早大・箱根2022事後特集『繋』第5回 1区・3年 井川龍人「準備が足りなかった」

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【早稲田スポーツ新聞会】

【早稲田スポーツ新聞会】取材・編集 及川知世、堀内まさみ

 東京箱根間往復大学駅伝(箱根)1区を任されたのは2年連続この区間での出走となった井川龍人(スポ3=熊本・九州学院)。シーズン序盤に1万メートル27分台ランナーとなり、全日本大学駅伝対校選手権(全日本)でも区間2位と好走。期待され迎えた3度目の箱根だったが、ハイペースについていけず区間16位。12月に調子が上がらず、不安のある中でスタートラインに立った心境、そしてついに最上級生となる来シーズンに向けての意気込みを伺った。

※この取材は1月29日にリモートで行われたものです。

第98回東京箱根間往復大学駅伝事後特集 【早稲田スポーツ新聞会】

「準備が足りなかった」

――解散期間はどのように過ごされましたか

 帰省していました。家に愛犬がいるので一緒に過ごしたり、あと何回か高校の陸上部の同期と佐賀の方にみんなで遊びに行ったりしました。

――箱根後の疲労の残り方はいかがでしたか

 毎年箱根後に故障しがちなのですが、今回それに注意するためにいつもなら走るところを少し我慢し、向こうに帰って高校の時にいつも行っていた治療院に行って対応できたのでそこは良かったと思っています。

――箱根を振り返っていただきます。1区での出走が決まったのは直前と伺いましたが、具体的にいつ頃どのように言われましたか
 
 今年だけでなく昨年もなのですが、前々から1区を頼む、みたいな感じではなく直前に1区で良いのか確認するような感じでした。今年は、1週間前は僕も10区や7区など結構復路メインで考えていたので、かなり直前で言われたという感じはありました。

――最終的に1区での出走となりましたが、直前になって調子が急に上がったのですか

 1カ月間くらい調子がずっと悪くて、自分でも今回ダメなんじゃないかって気持ちもどんどん下がっていって…

――ダメというのは出走自体ですか

 出走自体もだし、練習もそこまで積めていなかったのでベストパフォーマンスができないんじゃないかなみたいに色々考えてしまっていて。でもどんどん近づくにつれ、人数も少なかったというのもあり、やらなきゃいけないな、となっていました。ですが、ほんと1週間か10日前くらいから急に調子が上がりだして、いけるんじゃないかなという風になっていきました。

――今までに大きいレースの前になかなか調子が上がらず直前にグッと調子が上がったという経験はあったのですか

 今回がそういうケースは初めてかもしれないです。

――良いレースができるときは調子が良い状態で迎えることがほとんどですか

 普段は、調子が良いまではいかなくてもいつもどおりの練習はできる、最低限はこなせる、くらいなのですが、今回は最低限もこなせていなかったので、ちょっとおかしいなと感じていました。

――12月に調子が上がり切らなかった原因について今振り返って思い当たる原因はありますか

 全日本を走って、その後学内のハーフをやってすぐ集中練習に入るみたいな時に、疲労をすごく感じていて、疲労を取るのが先か練習を積むのが先か、というのが曖昧になってしまい、結局両方引きずりながら練習してしまいました。その結果、練習もできない、疲労を感じる、みたいな感じでどんどんマイナスに陥って、モチベーションも下がり気味になっていたというのが反省点かなと思います。

――11月はすごく調子が良さそうで、レースでも結果を残している印象だったのですが、ご自身の体感としてもそうですか

 はい。11月の最初の方は良かったという感じです。

――調子が悪くて練習をうまく積めなかった時期への取り組みの姿勢などは今振り返るとどうですか

 調子が悪いと感じてから疲労を持ったまま過ごしたのがいけなかったと感じています。12月は1、2週間その状態を引きずってから相楽さん(豊駅伝監督、平15人卒=福島・安積)に2日間か3日間休みください、と言って休んだので、もっと早めにそういう対応ができたらなと思っています。

