降格圏からカンファレンスリーグ出場までの軌跡(前編)【アストン・ヴィラ】
【@AstonVilla】
しかし、今季のプレミアリーグで最も大きな番狂せを起こしたチームは間違いなく7位でフィニッシュして、カンファレンスリーグ出場権を手に入れたアストン・ヴィラではないだろうか。
アストン・ヴィラは2021/22シーズン途中に成績不振で、それまで指揮していたディーン・スミス監督を解任してスティーヴン・ジェラード監督を招聘。ジェラード監督の下、2022年1月にフィリペ・コウチーニョを筆頭とした大型補強を敢行し、安定感には欠けながらも11位でシーズンを終えた。
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プレシーズンはオーストラリアで行われ、充実した環境の中でジェラード監督はチームの準備フェーズを始動。そして現地で開催されたプレシーズンマッチは3試合を全勝という最高の結果を出し、新たなシーズンに対する期待値は大きく膨らんでいた。
迎えた2022/23シーズンの開幕戦で、アストン・ヴィラは昇格組のボーンマスとのアウェイゲームに臨んだ。敵地とはいえ、昨シーズンを上回る成績を目指すヴィラにとっては、当然の白星発進が期待されていた。
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この結果に失望するファンは少なくなく、その後もそれを覆すきっかけはなかなか掴めなかった。2戦目のホームのエヴァートン戦では辛くも2-1で勝利したものの、続くクリスタル・パレス、ウェストハム、アーセナルとの3連戦はいずれも全敗。
またどの試合も内容に乏しく、特に決定力不足は深刻な課題となっていた。ジェラード監督が採用した4-3-3のフォーメーションは機能せず、僅差で敗れるかもしくはスコアレスドローといった感じで、まったく浮上の兆しは見えなかった。
10月に入った最初の2試合で、降格候補のリーズとノッティンガム・フォレストと対戦するも、どちらも引き分けで勝ち点を上積みすることができないでいると、続くチェルシー戦では0-2で惨敗。そしてとどめとなったのは、アウェイでのフラム戦。こちらも0-3で完敗を喫し、順位は降格圏の19位にまで後退した。
トップ10どころか降格の危機に陥ったアストン・ヴィラは、ここでスティーヴン・ジェラード監督を解任する決断に至る。同監督の下で大きな飛躍を期待されたチームは、皮肉にも2021/22シーズンとほぼ同じタイミングで監督を交代せざるをえない羽目になる。
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過去に同リーグのアーセナルを率いた経験もあるエメリ監督は、「またプレミアリーグに挑戦したかった。私にとって大きなチャレンジ」と就任当初コメントしており、ここからエメリ監督の壮大な再建プロジェクトがスタートする。
アストン・ヴィラはジェラード監督解任後のブレントフォードとの試合では、これまでの得点力不足が嘘であるかのように攻撃陣が爆発し4-0で勝利。続くニューカッスル戦では0-4で大敗を喫するが、この2試合はエメリ監督の労働ビザの許可が下りていない関係で、同監督が指揮を執り始めたのはその次のマンチェスター・ユナイテッド戦からとなった。
そしてこのマンチェスター・ユナイテッド戦で、チームは歴史的な勝利を手にすることになる。新指揮官の初戦は、開始わずか11分でヴィラが2点のリードに成功して、最終的に3-1 で白星を獲得。ホームでマンチェスター・ユナイテッドに勝つのは27年ぶりの快挙であり、ウナイ・エメリ監督は就任した直後にその価値をすぐさま証明した。
ここからワールドカップによる異例のリーグ中断期間に突入する。そして、ウナイ・エメリ監督率いるアストン・ヴィラは、ワールドカップが終わったシーズン後半戦で誰も予想しなかった逆襲劇を見せるのである。
【@AstonVilla】
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