タイトル挑戦を狙う箕輪ひろば、立はだかる“フィジカルモンスター”ボカンを「どう攻略するか見て欲しい」=4.22「ONE FIGHT NIGHT 9

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【ONE Championship】

4月22日(土)、タイ・バンコクのルンピニスタジアムで開催される「ONE FIGHT NIGHT 9: Nong-O vs. Haggerty」のストロー級マッチにて、同級2位のボカン・マスンヤネ(南アフリカ)と対戦する同級3位の箕輪ひろば(総合格闘技道場STF)。箕輪は昨年7月にボカンと対戦する予定だったが、ボカンが体重オーバーで計量失敗。体重を落とさないボカンに対し、箕輪はキャッチウェイトでの対戦を拒否し、試合は流れていた。仕切り直しの一戦、箕輪は今回の試合を“タイトルマッチ挑戦者決定戦”だと意気込む。

敗れた世界王者のジェレッド・ブルックスへのリベンジと、タイトル挑戦を追う箕輪が現在の心境を語った。
ー現在のコンディションは?
「問題なく順調です。」

ー昨年7月に対戦する予定だったボカンが計量失敗により、試合が流れました。そのことについて率直な気持ちを聞かせてください。
「怒りはなく、自分としては‘しょうがない’という気持ちでした。ただ、僕ら以外での人間、相手選手のファンからのアンチ的な発言が心に来ました。主にDMで来ました。」
「(試合に)負けて(アンチ発言が)来るのは分かるんですが、今回体重をオーバーしているのは相手なのに、なぜ自分に?と思いました。」

ーその理由はなぜだと思いますか?
「結局、文化の違いなのかもしれません。日本人からしたら、(箕輪選手の拒否した)判断は正しかったよと言われるんですが、相手のファンは日本人ではないケースがほとんどだと思うので、『歩み寄れよ』などの意見があったりとか、次の大会で別の日本人選手が体重オーバーして、対戦相手がキャッチウェイトで戦ってくれたことがあって、それを引き合いに出し『日本人がオーバーした時はキャッチウェイトでの試合を望むのに、オマエは試合を受けなかった』みたいな意見がありました。(関係ない)自分に言ってくるなよとその時は思いました。」

ー多様な価値観が混在する世界の中で戦うのは、こう言ったこともあり、気持ちを整理させることも大変ですね。
「こう言った事は解決しないと思います。文化が違うので。生まれ育った環境が違うと、観点や感性が違う。その時点で同じ感覚にはならない。でも『そういう感覚の人もいるんだな』って受け入れ方をしていかないといけないと、今回はそう感じました。」
「終わった話にしたいですけど、今回も(クリアするまでは)まだ分からないですが。(平田樹選手と対戦した)ハム選手とお話がしたいなと思う今日この頃です。(笑)」
*ハム・ソヒ選手は今年3月に平田樹と対戦したが、その前に試合が組まれた時は、平田の体重オーバーを理由にキャッチウェイトでの試合を拒否していた。
ー因みに、箕輪選手はONEのハイドレーションを含む計量システムは難しいですか?アジャストできていますか?
「いいえ。(笑)アディワン戦とブルックス戦の時、1回目のハイドレーションで引っかかりました。でも、キャッチウェイトの申し込みはせずに体重を落としに行き、最終的には全部パスした。そういうことが普通だという認識でいたので、(ボカン選手には)『すぐにキャッチを求めず、もうちょい頑張ってよ』という気持ちがありました。なので、自分自身もまだ完璧に対応できているわけではないので、試行錯誤しながら頑張っています。それが責任だと思っているので。今回は順調に行っています。」

ー現在、約1年間近く試合を行なっていません。この現状にフラストレーションはありましたか?それともプラスになった期間と考えますか?
「プラスにはなったと思います。(この期間)次の試合が決まらなかったというより、ボカン戦のオファーがずっとONEから来ていました。ただ、ボカンが体重オーバーをした時から直ぐのオファーだったりとか、何回か交渉が続いての流れがあり、自分のコンディションも怪我があったりとかして、逆に向こうに待ってもらったりもあった。今回はお互いのタイミングが合って、成立したと思います。お互いのタイミングが合っていたら、もっと早くに試合は行なっていたと思います。

ーこの1年間、どの様な練習などを積んできましたか、そこでの手応えなどはありましたか?練習環境を変えたりだとか。
「ウチのジム(総合格闘技道場STF)の柔術部門をトライフォースの管轄に置きました。MMA選手がやる柔術と、柔術の専門家がやる柔術だと根本が違う。MMAの人間が教える柔術は『そこはMMAでは使わないし』みたいなこともあり、柔術オンリーとは違うので、新しい観点、物事を見るキッカケになったと思います。自分の柔術力が上がったかは、試合に出ていないので分かりませんが、知識量は増えたと思います。」

「今は、フィジカルも、ボクシングも継続して行なって、柔術はトライフォースの先生達に学んで、MMAはこれまで同様にやってと、大きく変えた点はないです。」

ー箕輪選手は練習方法や戦術など全ての面を自身で構築し実践する選手に見えますが、メンター的な存在の方はいますか?
「それは自分がMMAを始めた当初から面倒を見てもらっている、ここSTFの代表(飯島浩二氏)です。やはり僕のことを一番よく理解できていると思うので。」

