【柏レイソル】"ボランチ"仙頭啓矢の真価「2023Reysol Report Vol.12」
「1点ビハインドの状況で、彼自身もボールを落ち着かせたり、攻撃では効果的なパスを出せたりする選手。サガン鳥栖では3ボランチをやっていたので、攻撃にアクセントを付けるという狙いでボランチに起用した」
井原正巳監督は、起用の意図をそう説明した。
「ボランチでもプレーしたかった」と明かす仙頭 【©️KASHIWA REYSOL】
仙頭はアビスパの前からのプレッシングの枚数と味方の状況を見極めながらポジションを取り、ボールを引き出し、チャンスがあればターンをして前を向いて細谷真大や武藤雄樹に繋げる。あるいは自分が相手のマークをあえて引きつけることで、古賀太陽や田中隼人が直接前に付けるパスラインや、高嶺朋樹の動くスペースを作るなど、復帰初戦で、しかもレイソルに来て初めてのボランチ起用で好プレーを見せた。
仙頭は「久々の試合で疲れた」とは言うものの、「ピッチ上でコミュニケーションを取りましたし、朋樹とも距離感近くできました。自分たちが高い位置でボールを持てると、攻撃をうかがうタイミングの確率は高くなるし、その中で、一発で裏も効いてくる」と手応えを掴んだ様子だった。
サヴィオや細谷真大らにボールをつなぐ「リンクマン」として期待される 【©️KASHIWA REYSOL】
「食いつかせる付け方と、前を向かせる付け方と、その使い分けができていると思います。ボランチの二人はそこの判断を持っているので、ボランチを使いながら侵入していく形は増えていると思いますし、そこから左右に振ることもできています」
今回の仙頭のボランチ起用については、先述の井原監督の言葉にもあった1点ビハインドという状況と、「ルヴァンカップは敗退が決まっていたので、もちろん勝利のためにこだわるところはありましたけど、いくつか試すこともできた」と話すとおり、細谷とフロートの2トップ、古賀と田中のセンターバックも含めて、後半戦へ向けてのテスト的な意味合いも多分に含まれていたが、今後へ向けての目処は立ったはずだ。
ボランチのポジションには、最近の試合に継続して出場している高嶺と椎橋慧也がおり、天皇杯で存在感を示した中村慶太もいる。オプションのひとつだとしても、今回の起用で、その顔ぶれに仙頭が加わる。彼らは皆、ボールを受けることを怖がらず、捌くことの得意な選手たちだ。チームとして、ボランチを経由して攻撃を展開する形は増えた。サヴィオが言っていたとおり「チームは良い方向へ進んでいる」のは確かに感じられる。
だからこそ結果に結びつけて、なんとしてもこの流れに拍車をかけてほしい。
【文】柏レイソルオフィシャルライター:鈴木潤
「ボランチ仙頭」の知性と技術がレイソルを救うか 【©️KASHIWA REYSOL】
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