【情報共有】熊本県フットボールセンター建設プロジェクト情報交換会(第2回)〜施設計画・田中智之氏〜
【©Kumamoto Football Association】
熊本大学大学院先端科学研究部教授
田中智之氏
私は、熊本大学で建築学の教員として教鞭を執る傍ら設計事務所をやっており、これまでに熊本駅前や熊本城周辺の再開発事業、熊本地震後の益城町の復興事業などに関わらせてもらっています。
熊本県サッカー協会から今回の話をいただいた時、プロジェクトの狙い、つまり「どのような施設にしていくか」について2つのテーマを考えました。事前に、全国各地のさまざまなフットボールセンターを見せてもらいましたが、魅力的な施設が数多くある一方で、フィールドとクラブハウスなどの建屋が離れてゾーニングされているものが多いことに気づきました。熊本県フットボールセンターは、単にサッカー施設としてだけでなく、まちづくりという視点を取り入れ、地域の活性化にも貢献していく場にしたいと伺っていたので、フィールドや広場と建屋が有機的に連携するものに出来ないかと考えました。これは、空間的な面、機能的な面、両方の意味合いを含んだものです。2つ目は、やはり施設が利用者にとって魅力的でなければいけませんので、その「魅力」をどうやって創造していくかです。
建設予定地 【©Kumamoto Football Association】
そこからさらに具体的に話を進めていく中で建築のイメージを考えていくのですが、最初にイメージした十字形の建物の中には、コワーキングスペースや多目的スタジオなど、さまざまな機能が入ることになっていますが、それが一つ一つの小屋のように点在していて、屋根付きの日陰広場が路地によってくねくねと数珠つなぎになるような連続関係を造れないかと考えました。そして、建物からはサッカーフィールドや広場が望めて、アクセスもしやすいよう有機的につながる、そんなイメージから入っていきました。
4つの広場と十字の建物が一体化したような全体構成 【©Kumamoto Football Association】
大屋根の下に小屋が点在し、ひかげ広場が路地でつながるイメージ 【©Kumamoto Football Association】
こうしたスケッチをたくさん描いて検討を重ねていきますが、当然、予算の関係で実現できないものも出てきますが、パブリックビューイングなどのイベントにも使えるようなスペースという点も重視しながら、中庭的なスペースも作っていければと考えています。
まちとつながる広場の検討 【©Kumamoto Football Association】
集落のようなにぎわいと、広場やフィールドとつながる開放感 【©Kumamoto Football Association】
さらに、皆さんがフットボールセンター建設のニュースなどでよく目にされるパースも何枚か描きました。左側に人工芝の広場が2面あり、敷地の中心を交差する形で東西南北それぞれに大きな通りを設け、中央部の建物の西側には保育園と多目的スタジオ、トイレがあります。北側はラウンジ棟で、受付やカフェ、ランドリーのほか、オフィスやコワーキングスペースなども設けられます。ラウンジ棟の西側には大きな庇(ひさし)を付け、縁側のようなスペースが広場とつながっていきます。建物の東側はクラブハウス棟となっていて、ロッカールームやシャワールームが並び、中庭に面して控室や救護室などが入ります。最新の平面図もお見せしますが、先ほど話したように「フィールドと施設の有機的な連携」「全体が町のような集落のような賑わいを魅力として持つような施設」の実現に向け、日々試行錯誤しながら進めている最中です。
パース 【©Kumamoto Football Association】
建物配置 【©Kumamoto Football Association】
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