「僕は柔術、ボクシング、レスリングを一つの場所ではなく、色々な所でバラバラに学んでいます。トライフォース赤坂に行って、ストライキングの強い朝倉海選手や未来選手と練習を行なったりもします。その目的は自分と正反対の選手とやったりすること。そして、揃えた多くの“武器”について、使えるものとそうでないものを判断しなければいけないのですが、その作業を(飯島)代表とやる感じです。その上で、どこにもない“自分達だけの技術”を研究し作り出しています。ウチの道場では、『一を一として捉えない』という言葉があるのですが、一つの技術をそれぞれの選手が独自の形にどう変換できるかを大切に考えています。」

注目のONEストロー級上位ランカー対決 【ONE Championship】

ーこの1年間の成長具合で、今回の試合を観戦したファンが感じれるポイントがあれば教えて下さい。
「普通ならここで、『めちゃくちゃ打撃が進化しました』とか言うべきなんでしょうが、僕は違う表現になります。例えば、昔からずっと美味しいと言われるラーメン屋さんがあるとすると、それはずっと同じ味な訳ではない。(客は)飽きる訳じゃないですか。昔から変わらず同じ味でやってきて、10年続いて、ずっと10年間客がくるのはおかしい。多分、客に分からない位でちょっとずっと何かを変えていると思う。僕はその考えでMMAに向き合っています。専門家以外が見て、パッと見分からないけど、『なぜコイツは勝っているんだろう?』と。それは間違いなくちょっとずつ強くなっている訳で、僕はそう言うことを心がけながらやっています。結果として、どう“変化”したかよりも、どういう“味”になっているかが重要だと思います。」

「これまで“箕輪は強い”と言われたことがそうないんですよ。“大したことがない”、“パッとしない”とよく言われます。ただ、前より強くなっていかなければ、シウバやアディワンなどの強豪には勝てていない。勝利にフォーカスして、変化させて勝つのが大切。取り敢えず、結果を見てくださいと思います。」

ー箕輪選手は試合中での視野の広さ、アジャスト能力が抜きん出ている選手だと思います。修斗時代から、一つの戦術に固執せず、動きや流れを意識的に修正し勝ちを引き寄せる戦いをしてると感じます。
「その視点は素晴らしいです。格闘技とは、想定外が起きた時の適応能力の勝負だと思っています。もし試合が想定内だったら、例えば、戦術がAしかなければ、戦いはワンサイドになりやすいと思います。そのプランAが通用しなければ、一方的に試合は終わるので。でも、Aが通用しなくなった時に、プランB、Cを展開していき、その選択肢がなくなった方が負けになる。ブルックス戦で自分が負けたのはそれが理由です。ブルックスに全ての選択肢を潰されてしまった。自分は13年間、人生の半分を格闘技に捧げてきました。最初からMMAでスタートしたので、純血のMMAスタイルなのですが、引き出し数の勝負で負けていたら、その意味がなくなる。その中で、いかに自分が持つ適応能力を発揮するかが勝負だと思っています。」

ー改めて、ボカン選手の印象を教えてください。
「めちゃくちゃ身体能力が高い選手。強いですが、レスリングはやれるが、レスリングの強い選手ではない。事実、ブルックスにころっとバックを取られているし。なのにあそこにいる(ランキング2位)理由はふざけた身体能力ですよね。規格外すぎます。ちょっとズルいなと思います。なぜ、ONEはあんな強い選手ばかりなんでんしょうか(笑)。ストロー級は世界最高峰なんでしょうけど、勘弁して欲しいです(笑)。」

ー今回の試合は戦術は複数用意する考えですか?
「身体能力の高さは、具体的には組んでみないと分からない。戦いのパターンは複数用意したいと思っていますし、その変化する違いを見ていただけたらなと思います。」

「僕の一番の武器は間違いなくメンタル。心技体で言ったら心の部分。“コイツはちょっと面倒臭いな”と相手に思わせたら自分の勝ち。そこから生まれる相手のスキにつけ込んで勝つイメージです。めんどくさがっている時点でそれはスキになっているじゃないですか。それは嫌がっていると同じなので。今、客観的に自分を見ると、ん自分はめちゃくちゃ性格悪いですね。正々堂々と言う考えからだと、ちょっと微妙ですね(笑)。」

ーそのメンタルの強さはどこからきたのでしょうか?
「それはこのSTFに置かれている理不尽な状況でしょう(笑)。自分のファイティングショーツにもその言葉が入っていますが心の叫びですよ。朝6時に起きて赤坂に行って、家に帰らず、川越に行って、夜また指導をするという。この環境であれば、いちいち心が折れていられない。面倒臭がってはいられない。試合の面倒臭さは比べると大したことではないです。スラム街よりスラムです。あまり言いすぎると、あとで怒られるので(笑)。」

ーファンへ一言。
「前回、自分が試合をキャンセルさせてしまいましたが、今回はお互い万全の状態で戦える事になりました。相手はすごい強い選手ですが、僕がどう攻略するのかを見てください。そして、僕が今回勝ち、タイトル戦でブルックスにリベンジしてチャンピオンになるので、その応援もよろしくお願いします。」
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シンガポール発、アジアで絶大な人気を誇る格闘技団体「ONEチャンピオンシップ」! 世界トップクラスの選手や日本人注目選手の最新情報をお届けいたします。

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