【鳩スタ殿の13人】#004 河内一馬(鎌倉インターナショナルFC 監督兼CBO)ー『鳩スタ』を舞台に「境界線を持たないクラブ」を体現する

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【DAN IMAI】

 神奈川県リーグに所属する鎌倉インテルが、民間の力だけでつくり上げた自前のホームグラウンド「みんなの鳩サブレースタジアム」(通称「鳩スタ」)。雑草の生い茂っていた古都・鎌倉の広大な空き地に誕生した「鳩スタ」は、その名の通りに「みんなの思い」が形になった場所だ。

 ここでは「鳩スタ殿の13人」と題して、「鳩スタ」に関わる人々のそれぞれの思いに迫る。今回は、トップチームの監督兼CBO(ブランディング責任者)を務める河内一馬。

(文・本多辰成/スポーツライター)

『鳩スタ』の力を痛感した監督1年目

2021年シーズン序盤戦、「鳩スタ」が完成するまではフットサルコートでの練習となった 【Kazuki Okamoto (ONELIFE)】

 河内一馬がトップチームの新監督に就任した2021年。当初はシーズンの開幕から「鳩スタ」を練習や試合で使用できる予定だったが、コロナ禍もあって着工が遅れ、リーグ戦の開幕までにオープンが間に合わず。その意味で、河内体制のスタートは誤算だった。

「『鳩スタ』ができるまでは、フットサルコートなどで練習をするしかありませんでした。僕自身、選手としても指導者としてもサッカーのコートで練習ができないという経験をしたことがなかったのでその重要性が分かっていないところもあったんですが、やっぱり影響は大きかった。特に戦術のトレーニングなどではすごく難しさを感じました」

 そんななかで開幕した神奈川県リーグ2部の戦いは、リーグ戦序盤で2敗を喫する苦しいスタート。しかし、ホームグラウンド完成後の後半戦は見違えるような戦いを披露し、『鳩スタ』での公式戦は4戦全勝でシーズンを終えた。

「『鳩スタ』で練習できるようになって、戦術の確認もトレーニングの中で行えるようになりました。多くの人が試合に足を運んでくれるようになったことで選手たちも自分たちが応援されていることを実感できるようになったと感じますし、その中で勝つことの喜びを知った。次もまた勝ちたい、という好循環が生まれたように思います」

 河内にとっての監督1年目は、ついに完成したホームグラウンド『鳩スタ』の力を痛感するシーズンとなった。

『鳩スタ』は欧州や南米のクラブの「ホーム」に近い場所

【Kazuki Okamoto (ONELIFE)】

 鎌倉インテルの監督に就任するまで、河内はアルゼンチンの指導者養成学校で学んでいた。サッカーの勉強のために周った欧州やアルゼンチンで体感したサッカー文化に強い印象を受け、コーチングと同時にクラブのブランディングの重要性についても考えるようになったという。その思索の実践に挑戦する場となったのが鎌倉インテルだった。

 2020年1月、鎌倉インテルは河内が2021年シーズンから監督兼ブランディング責任者として加入することを発表した。河内はアルゼンチンに渡る直前にクラブ代表の四方健太郎と出会っていたという縁もあり、以前から鎌倉インテルの掲げるビジョンに興味を持っていた。そして、県リーグのクラブでありながらスタジアムの建設計画を掲げている点も、河内にとって魅力的なポイントだったという。

「ヨーロッパでもアルゼンチンでも『自分たちの場所』があって、クラブの人もサポーターもそのことにすごく幸せを感じていました。日本にはあまりそういう意味での『ホーム』を感じられる場所が少ないように思うので、鎌倉インテルのスタジアム建設計画は魅力的でした。実際、今『鳩スタ』ができて、まさにそれに近いものを感じる場所になっていると思います」

