代表級やリーグのトップ選手を嫌がらせる 「持ち味のディフェンスを見てほしい」 #13中村浩陸

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2019年12月に特別指定選手として加わった#13中村浩陸にとって、今季は実質的にプロ2シーズン目。プレシーズンゲームで負傷した影響で開幕から4試合を欠場し、復帰後も多くが10分未満の出場時間に終わるなど、苦難の幕開けとなった。

「今季は開幕前にケガをしてしまって、あまりいいスタートが切れませんでした。途中から身体が動くようになってきたのですが、そのタイミングで今度はチームがコロナ禍に見舞われてしまって、また調子を崩してしまった。個人的には、あまりいいリズムに乗れていないシーズンかなと感じています」

相次ぐ故障者の発生やコロナ禍による活動停止など、チーム全体もたびたび不運に見舞われて、構想の変更を余儀なくされる。その過程でチームが中村に求めるものも、当初から変わっていったのだという。

「自分としては、しっかりボールを運んでプレーを組み立てるのはやりたいことだし、それをもっと上手くなりたいと思っています。だけど今の僕に求められているのは、ウイングをしっかり走って、潤滑油的にチームの流れを良くすることですかね。そうやって途中から自分の役割が少しずつ変わっていって、それにアジャストできない自分がいました」

調子を取り戻した11月半ばから1月上旬にかけては、安定して20分近くのプレータイムを得ていたがその後、3月上旬まで再びプレータイムが10分に満たない試合が続く。このころが、彼が新しい役割にアジャストしようともがいていた時期だろう。だが自身が

「自分がやりたいことと、チームとしてやらないといけないことのギャップを埋めるのが難しかった」

と過去形で言うように、それはもはやクリアされた。実際にここ最近は20分近くコートに立って、3連勝にも貢献。そして今の彼は、チームの勝利により貢献するために、新たな課題に目を向けている。

「今季は昨季と比べると、自分の得点力が少し落ちてしまっています。とくに、2Pですね。自分でもアグレッシブさというか、リングへのアタックが少し減っているかなとは思っています。調子がいいときは自分のリズムだったり、流れだったりというのがあるのですが、以前と比べても最近の自分のプレーはあまりいいリズムではないかな。そういったアグレッシブな部分を、増やしていかないといけない。そう思っています」

チームには#25ディージェイ・ニュービルという圧倒的な得点源がいて、相手チームがここへの警戒を強めるのは必然。だからこそエヴェッサには、ニュービル以外のスコアが必要になる。自分がそのひとりになると、プロ2季目の男は意を決する。

「どのチームにとっても、ディージェイはすごく脅威です。そんな状況で僕がしっかりとリングにアタックしていけば、いいリズムになると思う。練習ではインサイドの選手を上手く使ったりとチームがやることをまずは最優先して、自分としてはできるだけリングにアタックすることを考えながらやっています。これからの終盤戦では、もっと自分の得点も意識してやっていきます」

#1青木龍史、#8ジャワラ ジョゼフとともにチーム最年少の24歳。試合直前のハドルのなかに入って、チームを鼓舞するのも若い中村の役目だ。
「あのハドルのなかでは、なにも意味のあることは言っていないです。ただワーワー言って、躍っているだけですよ(笑)。自分を捨ててというか、自分でもテンションを上げていかないと、あそこに入るのは大変ですね(笑)。あれがなんで始まったのか、覚えていません。でもチームが盛り上がれば、いいんです。あれだけ躍っていたら、自分のテンションも上がってきますしね」

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一方でオフは、完全なるインドア派なのだそう。

「オフの日にどこかに出かけてリフレッシュしようとは、あまり思わないほうなんです。基本的にオフは、家でゆっくりすることが多いですね。家ではゲームをやっていることが多いかな。通信で(#14橋本)タクヤさんとかといっしょに。あとは寝るか、ネットフリックスを見て、それから適当にスーパー行って自炊してって、普通の暮らしですよ。なにかもっといいことに時間を使えばいいのにと、自分でも思うんですけど(笑)」

プロ2季目のシーズンは半分以上を消化し、終盤戦を迎えた。苦難した時期もあったが、それでも自身のプレーヤーとしての成長に実感を得ている。

「Bリーグに慣れてきて、自分がなにをすればいいのかわかってきました。自分の持ち味であるディフェンスなども、少しは成長したのかな。リーグ全体を見てもそうだし、チームメイトにもいろんなタイプのポイントガード(PG)がいます。試合や映像を見ながら、もっともっと自分のレベルを上げていきたい」

高校時代はあまり考えず、ただガムシャラにプレーした。大学生になって考えてプレーすることを意識し始め、プロになってそれがいかに大事なことなのかを身をもって知った。まだキャリアの浅い彼にとって、今は自分のプレーの引き出しを増やすべき時期。

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「PGをやり始めたのは大学生からで、PG歴はまだ浅いんです。大学生のころに、PGはこういうふうにプレーしないといけないとか、周りに声をかけないといけないことなどを学びました。Bリーグに行きたいなと考え始めたころも、やっぱりこの身長だとPGしかやれるポジションはないかなと思っていたんです。今チームから僕に求められているプレーを消化できれば、自分の幅を広げることにもなると思っています。身長は低いですけど、ひとつのことができるよりもふたつ、3つとできたほうがいい。だから今はいい経験だと思って、取り組んでいます」

今節も含めて、残りゲーム数は16。そのなかで彼は自分になにを求め、なにを表すべきだと考えているのか。

「試合に何分出るかはわからないですが、出たらチームに求められていることを表現して、チームに必要な存在だと思われるようなプレーをしたい。これは本当にずっと変わらないのですが、自分の長所はディフェンス。ディフェンスは能力自体も上がっていると思いますし、相手を見てどうディフェンスをするのがいいのか。この選手はこういうことが得意だから、そういうプレーをさせないようにディフェンスに付くとか。そんなことが、わかるようになってきました。僕がコートに立ったら、やっぱりそこを見てほしいですね」

ゲームでは日本代表クラスやリーグ内でもトップレベルの選手などとマッチアップして、相手が中村の執拗なディフェンスにうんざりしている様子がたびたび見られる。今節はとくに背番号13のディフェンスに注目して見てもらえれば、ゲームがより興味深くなることだろう。
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著者プロフィール

2005年にクラブ創立。七福神のお一人で商売繁盛の神様である「戎様」を大阪では親しみを込めて「えべっさん」とお呼びするところから、 人情・笑い・商売の街大阪を活気づける存在であることを願い「大阪エヴェッサ」と命名。 同年にスタートしたbjリーグで開幕から3連覇を成し遂げる。 2016年9月に開幕した男子バスケットボールの最高峰・Bリーグでは、ホームタウンを大阪市とする大阪唯一のクラブとしてB1に参戦。

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