【柔道】2022年全日本選抜体重別選手権:男子は古賀玄暉が鮮やかに、女子は濵田尚里が得意の寝技でオール一本勝ち

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【Getty Images】

「2022年全日本選抜柔道体重別選手権大会」が4月2日(女子)と3日(男子)に、福岡国際センターで開催された。阿部一二三や永瀬貴規、濵田尚里が東京2020オリンピック金メダリストの貫禄を見せ優勝。大会後には一部階級を除き、10月に行われる世界選手権の日本代表選手が発表されている。

◆偉大な父を追いかける古賀玄暉が東京2020金の高藤直寿を下して連覇

男子では、60kg級で2021世界選手権銀メダルの古賀玄暉が、東京2020金メダルの高藤直寿を決勝で下して連覇を達成した。古賀の父親は1992年バルセロナオリンピック71kg級金メダリストで「平成の三四郎」こと稔彦氏。父譲りの一本を取りに行く柔道は、しっかりと息子に引き継がれていた。

1回戦では昨年の決勝で対戦した竪山将を隅落で、準決勝は1回戦で2021世界選手権金メダルの永山竜樹を下した青木大に小内刈で一本勝ちを収めると、2014年以来8年ぶりの優勝を狙う高藤との頂上決戦を迎えた。試合開始から2分1秒、古賀は指導を1つもらっていたが、組み手争いから右足で高藤の左足を狙う。わずかな隙から切れ味鋭く出足払いが決まって一本勝ちとした。

昨年もこの大会を制していたが、東京2020金メダルの高藤から一本勝ちを収めたことに大きな価値がある。所属先の先輩にあたる、東京2020金メダリストの大野将平(73kg級)や永瀬貴規(81kg級)から叩き込まれたことを、本番で如何なく発揮することができていた。「ここで勝たないと次の大会に繋がらない。パリオリンピックへ行くためにはここで何としても優勝をしたかった」と語る古賀は、けんか四つの相手を想定した練習を徹底的にやり込んでいたのだ。

1年前の3月24日、父の稔彦氏が53歳の若さで亡くなった。今大会直前に一周忌を迎え、古賀は改めて父親からのLINEを見返していた。「最後まで指導1つや技ありを取っても守らずに、最後まで気を抜かずに攻めろ」という言葉を胸に、古賀は今大会に臨んでいた。かつて、71kg級(当時)で6連覇を達成していた稔彦氏。古賀は残念ながら今秋の世界選手権代表に選ばれなかったが、偉大な父親を超えるためにも、国際大会などで結果を残すことが必要である。

他の階級では、66kg級で阿部一二三が東京2020の代表争いを繰り広げた丸山城志郎との激戦を制し、81kg級の永瀬貴規も決勝で大外刈を鮮やかに決めて貫録を見せた。100kg超級ではバルセロナオリンピック銀メダルの直也氏を父に持つ小川雄勢が、オリンピアンの原沢久喜に勝利。反対のゾーンで準決勝を戦った斉藤立と太田彪雅が両者反則負けという幸運にも恵まれて、2018年以来4年ぶりの優勝を成し遂げた。

大会後には、全日本柔道連盟が今年10月に開催が予定されている世界選手権の日本代表を発表。今大会の優勝者からは阿部、橋本壮市、永瀬、増山香補が選出された。100kg超級については、4月29日開催の全日本柔道選手権大会後に発表される。

【世界柔道選手権大会代表選手】

60kg級:高藤直寿
66kg級:阿部一二三、丸山城志郎
73kg級:橋本壮市
81kg級:永瀬貴規、藤原崇太郎
90kg級:増山香補
100kg級:飯田健太郎

◆“寝技の女王”健在、濵田尚里がオール一本勝ちで大会3度目の制覇

女子は52kg級の阿部詩が準決勝で棄権となったものの、東京2020のメダリストからは濵田尚里、渡名喜風南、芳田司が決勝まで勝ち上がった。

特に78kg級の濱田は、圧巻のパフォーマンスを見せた。1回戦では梅津志悠を縦四方固、準決勝では泉真生を横四方固の一本勝ち。東京2020で世界を驚かせた寝技を見せつけると、決勝では大会連覇を狙う高山莉加と顔を合わせた。決勝で濱田は序盤から攻められる展開とされ、残り2分39秒には指導を受けるが、「得意の寝技で取ることができた」と、残り36秒には得意な形に持ち込んで横四方固の一本勝ち。”寝技の女王”が本領を発揮し、3年ぶり3回目の大会制覇とした。

東京2020で金メダルを獲得後の9月に31歳を迎えた濱田だが、「すべての面でまだまだ」と自分自身に伸び代を期待した。10月開催予定の世界選手権、その先のパリ2024でオリンピック連覇を目指す濵田にとっては、再びスタートラインに立った心境なのだろう。

48kg級では、東京2020銀メダルの渡名喜風南が2021世界選手権金メダルの角田夏実を下し、57kg級の舟久保遥香と78kg超級の冨田若春は大会連覇を果たした。

大会後には、全日本柔道連盟が今年10月に開催が予定されている世界選手権の日本代表を発表。今大会の優勝者からは渡名喜、舟久保、堀川恵、田中志歩、濵田が選出された。78kg超級については、4月17日開催の皇后盃全日本女子柔道選手権大会後に発表される。

【世界柔道選手権大会代表選手】

48kg級:渡名喜風南、角田夏実
52kg級:阿部詩
57kg級:舟久保遥香
63kg級:堀川恵
70kg級:田中志歩
78kg級:濵田尚里

文: マンティー・チダ
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