週末、鎌倉の街がインテルのユニフォームであふれる光景

「鳩スタ」の完成によって一体感が生まれた2021年シーズン後半戦 【DAN IMAI】

『鳩スタ』の効果はチーム力の向上だけでなく、クラブの絆を深める場としても大きな役割を果たしていると河内は感じている。

「『鳩スタ』ができるまではフロントスタッフとのコミュニケーションはほとんどがオンラインで、顔を合わせる機会は限られていました。『鳩スタ』という場ができたことによって、クラブ全体で戦っているという感覚が生まれたと思います。『鳩スタ』はクラブのすべてといってもいい存在だと思いますし、そう考えると今の自分にとってもすべて。生まれて初めてサッカーで自分の場所というものができた感覚があります」

 週末には『鳩スタ』で鎌倉インテルの試合があり、会場にはキッチンカーの飲食店が出店される。そんな空間を地域の多くの人々が楽しむ光景は、河内が刺激を受けた欧州や南米のサッカー文化にも重なるものだ。

「応援してくれる方たちとの交流も今まではインターネット中心でしたが、リアルな場ができたことで応援されていることをより実感できます。そこで選手たちがどんな服を来て、どんな振る舞いをするかといったこともクラブのブランディングにつながる部分ですし、今後はそういったことにも力を入れていきたいと思っています」

 河内が中心となって制作されたクラブの新たなロゴが記されたユニフォームは、県リーグのクラブとしては異例なほどの売上を記録した。「週末、鎌倉の街にインテルのユニフォームを着た人があふれる光景を想像している」と、河内はさらに次の段階も見据えている。

『鳩スタ』を舞台に「境界線を持たないクラブ」を体現する

新シーズンはスタジアムを90分間でひとつにするサッカーを「鳩スタ」で体現する 【Kazuki Okamoto (ONELIFE)】

 河内監督体制2年目を迎える新シーズンは、神奈川県リーグ1部昇格を果たすことがミッションとなる。クラブ創設からの4年間はカテゴリーを上げることだけに力を注いできたわけではなかったが、『鳩スタ』という舞台も整い、いよいよ次のステージに進むべき時が来たと言える。

「カテゴリーを上げていくというよりは、応援してくださっている方たちの前で勝利していくことが重要なのは間違いありません。その先に昇格が必然的に見えてくる、という順番だと思っています。『鳩スタ』というホームができて、チームとしてもスタート時点での積み上げが去年とは全然違う。今年は自分の中では、『何があっても昇格する』と決めています」

 昨シーズン、鎌倉インテルは新たなクラブビジョンとして「CLUB WITHOUT BORDERS」を掲げた。直訳すれば、BORDER=境界線を持たないクラブ。日本と世界を隔てる国境をはじめ、あらゆる面で境界線を取り払っていくことを意味している。『鳩スタ』を舞台にそのクラブビジョンを体現するサッカーを見せていく。2022年は、その始まりのシーズンとなる。

「今年、というかこれからずっとだと思いますが、『CLUB WITHOUT BORDERS』を体現するサッカーを見せていくということをチーム内で明確に共有しています。スタジアムを90分間でひとつにする。まずは、僕たちのスタジアムが自分たちのビジョンを体現していなければいけないので、それはクラブ一丸となって表現していく。チームとしては『鳩スタ』に来てくれた人たちを90分間でいかにひとつにできるかというところを求めてサッカーをしたいと思っています」

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著者プロフィール

鎌倉インターナショナルFC

鎌倉インターナショナルFC(通称:鎌倉インテル)は、世界で最もグローバルなスポーツであるサッカーを通じて未来の日本を国際化していくため、2018年に設立された新しいサッカークラブです。現在は神奈川県社会人リーグに所属していますが、プロサッカークラブ(Jリーグ参入)、そして世界を目指して活動をしています。『CLUB WITHOUT BORDERS』をビジョンに掲げ、日本と世界を隔てる国境をはじめ、人種や宗教、性別、年齢、分野、そして限界、あらゆる“BORDER”(境界線)をもたないサッカークラブを目指しています。

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