B2部門は仙台89ERSが大差をつけて4連覇!
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仙台89ERSが悲願のB1昇格へ
仙台はマーケティング分野と経営効率分野、経営戦略分野で1位、財務状況分野で4位という安定した成績を残し、2位の西宮に20ポイントもの大差を付けて堂々の優勝を果たしました。
好成績の原動力の1つは集客力です。入場者数制限の緩和に加え、戦略的なBM施策が功を奏したものと思われます。先が見えないコロナ禍において難しい舵取りが求められる中でも、柔軟な発想で着実に土台を固めてきたBM面の力をFM面へとつなげ、悲願となる6シーズンぶりのB1昇格を果たしました。さらなる高みを目指して地域とともに歩むクラブが、市民や県民に勇気を与える雄姿に今後も注目です。
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1stクォーター:マーケティング
平均入場者数
2021年シーズンにおけるB2の平均入場者数は797人で、前年比+57人(+7.6%)となりました。トップは仙台の1,629人で、前年比+570人(+53.8%)。昨シーズンと比較して10クラブで本KPIが増加、4クラブで減少しています。増加率が20%以上となったクラブが5クラブある一方で減少率が10%以上となってしまったクラブも2クラブあり、入場者数の回復度合いは一様ではなくクラブごとにバラつきがあったといえます。
1位の仙台は、効果的なBM施策により入場者数を増加基調に乗せることに成功しました。例えば、「4,000人動員プロジェクト」と銘打ってコアファンに友人や家族を試合観戦に誘うよう促したシーズン最終戦は、結果的に4,000人には届かなかったものの年間平均の倍以上となる3,329人の動員(B2の試合の中ではCSも含めて年間最多入場者数)を実現しました。このように、コアファンから徐々にファンのコミュニティを広げていくようなBM施策を打つことにより、コロナ禍からの回復もより加速していくと考えられます。
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2021年シーズンのB2のアリーナ集客率の平均は19.0%で、前年比+2.0Pとなりました。最も集客率が高かったのは仙台の31.4%で、逆に最も低かったのは青森の12.9%という結果になっています。B1の結果とは対照的に、昨シーズンと比較して本KPIの伸び幅が10P以上となったクラブは1つもなく、3分の1以上のクラブが昨シーズンよりも低い集客率を記録しています。集客率のマイナス幅が大きかった、青森・東京Z・奈良の下位3クラブの共通点は、シーズン成績が10勝以下に終わったことが挙げられ、新型コロナ感染拡大への不安に加えてFM面での不調が地元ファンの応援熱を低下させたことが想定されます。
なお、本KPIで2位の西宮は2024年シーズンから新設の神戸アリーナを本拠地とすることが予定されており、収容人数が現在の3倍以上の10,000人となります。また、4位の佐賀も2023年シーズンから新設のSAGAアリーナを本拠地とすることが予定されており、収容人数が現状の3倍近くの8,400人となります。これらのクラブが、B1の琉球同様に本拠地アリーナの拡大に応じて入場者数を増やし、集客率を維持または向上させることができるのか、今後の集客施策内容やその効果にも要注目です。
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2ndクォーター:経営効率
1勝あたりチーム人件費
2021年シーズンにおけるB2の1勝あたりチーム人件費の平均は、前年比+2.4百万円(48.3%)の7.4百万円でした。B2では、ディビジョン所属クラブ数の減少に伴う試合数(勝利数)の減少と、チーム人件費の平均の増加のどちらも作用した結果、KPIの値が前年比で増加傾向となっています。最も効率的に勝利を重ねたのは香川で、1勝を4.2百万円で挙げたことになります。対して最下位の青森は1勝を挙げるのに13.7百万円を費やしたことになっていて、その差は約3倍強となっています。
2021年シーズンは人件費の方針がFM面の成果にも作用したシーズンでした。FE名古屋は、人件費を昨シーズンから73百万円(+46.3%)増加させ、B2トップとなる人件費231百万円を投じた結果、東地区で優勝し、プレーオフでも優勝し、B1昇格を果たしています。本KPIにおいても2位(1勝あたり5.5百万円)と好成績を収める結果となりました。一方、青森は、昨シーズンと同様にB2最小となるチーム人件費69百万円で臨んだ結果、B2で最も少ない勝利数(5勝)にとどまり、本KPIにおいても2年連続で最下位となりました。BM面での人件費強化によって、必ずしもFM面の成果がついてくるわけではありませんが、勝利を勝ち取るためには一定の投資が必要であるとの傾向が見て取れます。
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3rdクォーター:経営戦略
売上高・チーム人件費率
2021年シーズンにおけるB2の平均は、前年比▲2.3Pの44.2%でした。チーム人件費の平均は+31百万円、平均売上高が+73百万円と、どちらも増加しているもののコロナ禍が落ち着いてきて前年より平均入場者数が増加したことで平均売上高も増加したことが要因です。
本KPIにおいて健全な水準の目安といわれる50%を超えるクラブは4クラブあり、中でも熊本のみが60%を超えている状況です。本KPIはBM面の戦略が反映されやすい指標であり、FM面の成果を短期的に求めて即戦力を外から補強するなど、戦略的に高く設定する場合もあります。実際に熊本、福島、佐賀の3クラブは、売上規模としては平均以下の水準にありながらも、プレーオフへの進出を果たしています。ただし、3クラブとも財務的には赤字の状況のため、現在の戦略を永続的に取り続けることは困難です。チームへの投資規模を継続的に拡大するには、収益の拡大が必要不可欠であり、BM施策によるクラブとしての収益力の強化が鍵となります。
本KPIにおいて、熊本はB2屈指の選手人件費水準でありながら、スポンサー収入水準はB2の中で下位に沈んでいます。今後本KPIを適正水準に抑えつつ赤字を解消し、同時にFM面での成果も出していかなければならないため、今後の各クラブにおけるBM施策は特に重要になってくるものと考えられます。
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4thクォーター:財務状況
売上高
2021年シーズンにおけるB2の平均は、前年比+73百万円(+23.5%)の384百万円と、コロナ禍の影響を受ける中で増加に転じました。トップはB2優勝を果たしたFE名古屋の598百万円、最下位は青森の187百万円と、同一ディビジョン内でおおよそ3倍の差が開いている状況です。売上高トップのFE名古屋は、入場料収入が昨シーズンから約1.7倍となる39百万円へ増加しています。加えてリーグトップのスポンサー収入で、前年を135百万円上回る売上高を達成しています。B2両地区における最高勝率で優勝した競技成績を背景に、BM面の成果にもつなげるポジティブサイクルを実現することができました。
一方で、B2の平均的な売上高構成比では、スポンサー収入が約62%と依然として高い割合を占めています。スポンサー収入の比率は、コロナ禍前の2018年シーズンで約55%、昨シーズンが約60%と、コロナ禍以降は高止まりの状況となっています。入場料収入は回復基調にありますが、さらなるファンベースの拡大に向けたプロモーションや、マッチデーにおける物販収入の拡大などにより、一定の売上項目に頼り過ぎない売上のポートフォリオを目指し、BM面におけるより一層の企画と実行力が問われます。
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