【公式独占】パルクールの未来、世界で示した日本のレベル―泉ひかり選手・鈴木智也選手・朝倉聖選手インタビュー

公益財団法人 日本体操協会
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【©︎JOC】

国際体操連盟(FIG)主催による初めてのパルクール世界選手権が10月14日〜16日の3日間、東京・有明アーバンスポーツパークで開催された。

この歴史的な大会で女子フリースタイルの山本華歩選手が日本選手のメダル第1号となる銀メダルを獲得し、また多くの選手が決勝に進出して入賞するなど、日本勢の活躍が目立った大会となった。

大会終了後、女子スピード4位の泉ひかり選手、男子フリースタイル4位の鈴木智也選手、同7位の朝倉聖選手にインタビューを実施。日本パルクール界の中心として今後のさらなる活躍が期待される3選手に、初めての世界選手権を戦い終えての率直な感想、世界の舞台で示した日本勢のレベルの高さ、思い描くパルクールの未来について語ってもらった。

朝倉聖選手 【©︎JGA】

――世界選手権の3日間、本当にお疲れさまでした。パルクールでは初となる世界選手権を終えられて、どのような大会だったという感想を持っていますか?

鈴木選手 世界各国の選手がここ東京に集まって、同じステージで大きい大会を開催できて、すごく良かったなと思います。日本で開催されている大会はいつもステージが小さいのですが、今大会は世界選手権ということでコースが大きく作られてもいたので、そこはすごく良かったと感じています。

泉選手 今回初めての世界選手権で、過去最高に参加国・地域が多くて、そういう大きな大会が日本でできたことはすごく意味のあることだなと思います。やはり生のパルクールを見られる大会を日本で開催できることが本当に少ないので、いろいろな多くの人にパルクールを知ってもらえる機会であったり、いろいろな選手のパルクールを見てもらえる機会があって良かったなと思います。

朝倉選手 僕も同じく、今までで最大の参加国・地域による大会が日本で開催されることは本当に嬉しいことです。また、今回は女子フリースタイルで山本華歩選手が表彰台に上がったのですが、日本のパルクールシーンでは女子のプレーヤーがまだあまりいなくて、その中で憧れる存在がまた増えたということはすごく大きいと思います。そして、こうしてパルクールのことを初めて知ってくれた人や始めてくれる人が今回をきっかけに増えてくれたらいいなと思っています。

泉ひかり選手 【©︎JGA】

――各選手の競技におけるパフォーマンスが素晴らしかったのはもちろんですが、大会のオープニングセレモニーも大変印象的でした。思い思いに各国・地域の選手たちがオブスタクル(障害物)の上に立って国旗を掲げている姿には独特の華やかさも感じましたが、実際にそうしたオープニングセレモニーに参加して、どのような感想を持ちましたか?

泉選手 あのような形でのオープニングセレモニーは初めてでしたね。パルクールならではだなぁと思ったのは、ステージ上の各国・地域の場所は決められていなかったんですよ。係員の方から「さあ、行って」と言われてステージに上がって、みんな自分たちの好きな場所に行くんです。それで、後から画像などで見ると、こんなにたくさんの国・地域の選手がいて、その一員になれたのはすごく嬉しかったですし、オープニングセレモニーは面白かったですね。

――オープニングセレモニーからして何をしても自由というのは、本当にパルクールならではのものでしたね。

泉選手 はい。日本の国歌が流れている時にレールの上に乗って聞くことになるとは思っていなかったので(笑)。

鈴木選手 こんな感じでいて大丈夫なのかな?って(笑)

■鈴木選手「今の日本は相当強いと感じた」

鈴木智也選手 【©︎JGA】

――競技以外でも面白い経験となりましたね。今大会は日本選手の活躍も目立ちました。そこで3選手には、日本選手のここが良かったなと思ったところを教えてください。

朝倉選手 みんな良かったと言ってしまうと、何か手を抜いたコメントのように聞こえるかもしれませんが(笑)、本当に日本選手みんなすごく良かったですね。女子のランも見ていましたが、今まで以上に構成も良くて、全体のまとまりもきれいだなという印象がすごく良かったですね。華歩さんもしっかりと表彰台をとらえてメダルを取ってきましたし、日本勢全体としても日本大会からレベルが徐々に上がっているというのを最近では感じているのですが、今回出場していた日本代表はみんな世界で戦えるレベルに上がっていると思いました。

泉選手 今まではやはり大会によっては参加国・地域が少なかったり、強い国が出ていないということもあったのですが、今回は本当に全部の国・地域が集まった中で日本選手全員がすごく健闘していたのも驚きでした。その中で山本選手みたいにメダルを取る選手もいれば、朝倉選手みたいに大会で初のクアドコークに挑戦したりと、みんながどんどん己の限界に挑戦していくところが見えて、自分ももっと頑張ろうと思いました。

