小祝さくら 忍耐で奪った7メートルのカップイン
【<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>】
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《グリーン=スティンプ:10 1/2フィート コンパクション:22.5mm》
新たな可能性を見出すためにテイクオフ。小祝さくらが、今季初優勝を飾った。これまでと違うことは、今回の通算7勝目がしみじみと、「ラッキーでした」。心の底からうれしそうだ。
前日とは一転。パッティングが決まらない。2バーディー、1ボギーの内容に、「本当に長い1日。それから、気温が上昇してとても暑い。タフでした」と絞り出すように語っている。
スタート時、2打差のアドバンテージがあったものの、サイペイインに3番で並ばれるなど、ハラハラドキドキのプレーが続いた。「(優勝は)きびしいなぁ」と感じることも。前半はパープレーである。結果からすると、やはり13番がキーホールだろう。
残り140ヤードの第2打を8Iで7メートルへ。「パッティングが最後まで、ダメダメ」といったものの、同組だった桑木志帆のパッティングが参考になり、ワンカップのスライスラインーと読んだ。「調子が良かった、きのうのイメージをしっかり思い出して、ストロークすれば大丈夫」と言い聞かせ、見事なバーディーを決めた。
「ちょっと強めだったけど、運が良かったかも。とても大きなバーディーです」と照れながら振り返る。数少ないチャンスを味方にすることも実力だ。それどころか計3回、サイに肩を並ばれたものの首位を明け渡すことはなし。勝負強さを発揮したのだ。
ただし、最終18番に関してはこんな注文を自身へつけている。「パー5だったし、最後はバーディーを決めて優勝したかった。内容が悪いパッティングではなかったけど、残念です」と首をひねっている。
【<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>】
次週の全米女子オープン挑戦も、「オフにはまったく考えていない。今年は前半からショットの調子が良かったから、チャレンジしたいと思った。出場したいといったって、簡単に出られる大会ではない。新しいコーチは英語を話します。決め手になりました」という。
一方で、142試合の連続出場から自身が得たものも大きい。例をあげれば、今回のクラブセッティング。予選ラウンドでは5Wを入れた。しかし、決勝ラウンドでは5Wを抜き、48度ウェッジへ変更。調子、コースの攻略など総合的に判断した。もちろん、米国遠征でも機転が利くことだろう。
20年大会では予選落ちを喫したが、「行くからには頑張ります」と頼もしい。そうはいっても、相変わらずのつつましやかな一面は変化がなかった。「2週前から欲しい、ケアベアのぬいぐるみがあって…。全種類を集めると何万円もかかるから優勝したら、と決めていた」。はずかしそうに告白した。そのありようは、さながら大和なでしこ。
プレー中から会見まで、控えめで物静かだった。精神を一定に保つことができることが最大の特性かもしれない。
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