40分x3本での逆転勝利で見えてきたもの。〜大友信彦観戦記 11/26 vs.コベルコ神戸スティーラーズ戦 〜
【(C)SHIZUOKA BlueRevs】
Photo by 谷本 結利(静岡ブルーレヴズ オフィシャルフォトグラファー)
<観戦記対象試合>
プレシーズンマッチ コベルコ神戸スティーラーズ戦
2022年11月26日(土) エコパスタジアム 13:00キックオフ(40分x3本)
11月26日、リーグワン開幕まで3週間の土曜日、静岡スタジアムエコパで、静岡ブルーレヴズのプレシーズンマッチ7戦目となるコベルコ神戸スティーラーズ戦が行われた。
ここまでのプレシーズンマッチの戦績は4勝2敗だが、D1のチームにはトヨタヴェルブリッツ、横浜キヤノンイーグルス(以降横浜E)と2戦してともに敗れている。プレシーズンマッチは勝敗がよりもシーズンに向けた確認・調整が目的とは承知しているが、やはり試合をする以上は勝ちたい。まして、今回はプレシーズンマッチとしては本拠地ラストゲームであり、シーズン本番でも何試合かを戦うことになるエコパが舞台だ。レヴニスタのみなさんに、そしてこれからレヴニスタになるみなさんに、ブルーレヴズが勝利する姿を見ていただき、よろこんでほしい。
今年のリーグワン2022 トヨタヴェルブリッツ戦以来のエコパスタジアム。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
有料興行ということで、ホストゲームで展開しているブースを出店。 静岡ブルーレヴズ公式ボランティアの「Revs Crew」も運営サポートに携わってくれ、 リーグ戦さながらの試合運営を展開。リーグワン開幕に向けますます胸が高まる。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
公式ファンクラブ「CLUB REVS」ブース入会案内や各種特典の相談など なんでも気軽に聞くことができる。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
今シーズンも楽しみなスタジアムグルメ。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
ラグビー観戦には温かいスタジアムグルメが身体にしみる。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
巨大なふわふわ遊具は子供たちに大人気。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
この日は日本代表活動から帰ってきた日野剛志選手が始めた冷凍パン「ひのたけパン」の販売も行われ、多くのファンが購入するために列を作っていた。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
コベルコ神戸スティーラーズもグッズブースを出店! ビジターチームも遠征時にグッズショップがあるのは嬉しい。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
同じく日本代表活動から帰ってきた大戸裕矢選手は、販売のお手伝い。 32歳の仲良し同級生コンビが販売したセット販売のパンは1時間ほどで完売した。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
リーグワン開幕前最後のホストゲームプレシーズンマッチ。 先発メンバーへの期待が大きくかかる。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
試合に合わせてスポンサーパーティーを開催。試合観戦と合わせて、代表活動から帰国した 日野剛志(左)・大戸裕矢(右)のトークショーも行われた。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
惜しくもトライならずだったが勢いを見せた。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
この場面は幸いコーション(警告)のみで切り抜けたが、多くのレヴニスタが肝を冷やしただろう。ディシプリン(規律)は前週の横浜E戦で、最重要課題とされたはずだ。やむをえないペナルティーもラグビーには存在するが、そうではないペナルティーが良いリズムを崩してしまうことは多い。無駄な反則はファンの熱を冷ましてしまう。頼むぞ。
選手は試合中にたくさん審判とコミュニケーションを取っている。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
1st HALFは悔しいノートライ 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
3分、後半最初のスクラムで静岡はコラプシングの反則を奪う(やはりレヴズの生命線はスクラムなのだ!)。チャンスを得たブルーレヴズはラインアウトをFL庄司拓馬が捕球してリズム良くアタックし、WTBマロ・ツイタマがゴールポスト下にトライ。ようやく初得点をあげ、ブルーレヴズは息を吹き返す。攻勢に出たブルーレヴズを前に神戸は苦し紛れのディフェンスで故意の落球を犯しイエローカード。数的優位を得たブルーレヴズは14分、自陣のラインアウトからSOサム・グリーンが豪快に突破し、糸を引いたようなパスを左サイドのツイタマに送る。ツイタマはそのまま相手DFを振り切ってトライ。ゴールは外れたが。ブルーレヴズは12 vs 14まで追い上げた。
