プレシーズン期の集大成。リーグワン開幕はもう目の前。〜大友信彦観戦記 12/4 vs.花園近鉄ライナーズ戦 〜
【(C)SHIZUOKA BlueRevs】
Photo by 静岡ブルーレヴズ / 谷本 結利(静岡ブルーレヴズ オフィシャルフォトグラファー)
<観戦記対象試合>
プレシーズンマッチ 花園近鉄ライナーズ戦
2022年12月4日(日) 東大阪市花園ラグビー場 13:00キックオフ
12月4日、静岡ブルーレヴズは花園近鉄ライナーズとプレシーズンマッチを行なった。
会場は東大阪市の花園ラグビー場。ブルーレヴズのほとんどの選手にとっては高校時代に目指した憧れの場所であり、今季リーグワンに昇格してきた花園近鉄ライナーズとは今季の第7節、来る2月5日に公式戦を行う会場でもある。
聖地花園ラグビー場。改修工事後初めて訪れるという選手も多かった。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs 】
静岡ブルーレヴズとしての久々の試合を迎えるHO日野剛志 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
同じく久々の試合となるLO大戸裕矢(手前)。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
公式戦形式で行ったプレシーズンマッチは、9/11釜石戦、11/26神戸戦に続きプレシーズンマッチでは3試合目。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
開始直後の2分と7分には左ゴール前のラインアウトから、11分には右ゴール前のラインアウトから、ともにラインアウトモールを押し切って日野剛志がトライを決める。HO日野の正確なスローイングとLO大戸裕矢の安定感あるキャッチング。着地から素早く塊を作り、左右に揺さぶりながらドライブし、相手の弱いところを見つけてモールを前に進めるFWの結束力。それを最後尾でコントロールしながら、トライラインが見えれば確実にグラウンディングする日野のトライセンス。すべてが合致してのロケットスタート。ブルーレヴズは最初の10分強で17 vs 0と大きくリードを奪った。
早速存在感を見せつけた日野剛志。2分、7分、10分と連続3トライの大活躍! 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
大戸裕矢ここにあり、を見せつける抜群の安定感。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
もちろん、ロケットスタートはFWだけで成し遂げたものではない。
正確なキックパスを繰り出したSOサム・グリーン、落下点へ走り込む速さでボールを再確保したWTB伊東力、好タックルでボール奪取に奮闘したCTB小林広人。地域(陣地)を取るキックが冴えたFB奥村翔主将……FWを前に出したBKの働きも効果的だった。
サム・グリーンのキックはいつみても安心感のある正確さ。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
伊東力の走力は底知れない。どこにでも走りこんでくれる。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
タックル・ラン・パスとマルチに活躍し前進する大きな起点をたくさん作ったCTB小林広人とFB奥村翔 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
好循環はその後も続いた。
15分にはSOグリーンのキックパスからFL杉原立樹が相手ゴール前へ、タックルに倒されながらボールをねじ込むがダブルモーションの判定。16分には相手ラインアウトを奪ってアタックするが攻めきれず、逆襲を浴びるが、ブルーレヴズは連携の取れたディフェンスで粘り強く守った。
18分過ぎには2分近く続いた長い攻防でも勤勉に走り、身体を張ってピンチをチャンスに作り替えた。25分、ブルーレヴズは再びゴール前に攻め込み、左ゴール前のラインアウトからのモールで日野が4本目のトライ。奥村のコンバージョンも決まり24 vs 0までリードを広げた。
得意とするセットプレーからのトライを量産。チームはどんどん自信をつけていく。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
だがブルーレヴズはゲームの支配権を渡さなかった。自陣ゴール前まで攻め込まれてもカバーディフェンスに戻り、相手アタックにプレスをかけ続ける。そして35分、相手BKが危険なプレー(ヘッドコンタクト)でイエローカードを受ける。PKを得たブルーレヴズはまた右ゴール前のラインアウトへ。すでに4Tをあげているモールを警戒するライナーズDFに対して、ブルーレヴズはラインアウト確保するやHO日野が素早くサイドに持ち出し、CTBジョニー・ファアウリがクラッシュ。すぐにSH田上稔が順目にパスを出し、CTB小林広人がインゴールに押さえた。
ジョニー・ファアウリの推進力 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
田上稔の素早い展開 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
庄司拓馬のラストパスで小林広人がトライ。気持ちよく流れる連携プレー。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
続く39分もそうだ。相手キックオフを捕り、CTBファアウリがラックを作ったところからのアタック。右サイドでパスを受けたCTB小林は、数的不利でタックルをためらう相手BKの隙間に大胆に走り込んでキック。方向転換した相手を一気の加速で抜き去ったFB奥村が余裕を持って拾ってトライを決めた。トライを取りきれる形を作り、チェイスするスピードランナーを確認した上での、理詰めのキック選択だった。
理詰めのキックで大きく前進させた小林広人 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
華麗なステップとスピードで鮮やかに相手選手をかわしトライした奥村翔 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
更なる自信をつけるラインアウト 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
難しい角度のボールもしっかり自分のものにする 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
推進力の支えとなる舟橋諒将 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
快足を見せつけた伊東力 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
ナイスランニング!と言わんばかりの熱いハグ。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
PR泓城蓮・NO8三村勇飛丸の相手のリズムを止めるタックルが光る。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
今シーズン2戦目となる出場の矢富勇毅 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
矢富勇毅の経験値から作られる時間。ブルーレヴズのテンポがどんどん加速する。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
この日5トライ目となる起点となったモール。桑野詠真・杉原立樹のエナジーがみなぎる。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
トレーニングの成果を存分に発揮しトライを重ねていく。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
16分、自陣22m線の付近のディフェンスで、相手の不用意なパスでこぼれたボールを拾い、WTBマロ・ツイタマが右サイドを豪快に約70m独走してトライ。さらに22分には後半CTB小林広人との交代でピッチに入ったルーキー山口楓斗がステップを切って次々に相手ディフェンスを突破し、ツイタマにつないでトライ。本来はFBの山口だが、WTBに入るとまた違う突破力、決定力、そしてFBで磨いたアシスト力も発揮する。64 vs 14までリードは広がった。
マロ・ツイタマの独走。後半の苦しい時間にこの快足は鳥肌もの。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
今シーズンメイン登録をWTBとした山口楓斗。快足ステップが生み出す突破力に注目。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
途中出場のフロントロー河田和大・江口晃平・郭玟慶 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
プレシーズン期に大きな経験を積んできた江口晃平 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
マルジーンのものすごいキャリーに会場からは「Wow!」という低い興奮の声が響く。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
プレーオフ期間は多くの時間に出場し、着実にチームの成長に貢献してきたマリー・ダグラス。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
無論、プレシーズンマッチは勝敗がすべてではない。花園もチームの心臓たるSHゲニア、日本代表のCTBフィフィタ、昨季のD2トライ王をわけあったWTB片岡涼亮、LOサナイア・ワクァも欠場していた。第7節で対戦するライナーズの力は、間違いなく、こんなものではない。その事実を承知した上で、この日のブルーレヴズの試合運びは会心の出来だった。
一戦一戦、日を増すごとに自信もチーム力も勝つ力も、どんどん上がっていく。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
花園まで応援に駆けつけてくれたファンに感謝を伝えるメンバーたち 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
16試合を戦い抜いた5月、ブルーレヴズはどんな逞しいチームになっているだろう? <了>
シーズン終了時には、日本一という大きな成果とともに全員で集合写真を撮りたい。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs】
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