鈴木選手 今大会は多くの国・地域の代表たちが参加していましたが、たぶん日本とスウェーデンだけですかね、もしかしたら男女を通じてだと日本だけだったかもしれませんが、フリースタイルでは男女ともに3選手が決勝に上がれるだけの実力を持っていたということがこの大会で示されたので、今の日本はやっぱり相当強いんだなと感じました。もちろん、ここにいるレジェンド、4回ひねりというクアドコークは歴史的快挙ですよ。4回ひねりを大会でやる選手はいないので、そういうところに関してはすごく強いものを今回出したのかなと。さらに世界に名が響いたと思います。もともと世界に名は響いていましたけど(笑)

■泉選手「パルクールが当たり前に、日常生活にあってほしい」

泉ひかり選手 【©︎JGA】

――その朝倉選手のクアドコークもそうですし、山本選手が32歳にして世界選手権のメダルを獲得したことで、その下の世代にあたる皆さんにとっては大きな目標にもなったのではないかと思います。そこで最後の質問ですが、選手としてはもちろん、パルクールを実践している一人のプレーヤーとして、これから先の5年、10年、20年後を見据えパルクールをこうして日本で広めていきたい、あるいはこのように定着してほしいなど、『パルクールの未来』について思い描いていることをお聞かせください。

泉選手 自分はもともとパルクールを競技としては始めていなくて、ずっと好きでやり続けている中で気が付いたら今大会のように競技としても発達していました。今、日本でパルクールの大きな大会が開催されて、たくさんの人が見に来てくれているという現状をすごくビックリしています。これから競技の面が強くなっていく半面、でもやっぱり競技以外のパルクールの良さも知ってもらえるいい機会だと思っています。大会をきっかけにパルクールを知ってもらったその先に、競技者だけじゃなくてパルクールの愛好家だったり、本当に趣味でやる程度、みんなと遊びに行ってちょっとボーリングに行こうみたいなノリでパルクール施設に行ってみる?みたいなことがあってもいいなと思っています。最近、私のお母さんが55歳くらいなんですけど、健康維持のため、ちょっとダイエットのためにという感じでパルクールを始めてすごく楽しそうにやっているので、本当に幅広い年代で誰でも気軽に始められるというのがどんどん浸透していけば、パルクール実践者の幅が広がって、何か楽しくなるんじゃないのかなと思っています(笑)。そういうふうに5年後、10年後、もっとパルクールがそんなに特別なものじゃなくて当たり前に、日常生活にあればいいなと思います。

鈴木智也選手 【©︎JGA】

鈴木選手 こういう世界大会やほかの大会、またイベントとかでもそうなのですが、体験会みたいなものがよくあります。そうした体験会が開かれることで、子供たちが積極的に参加してくれたり、興味を持って始めてもらえるきっかけにもなると思います。また、子供たちの体験会だけではなくて、泉さんも言っていましたが、大人の本当に初心者の方でも始められる場所が最近は増えてきているので、そういう施設の増加もパルクールが広まるきっかけになるのかなと思っています。ぜひこうした大会などで少しでもパルクールに興味を持っていただけたらと思いますし、そうやって少しずつでも普及していけばと思います。
朝倉選手 誰かと話したり、パルクール教室の生徒さんから話を聞くと、やはりどうしてもパルクールはハードルが高いと最初に思う人がすごく多いです。なぜかと言うと、良い意味でも悪い意味でも、パルクールは派手で華やかな動きが目立つ部分があるからなのですが、そういった部分から入っても実はパルクールって身近なものなんだよとつなげていきたいと思い、僕はこうした競技やメディアを通して活動しています。そして、アスリートとして活動していく中で、やはり“ヒーロー”というものが必要だと思っていて、僕はそういったヒーローになりたいなと思っています。また今回、山本選手がメダルを取ってヒーローになりましたが、何人もいろいろなヒーローがいることが大事だと思います。それは例えばコーチのヒーローだったり、なんでもいいと思うのですが、身近な存在にヒーローがいてほしい。パルクールはそうした身近な存在であるということを自分の活動を通してつなげていきたいですね。また、パルクールのコミュニティーって、温かいというか、みんな仲がいいんですよね。こうした大会を通しても手を取り合って、協力し合って、温かいコミュニティーとして今後もやっていけたらなと思います。

泉選手 パルクールって、競技としてやるのもいいし、趣味としてやるのもいい。また、トレーニングとしてもリハビリとしてやってもいいんです。こういうふうにいろいろなパルクールが共存できればと思っています。そういう意味でもコミュティーが一丸となってパルクールを盛り上げていければいいのかなと思います。


朝倉聖選手 【©︎JGA】

――みんなが競技を目指すのではなく、ライフスタイルとしても、ということですね。

泉選手 そうですね。もちろん競技も良い一面の一つですし、自分は今競技にいますけど、その前はパフォーマーとしてメディア活動していて、さらにその前は本当に趣味としてパルクールをしていました。これから先はどうなるかは分からないですけど、最終的にはおじいちゃん・おばあちゃんになってもパルクールを好きで続けられればいいなと思っているので、どういうパルクールが認められてもいいと思うんです。誰のどのパルクールも否定されるものではないと思っています。そういう形で皆さんに理解していただければ、すごく嬉しいですね。みなさん、ぜひ一緒にパルクールを楽しみましょう!

パルクー界をを牽引するTEAM JAPANメンバー 【©︎JGA】

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