証言(石田選手):ピッチでは何が起こっていたか 第1節 花園近鉄ライナーズ戦
【NEC GREEN ROCKETS TOKATSU】
「スクラムは今季の武器になる!」 〜1番石田楽人の視点から振り返る〜
前半3分30秒過ぎのマイボールスクラムを押し込んでペナルティのアドバンテージを得たのを皮切りに、31分過ぎのスクラムまで3回、立て続けにペナルティを獲得したのだ。
相手のライナーズは、トップリーグ以前の時代からスクラムに強いこだわりを持つチーム。対するグリーンロケッツ東葛は、昨季の開幕戦では、スクラムを組むたびにペナルティをとられるような状態だった。つまり、事前に予想された彼我(ひが)の力関係を覆すようなパフォーマンスを、グリーンロケッツ東葛FWがやってのけたのである。
スクラムに競り勝つ石田楽人 【NEC GREEN ROCKETS TOKATSU】
「今季は、自分たちから仕掛けて最初のセットで当たり勝つ『ファーストパンチ』を意識しているのですが、それが今日は立ち上がりから上手くできた。特に、前半にペナルティを3つ獲得した辺りでは、自分たちの間合いで組むことができて、今年のテーマである『バランス』が上手くとれました」
ただ、3つめのペナルティを獲得した直後のマイボールラインアウトでボールを失ってから流れが反転。前半終了直前にライナーズにトライを奪われて、一時は19対3と大きくリードしたスコアが、19対15と詰め寄られた。
しかも、後半に入った51分には、自陣ゴール前でスクラムを押し込まれ、ライナーズSHウィル・ゲニアにトライを奪われて、勝負の行方がわからなくなった。
鍛えてきたスクラムで勝利の女神の袖を引くことには成功したものの、スクラムで押し込めなくなったところから、女神が顔を横に向け始めたのだ。
【NEC GREEN ROCKETS TOKATSU】
「試合が進むにつれて身体が疲れてきて、立ち上がりのような、しっかりとしたいい姿勢を保つことが少しずつ難しくなってきた。その結果、自分たちの間合いに適した距離をとれなくなって、相手の間合いで組んでしまいました。試合前には、常に自分たちの間合いで組もうとみんなで意識していたのですが……そうではない時間が生まれてしまったことが、今日の反省点です」
けれども、勝ち試合での反省は、次戦への大きなモチベーションとなる。
「スクラムでペナルティを獲得すると、自分たちも嬉しいし、チームとしても盛り上がる。だから、次節の東京サントリーサンゴリアス戦(18日 味の素スタジアム 14時30分キックオフ)も、失うものは何もない。今日のフロントローは本当に若いメンバーなので(全員が24歳)、チャレンジャーとして最初から持てる力をすべて出し、若さを活かして恐れることなく挑戦したいですね。自分たちの間合いを保つことができれば、これからもスクラムは大きな武器になるでしょうから!」
挑戦が、プレーヤーを大きく成長させるのだ。
(取材・文:永田洋光)
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