高体連組織に内在するコンフリクトの検証と一考察 ―陸上競技組織の特性に着目して―

日本スポーツ産業学会
チーム・協会

【イメージ写真】

一口に高校スポーツといっても、競技によって統括する組織が異なり、統括組織によって方針や取り組み、運営が異なります。
本研究では、高校スポーツの中でも高体連組織について検討しました。注目したのは、高体連に関係する陸上競技の組織で、中央競技団体の日本陸上競技連盟(以下、日本陸連)、高校スポーツ組織の統括団体である全国高等学校体育連盟(以下、全国高体連)、全国高体連の傘下で高校カテゴリーの陸上競技を管理・実質的な大会運営を担う全国高等学校体育連盟陸上競技専門部(以下、全国高体連陸上専門部)の3つです。

近年、高体連組織により運営されるスポーツイベントの現場では、競技会の開催可否やルールの設定、スポンサーへの対応などの意思決定において、全国高体連と中央競技団体の両者への調整、あるいは合意の取り付けが必要となっています。
この問題により、現場ではどちらの組織の命令や指示を重視すればよいかという判断に迷いが生じ、そこには組織間のコンフリクトが存在するのではないかと考えました。
以上のことから、本研究では全国高体連と全国高体連陸上専門部の間に生じていると仮定するコンフリクトについて検証することを目的としました。

研究方法の第一段階では、全国高体連と日本陸連、全国高体連陸上専門部の実質的な組織の機能面(役割)について文献等を用い調査しました。
第2段階では、新型コロナウイルスの影響を受け開催したインターハイの代替大会において各団体がどのような支援レベルにあったかを分析しました。
第3段階では、各団体の定款や規約を基に、3つの組織運営における目的や事業内容、意思決定に関して、どのように規定されているかを整理し、コンフリクトを観察しました。

その結果、全国高体連と全国高体連陸上専門部の間には、「担当業務の曖昧さ」、「タスクの相互性依存」、「共通の資源」、「社会的評価の不一致」の4つのコンフリクトの局地的条件が明らかになりました。
本研究で得られた結果が、高体連組織の活性化に役立てば幸甚に存じます。

久保賢志 至学館大学
津吉哲士 関西福祉科学大学
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著者プロフィール

日本スポーツ産業学会は「スポーツ産業の健全な発展に寄与できる学会」「産官学の共同による開かれた学会」「国際性豊かな学会」等を中心テーマとし、平成2年に設立されました。 当学会が運営している「SPORTS BUSINESS ONLINE」は、論文誌「スポーツ産業学研究」、情報誌「Sports Business & Management Review」に続く第3の情報媒体として2021年に開設したWebジャーナルです。 コンセプトは「スポーツビジネスのあらゆる情報が集結するオンラインジャーナル」。 本学会が主催するセミナーや学会大会などの情報(案内・プログラム・講演録)や、論文記事情報などを中心に様々な情報を発信しています。

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