証言(亀井選手):ピッチでは何が起こっていたか 第2節 東京サントリーサンゴリアス戦

NECグリーンロケッツ東葛
チーム・協会

【NEC GREEN ROCKETS TOKATSU】

「自分たちが準備してきたことを試合でどれだけ出せるか」 チーム上昇のカギはそこにあり!  〜7番FL亀井亮依の視点〜

 NECグリーンロケッツ東葛がなかなか勝てなかった時代に、3シーズンにわたってキャプテンを務めた亀井亮依が、今季は、のびのびとプレーしている。
 花園近鉄ライナーズとの開幕戦ではオープンサイドFLとしてフル出場。1527日ぶりの勝利の瞬間に立ち会い、第2節の東京サントリーサンゴリアス戦でも前節に続いて80分間ピッチを駆け回り、攻守の要として汗を流した。

 亀井が言う。
「開幕戦は『勝った!』という感覚が久々でしたね。僕自身ケガもあって、80分間試合にフル出場したのが2年ぶりくらいでしたから、『ああ、ラグビーをやっているな』という感覚を思い出しました。もちろん肉体的には苦しかったのですが、なんか純粋に楽しかった(笑)」

 そう振り返るのには、もちろん理由がある。
 トップリーグ最後のシーズンとなった20―21シーズンには脳しんとうの影響で途中で戦列を離れ、ピッチに水を運ぶウォーターボーイを務めながら、チームメイトにエールを送り続ける“裏方”に徹した。
 チームがマイケル・チェイカDOR(ディレクター・オブ・ラグビー)のもとで大幅な組織改編に取り組んだ昨季は、開幕を前にアキレス腱を断裂。新しいラグビーに、意欲的に取り組むチームメイトを見つめながら、黙々とリハビリに取り組まざるを得なかった。昨季の開幕を前に、「僕もピッチで、みんなといっしょに新しいことにチャレンジしたかったんですけどね……」と淋しげな笑顔を見せたくらいに、無念が詰まっていたのだ。
 けれども今季は、そんな無念を晴らすかのように、ピッチを駆け回っている。
 それが、「純粋に楽しかった」のである。

FL 亀井亮依 【NEC GREEN ROCKETS TOKATSU】

 サンゴリアス戦では、相手がセットプレーからボールを動かしてアタックを始めると、常に密集のサイドに立ってディフェンスラインに指示を飛ばし、自ら先頭を切って積極的に前に出た。
 グリーンロケッツ東葛のディフェンスラインを上空から見れば、亀井が“傘”の先端となって相手のアタックに突き刺さるようなイメージだ。
 その意図を、亀井はこう話す。

「サンゴリアスは攻撃のオプションがたくさんあるチームなので、ディフェンスでは、こちらから早く出てスペースをつぶし、プレッシャーをかけたかった。僕の役割はバックスとFWのコネクション(連携)をとるところなので、そういう点は心がけて、ラインスピード(防御の出足)を意識していました」
 それが功を奏して、前半には防御からのアタックというゲームプランが機能したのである。

 ただ、そうした時間帯に、攻め込みながらもペナルティで追加点を奪えなかったところに、亀井は課題を見つけて、こう指摘する。
「ボールキャリアがタックルされたときに、サポートの選手が駆けつける『2人目のレース』に、まだ勝ち切れなかった部分があった。それから、後半の10分くらいからだんだん防御が崩れ始めて……。最終的なスコア(19対50)を見ると、やはりどれだけ長く自分たちのシステムやストラクチャー(チームの約束事)を保ってゲームを進められるかに、まだ課題があると感じました。サンゴリアスに、ゴール前に攻め込まれたときに、あっさりトライを獲られているのも気になります。モールの防御にしても、厳しさをもっと高めないと」

 それも、すべては次節1月8日のコベルコ神戸スティーラーズ戦(14時30分キックオフ)で、ホストゲーム2勝目を狙うのに必要だと考えているからだ。

「今日の試合を振り返ると、相手の落球から自分たちの攻撃につなげる形は見えてきたし、その点はいい収穫でした。だからこそ、相手に対して、自分たちが準備してきたことをどれだけ出せるか――数少ないチャンスをいかにモノにしていくかが大切になります。今季は、どのチームも前半は自分たちの強みをぶつけて、拮抗したゲームを戦っていますから、そうした意識をより高める必要がある。最終的にどこまで順位を上げられるかも、そこにかかっていると思います」

 連敗が続いたキャプテン時代には、記者会見で悔し涙を見せたことがあったほど、チームの勝敗に強い責任感を抱く亀井が、今はスキッパーという重荷を解かれ、率先垂範でグリーンロケッツ東葛を鼓舞している。
 1月8日のスティーラーズ戦でクルーが熱い視線を注ぐべきは、そんな亀井の勇姿だ!

【NEC GREEN ROCKETS TOKATSU】

プレーヤーズコメント

WTB 杉本悠馬 【NEC GREEN ROCKETS TOKATSU】

開幕戦に続いてトライを挙げたWTB杉本悠馬
「みんなが、いい感じでボールを回してくれたので、トライは誰でも獲れるようなトライでした。トライを獲るのが僕の仕事なので、もちろん次節も狙いたいのですが、それよりも今日はディフェンスで課題が出たので、その部分を修正していきたいですね」

CTB 松浦康一 【NEC GREEN ROCKETS TOKATSU】

昨季4月24日のNTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安(現・浦安D-Rocks)戦以来のトライを挙げたCTB松浦康一
「トライに結びついたアタックは、(金井)大雪もティム(ベネット)もしっかり前を見て、防御の足を止めてパスを送ってくれた。このアタックはトライを獲れるな、と思っていました。久しぶりにああいう形でボールをもらいました。ただ、まだ修正すべきポイントも多いので、しっかり修正して、これからもいいアタックをトライにつなげたいですね」

SH 藤井達哉 【NEC GREEN ROCKETS TOKATSU】

開幕戦ではベンチに控えながら出場する機会がなく、サンゴリアス戦で、昨季3月6日のリコーブラックラムズ東京戦で負傷交代して以来の出場となったSH藤井達哉
「僕にとってはチームが勝つのが一番。だから、ニック(・フィップス)が出て勝つのならばそれでいい。開幕戦も、勝つことが最優先だったので、僕が出ることにはこだわりませんでした。
でも、今日は出場したら、とにかくテンポを変えるしかないと思っていました。負けている状況でも、ニックと違うテンポでラグビーができればいいな、と。
とにかく今は、リザーブでもいいから試合経験を重ねたい。今季は、フミさん(田中史朗)に加えてニックもいるので、必死になって練習しています。昨季はディフェンスに課題があってケガもしたので、全体練習後にコーチ陣といっしょにディフェンスの個人練習もしています。
次節は、試合に出たら、自分のテンポで勝利に導ければ、と思っています」

(取材・文:永田洋光)
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著者プロフィール

NTTジャパンラグビーリーグワンに加盟するラグビーフットボールチーム。 日本選手権優勝3回、マイクロソフトカップ優勝1回の実績がある。2021年にリブランディングを行い、千葉県東葛エリアをホストタウン(千葉県我孫子市、柏市、松戸市、流山市、野田市、鎌ケ谷市、白井市、印西市)とし、チーム名を「NECグリーンロケッツ東葛」に改称。柏の葉公園総合競技場で開催されるリーグワンの試合をホストゲームと位置付けて運営している。「WIN THE RACE」をスローガンとし、日本一を目指す。

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