――箱根前はチームとしても足並みが揃っていない、というお話をされていましたが、そういったことの原因はどういったところにあったと感じていますか

  個人的な意見なのですが、コロナが関係して今年は夏の帰省もなく、選手がリラックスできる場面がないままトラックシーズンから駅伝シーズンに移行し、1年間みんないっぱいいっぱいでやってきたのが後半の12月、1月に来てしまい、故障者も多く、全体的にモチベーションも上がり切らなかったのかなと感じています。

――改めて13位という結果はどう受け止めていますか

 期待されていた年にそういう順位を取ってしまって、自分たちも納得していないですし、自分たちだけでなくいろいろな人がいろいろな思いをする結果になったのではないかなと感じています。

――相楽監督がレース後のインタビューで、1区の序盤の入りがかなり早くて想定外だったとおっしゃっていましたが、井川選手からも想定外でしたか

 走る前に何パターンもイメージはしていて、スローになる場合もあるかもしれないし、ハイになるかもしれないと、想定はしていました。11月の全日本辺りの調子でいたら、もっと吉居(大和、中大)と先頭で2人でレースができて、単独2位以上は取れたのではないかなと感じてはいたので、準備が足りなかったなと感じます。

――レース後にかけられた言葉で印象的だったものはありますか

 4年生が謝っていて、来年は頼むと言われました。本当にあっという間で気づいたら最上級生になっているので、チームを引っ張っていきたいなと感じました。

――結果に対するチームの捉え方は井川選手からはどのように感じられていますか

 直後はみんなすごく落ち込んでいて、各々反省等していました。この悔しさは忘れてはいけないのですが、すぐ新チームになり、僕たちが最上級生となって、今まで過ごした早稲田の中でもまた違った雰囲気のチームが出来上がりつつあるのかなと感じています。

――新チームの動き出しはスムーズだったのですか

 そうですね。結構今まで少しだらだらやっていたのかなという感じがあったので、僕たちの代からはそういったことも無くし、帰省中もzoomミーティングを行い、次に向かって頑張ろうという感じになっています。

――来年は何区を走りたいですか

 1区以外ならどこでも良いです(笑)。今までは1人で走る力があまり無くて、1区で人を使って走るのが得意だったのですが、だいぶ1人でも走れるようになってきているので、自分のペースで、マイペースで走れるところが良いです。

――復路を走る可能性もあるという感じですか

 復路だったら一生抜かれない記録を作れるくらいの気持ちで、往路だったら2区3区を狙っていきたいと思っています。

「今までにない早稲田をつくりたい」

笑顔で質問に答える井川 【早稲田スポーツ新聞会】

――箱根までを終えて改めて今シーズン全体をどう振り返りますか

 1万メートルで自己ベストが出て日本選手権を経験し、全体的に(いろいろなことを)経験できましたが、箱根の1カ月前にモチベーションなどいろいろ低下してしまったことなどがあり、この1年とても勉強になったと思います。いろいろな反省点があるので来シーズンに生かせるかなと感じています。

――昨シーズンと比べると手応えはどちらが上ですか

 微妙ですね。まだ納得はできてないので。1万メートルで結果を出せたということから今シーズンですかね。

――個人でも、チームでも、変えていきたいところ、変えないといけないと思うところはどんなところですか

 変えないといけないところはたくさんあります。今変わりつつある点としては、チームが盛り上がっているのが印象的です。今までも盛り上がる場面があったのですがそれが長続きしないチームだったので、1年間を通して全員で盛り上げて良い雰囲気の練習をしていけたら、結果もついてくると感じています。

――最上級生になりますがチームの中でどういう存在になりたいですか

 創士(鈴木、スポ3=静岡・浜松日体)が今ミーティングを積極的に行ってチームを引っ張ってくれていて、創士から僕に練習を引っ張ってほしいと言われています。ポイント練習や最近の練習では、僕たちの学年が声を出して、今までにない活気あるチームで、練習もすごく楽しそうな雰囲気でやれているので、そんな感じで盛り上げながらチームを引っ張っていきたいなと感じています。

