【柏レイソル】GKたちが抱える苦悩を乗り越えて「2023Reysol Report Vol.8」
健全なるGKの競争理念
昨季、松本はリーグとルヴァンカップを合わせて公式戦3試合出場、猿田にいたっては天皇杯3回戦の徳島ヴォルティス戦の1試合のみの出場だった。
今季初出場から先発を続けている松本健太 【©️KASHIWA REYSOL】
「僕と遥己は、去年はなかなか出場機会を掴めませんでした。僕は去年ケガもあり、遥己は天皇杯の1試合だけ。でもこうして勝利につながったことは、僕と遥己にとっては自信になりました」
松本はアントラーズ戦では今季初のクリーンシートでチームの未勝利を食い止め、猿田もアルビレックス戦では安定したプレーで3−2の逆転勝利に貢献した。直近のリーグ戦2試合は1敗1分と結果こそ出ていないものの、松本のパフォーマンスは安定しており、チームも試合内容自体は評価できる部分が多かった。
鹿島戦の好セーブで今季初勝利に貢献 【©️KASHIWA REYSOL】
過去15年のレイソルのGKを振り返ると、菅野孝憲、中村航輔、キム・スンギュという選手たちが常にゴールマウスに君臨してきた。そしてその中村でさえ、若手の頃は菅野の牙城を崩せず、アビスパ福岡への期限付き移籍から復帰するまでは、レイソルでは一度も試合に出たことがなかった。ケガの影響があったとはいえ、中村ほどの実力を持った選手でも出場機会を得られなかったという事実が、GKというポジションがいかに出番を得るのに難しいのかがわかるだろう。
現在ポルトガルで大活躍の中村航輔にもピッチに立てない時期があった 【©️KASHIWA REYSOL】
「今年も僕と遥己はメンバー外が続いていました。紅白戦にも出られない苦しい期間も長かったんですが、それでも頑張ってやっていこうという話はしていました」(松本)
「他の三人から学ぶことは多いので、前向きに練習に取り組めています」(猿田)
二人の活躍は、出場機会が限られている状況でも腐ることなく、彼らが直向きに練習を積み上げてきた結果である。
ルヴァンカップ新潟戦で気迫ある守備で奮闘した猿田遥己 【©️KASHIWA REYSOL】
ポジション争いは足の引っ張り合いではない。仲間の良い部分を学び、自分の成長に変える。仲間が試合で良いプレーをしたら、自分はそれ以上の良いプレーをして序列を覆す。それが正しい競争理念であり、レイソルの四人のGKは、その健全な競争の中で実力を磨いている。
【文】柏レイソルオフィシャルライター:鈴木潤
今は正位置を譲っている佐々木雅士も切磋琢磨を続けている 【©️KASHIWA REYSOL】
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