強みのセットプレーからの攻撃が波に乗る 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
阿吽の呼吸で動き出すSOサム・グリーンとマロ・ツイタマ 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
マロ・ツイタマの快足は本当に気持ちいい! 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
交代を経てピッチで躍動するPR泓城蓮とFLジョーンズ リチャード 剛 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
だがブルーレヴズの見せ場はここからだった。
10分、ツイタマとの交代で入っていたWTB吉良友嘉が相手DFのギャップを突いて自陣から果敢にアタック、相手タックルを受けながらも前進すると、左に走り込んだFL杉原立樹につないでトライを返す。グリーンに代わってSOに入っていた清原祥がコンバージョンを決め19 vs 33。反撃体勢に入ったブルーレヴズは、さらに20分、残っていたフレッシュレッグスを一斉に投入する。そこにはチーム最年長、コーチ兼任のSH矢富勇毅の姿もあった。そして最年長SHは劇的にゲームの流れを青ジャージーの側に引き寄せた。
ボールを持ち出すスピード。そこからのアタックあるいはパスの決断の早さ。すべてがスピードアップする。相手DFの反応が遅れる。そこに生じたわずかなタイムギャップに、今までなかった攻撃スペースが生まれるのだ。
FL杉原立樹のトライに駆け寄る吉良友嘉、手前は小林広人 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
難しい角度のキックも成功させたSO清原祥 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
今シーズン初の実戦となったSH矢富勇毅 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
キックチェイスからのトライを決めた小林広人 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
日に日に力強さ頼もしさが増すHOリッチモンド・トンガタマ 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
全身が地面すれすれで浮いている。魂のこもったトライを決めた白井吾士矛。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
吉良はそのままインゴールへ走り込み、歓喜の逆転トライ。清原が時間をかけてコンバージョンキックを蹴ると同時に、フルタイムのホイッスルが鳴った。38 vs 33。ブルーレヴズが神戸を下したのだ。
プレシーズンマッチで初めての、D1相手の勝利。それも名門にして強敵の神戸からの勝利だ!
【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
ラストワンプレーの劇的トライで逆転と決めた吉良。 献身的に走り回る彼に最後は勝利の女神がほほ笑んだのかもしれない。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
「最後の40分は、選手たちが誇りに思えるゲームをしてくれた」
堀川隆延ヘッドコーチはそう選手を称える一方で「最初の40分と次の40分は、日本一を目指すチームのパフォーマンスに相応しいレベルには届いていなかった」と厳しい顔で振り返った。奥村翔主将も「前半はペナルティーとミスが多くて、自陣に貼り付けになってしまった。ペナルティーの多さに関しては、選手の意識をまとめきれなかったリーダー陣の反省点です」と唇をかんだ。勝利したことは喜びたいが、あくまでもプレシーズンマッチ。相手も、リーグ戦前のチーム成熟度を確認する試合だったのかもしれない。
【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
試合後の会見で、堀川ヘッドコーチは言った。
「正直言って、きょうの40分×3本の編成は、現時点でレギュラーに近いのは最初の40分、次の40分に出た選手たち。3本目に出た選手は、練習では仮想神戸として、相手チームの動きをして1、2本目の練習台になっていた選手たちです。その選手たちが、最後の3本目に出てきてチームのために仕事をした。これは、今のレヴズが作り上げようとしている良いカルチャーだと思います」
神戸戦ではリーグ戦を見据えたメディア運用ということで、記者会見やミックスゾーンも設置。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs】
「7ヵ月ぶりの試合で、さすがのゲームコントロールをみせてくれた。ここは攻める、ここは我慢する、という判断が素晴らしい。経験を積んだ選手ならではのよさを発揮してくれた」
プレイングアドバイザーとしてコーチ陣としても選手としてもチームを見てきた矢富勇毅。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
プレシーズンマッチは次のビジター12月4日の花園戦。ピッチに立つのは果たして誰か。 【(C)SHIZUOKA BlueRevs / Yuuri Tanimoto】
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