――現3年生は人数が最も少ないですが、学年としてチームにどのような影響を与えていきたいですか

 1年生のときから元気がある学年だったので、その元気さを発揮して今までにない早稲田をつくっていきたいと思います。

――今までにない早稲田というのはチームカラーなどの面で変えていくということですか

 そうですね。チームカラーというのは最上級生、僕たちの代が結構大きな要因だと思います。

――今まで、固い雰囲気だったのを変えていくという感じですか

 そうですね。今までもミーティングは月に1回やろうというのはあったのですが、それもすごくなあなあになってやらない月とかもあったので、そういうのがいけないということは僕たちも感じていました。ミーティングも定期的にやるようになっていて、組織として学年長をつくるかたちにして、今は毎週火曜日に30分程度ですが幹部でどういう状況かを共有し、風通しの良いチームができ始めているのかなと感じています。

――来シーズンの競技における目標を教えてください

 日本選手権にまた出られると思うので、前回は出ることが目標で結果がだめだったのですが、次は上位を目指したいです。1万メートルを走るときは27分台をずっと出せるような選手になっていきたいなと感じています。

――トラックシーズンでは5000メートルよりも1万メートルに重きを置くという感じですか

 まだ相楽さんと話している段階で、できたら1万メートルにいってほしいという感じで言われているのですが、今短距離の選手と一緒に筋力強化的なジャンプトレーニングなどをいろいろ行っていて、自分のスピードをもっと生かせるんじゃないかなと感じているので、自分の中では5000メートルもやりたいなと感じています。

――箱根の予選会は1年生の時に1度経験されていますがどういったイメージがありますか

 すごくきついイメージがあります。ハーフの練習を1年間通してやっておかないと、トラックシーズンが終わってすぐ予選会が来るので、距離を意識してやりたいなと思っています。

――来年以降残るメンバーで予選会を走ったことがあるのが井川選手と鈴木選手です。当時と状況は違いますが、経験という意味では何か後輩にアドバイスできることはありますか

 予選会に向けて思うことがあるとすれば僕と創士を使わなくても予選会を通過できるくらいの層をつくり上げたいということです。1年間通して、トラックシーズンも距離を踏みながらいつでもハーフを走れるくらいの基礎体力は持っておきたいな、持っておいてほしいなと思っています。

――全日本と予選会は時期が近いですが、1年生のとき両方走った経験からはメンバーが多少入れ替わるかたちの方がうまく戦えそうと感じますか

 前回は、予選会と全日本の間が1週間しか無く、また予選会でハーフを初めて走ったので、疲労も半端なかったです。だから全日本で勝つことを考えるのだったら他のメンバーを使って(予選会を)残れるくらいにしていきたいなと感じます。

――次の大会は日本学生ハーフマラソン選手権になりますか
 
はい。

――その位置付けはどのように考えていますか

 恐らく予選会のコースにもなると思うので、予選会の練習でもありユニバ(ワールドユニバーシティゲームズ)の選考会でもあるのでしっかり上位を目指してやっていきたいと思います。

――最後に改めて最終学年の意気込みをお願いします

 今までにない新しい早稲田を僕たちの学年でつくっていき、変えるからにはしっかり結果も出していきたいと感じています。

――ありがとうございました!
◆井川龍人(いがわ・りゅうと)

2000(平12)年9月5日生まれ。178センチ。熊本・九州学院高出身。スポーツ科学部3年。第98回箱根1区1時間2分23秒(区間16位)。今までにない早稲田、という言葉が複数回聞かれた今回の対談。新チームの印象を多く語ってくださったのが印象的でした。来シーズンはついにラストイヤー。井川選手の代が中心となって作り上げる新しいチームがどんなものになっていくのか、注目です!
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著者プロフィール

早稲田大学競技スポーツセンター

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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