている点を挙げるとすれば、安定感ある守備だ。

 ここまでのなでしこジャパンを見ても、攻撃に目が行きがちだが、凄みを感じるのは守備の戦術が徹底されていること。攻守の切り替えの速さとスライドのスピードで相手の攻撃を封殺し、ブロックを作ってからのユニットディフェンスでボールを奪取。そこからのカウンターの精度は世界トップクラスと言って過言ではない。

 これは2011年のなでしこジャパンにも言えることで、ボールをつなぐチームというイメージも強いが、当時は前線からの連動した守備が他を圧倒していた。現在と比べると、相手のボランチやDFの技術が劣っていたというのもあるが、前からのプレッシングで相手のミスを誘い、ショートカウンターや遅攻に移行する攻撃では世界屈指の力を持っていた。
かつてのチームと今のチームは、個人の力量でチームが成り立っているのではなく、攻守にわたってチーム戦術が機能している上で個人の成果が反映されるという形が成り立っているのだ。

 もちろん、2011年に比べ、技術やシュートの正確性はレベルが上がっており、欧州経験者が多いことで対人感覚も研ぎ澄まされている。これまで積み重ねてきた経験をしっかりと受け継いだチームこそが、今のなでしこジャパンと言っていいだろう。
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