「今はメッチャいいラグビーをやっている手応えがある!」 〜猛反撃でクルーを熱くしたスティーラーズ戦でテイラーHCとレメキ主将が感じた確かな手応えとは〜
【NEC GREEN ROCKETS TOKATSU】
リーダーたちが見たピッチの景色 第3節
後半に猛反撃しながら33対43と敗れたコベルコ神戸スティーラーズ戦を振り返って、ロバート・テイラーHC(ヘッドコーチ)は、そう切り出した。
試合開始のキックオフを追ったCTBマリティノ・ネマニが、まだ空中にいる選手にタックルを見舞って、わずか31秒でシンビンとなってしまう厳しい立ち上がり。それが響いたというのだ。
しかし、グリーンロケッツ東葛は勝負を諦めなかった。
16分に、ゴール前のラインアウトから、モールで押し込むと見せてSHニック・フィップスがタッチライン際のHO新井望友にパス。新井がそのままインゴールに飛び込んで反撃開始。
そこからは両チームがトライを獲り合う展開となり、最終的には10点差へと追い上げた。
昨季の2度の対戦が、第5節17対48、第12節28対57と、いずれも30点近い差をつけられたことを考えると、懸命に追い上げた展開に、今季の手応えが感じられる。
テイラーHCも、こう振り返った。
「今日はスクラムが非常に良かったし、ラインアウトも良かった。勝てなかったし、7点差以内負けのボーナスポイントも獲得できなかったので満足しているとは言えませんが、それでも33点奪ったことには手応えを感じました。相対的に反則数も少なかったし(グリーンロケッツ東葛7、スティーラーズ14=フリーキックを含む)、成長している証がいくつも見られた。選手たちのハードワークの賜物(たまもの)です」
ハードワークの象徴的な存在が、キャプテンのWTBレメキ ロマノ ラヴァだ。
前半30分には、鋭いステップで自陣から抜け出してチャンスメイク。最後は味方のパスミスを利用するような形でスティーラーズ防御とすれ違い、WTB尾又寛汰のトライに結びつけた。
後半も、66分に途中出場のWTB後藤輝也と、元7人制ラグビー日本代表同士でスピード感溢れるカウンターアタックを敢行。自らトライに仕上げて、終盤の押せ押せムードを盛り上げた。
レメキが言う。
「試合の入りがメッチャ悪くて、最初の10分は、みんなが下を向いていた。このままでは60点くらいとられる大差のゲームになってしまうから、積極的に仕掛けに行った。こういうときに活躍しないと、キャプテンとしての、リーダーとしての仕事ができていないことになるからね。だから、ボールを持ったらとにかく走ろうと思ったんだ」
そして、チームメイトに、こうゲキを飛ばし続けた。
「最後までオレたちは絶対に走り切れる!」
ゲキに呼応して、仲間も走り続けた。
レメキが、こう讃える。
「みんなのファイトはすごかった。昨季は60分までしかファイトできなかったけど、今季は最後までファイトし続けられる。(プレーが続いて両チームの陣形が崩れた)アンストラクチャーな状況からのアタックが良くなったのも、みんなが身体を絞って体脂肪を減らしたから。だからみんな走れる。今はメッチャいいラグビーをやっている手応えがあるよ」
主将 レメキ ロマノ ラヴァ 【NEC GREEN ROCKETS TOKATSU】
自陣から途中出場のFL大和田立が抜け出した。
トライを奪えば、負けは覆らないものの、ボーナスポイントを獲得できる。
クルーの手拍子が大きくなり、スタンドは総立ちに!
しかし、チャンスを広げようと放ったパスがカットされ、チャンスが潰えて試合が終了した。
虎視眈々とラストチャンスを狙っていたレメキが振り返る。
「大和田の隣に(途中出場のHO)アッシュ・ディクソンがサポートしていて、その内側には僕がいた。だから、パスがつながっていれば絶対にトライに持って行けた。そうすればボーナスポイントも取れたから、本当に残念だった」
レメキはそう悔んだが、次節のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦(14日 江戸川区陸上競技場 14時30分キックオフ)に向けて、課題を指摘することも忘れなかった。
「ただ、確かにトライを獲る力はついてきたけど、強いチームのアタックを抑えるディフェンスがまだ課題だね。スティーラーズはボールを積極的に動かすチームだけど、次節のスピアーズは大きなFWが力でドミネート(支配)してくる。また違う戦い方になる。だから、それは映像を見て準備をしたい」
FL 大和田立 【NEC GREEN ROCKETS TOKATSU】
「スティーラーズ戦に向けてディフェンスに重点を置いてハードな練習をしてきました。その割には簡単にトライを獲られた場面もありましたが、大差を逆転するためには大きなリスクを背負ってアタックしなければならない。その過程でどうしてもミスが起こるし、それを危険なランナーが揃ったスティーラーズに攻められた。それが残念でしたが、でも選手の健闘は讃えられるべきでしょう。1人ひとりは今、ものすごく成長しているのですから。
次節のスピアーズ戦に向けても、やはりディフェンスが重要なポイントになるでしょう。スピアーズは、大きなFWがサイズを活かしてアタックしてきますが、今日の43失点をせめてあと10点少なくする――それが、次節に向けたテーマになります。そのためには、試合を経るごとに進化すること――それが私たちにできることだし、またそうしなければならないと考えています」
そして、最後にクルーに向けて、こんなメッセージを発信した。
「今日は、最初の10分間はスタンドのクルーも私たちコーチングスタッフもみんな静かでした。でも、後半の最後の20分間はみんな熱くなった(笑)。それだけ、試合展開に“行ける!”という手応えを感じたのでしょう。
今季はまだあと13試合残っています。今日のように、選手たちが進化し続けた結果をピッチで出してくれれば、やがて私たちにもチャンスが巡ってくる。今季はまれに見る混戦になっていますが、そう信じています!」
スティーラーズを追い詰めたアタックで、グリーンロケッツ東葛は昨季ベスト4に残ったスピアーズに強烈な一撃をお見舞いすることができるか。
次節は、今季の進化を証明すべき試合になる!
(取材・文:永田洋光)
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