早大男子バレー 全日本大学選手権直前特集『DO THE BEST』 松井泰二監督インタビュー

チーム・協会

【早稲田スポーツ新聞会】

【早稲田スポーツ新聞会】取材・編集 西山綾乃、手代木慶(編集のみ)カメラ 五十嵐香音

4回目の今日は松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)。チームを全日本大学選手権(全日本インカレ)4連覇に導いた名将だ。早大は5連覇が懸かっているが、松井監督のモットーはあくまで『練習してきたことを全部出すこと』。秋季関東大学リーグ戦(秋季リーグ戦)の振り返りや大会後の練習、全日本インカレについて伺った。

※この取材は11月18日に行われたものです。

【早稲田スポーツ新聞会】

目標は『練習でやってきたことを全部出すこと』

秋季リーグ戦を振り返る松井監督 【早稲田スポーツ新聞会】

――今のチームの調子はいかがですか

 良いんじゃないですかね。秋に自分たちの課題が明らかになって、それを自分たちで意識して、練習の目的が明確に見えてきたので。やることがはっきりしてきたという感じですね。

――秋で見えた課題というのは、セッターとスパイカーのコンビや、トランジションの場面というのを挙げられていましたね

そうですね。やはりその部分は一番目の課題です。あとはブロックですね。自分たちのディグを邪魔してしまっているというか。前はその部分が強くて、今でもまだ機能していないので、詰めてやっていっています。

――リーグ戦の最初はブロックがそろっていなかったり、崩れたりしていたのが、試合を重ねるごとに安定してきた印象でした。今はリーグ戦序盤と比べると良くなってきていますか

見違えるほど良いと思います。やはり、日体大戦で慌ててしまっていて良くなかったですね。

――水町泰杜選手(スポ2=熊本・鎮西)の不在で焦ってしまいましたか

得点がうまく取れなかったので。サイドアウトは取れても、ブロックが点を取りに行ってしまったというか。じっくりブロックに行けばよかったところを慌ててしまったのかな。

――セッターの配球はいかがでしたか

改善してほしいですね。こちらがすべきことをやっていなかったんじゃないですかね。

――リーグ戦を通して成長を感じられた選手はいますか

山田大貴(スポ2=静岡・清水桜が丘)ですね。山田、重藤(重藤トビアス赳、スポ3=神奈川・荏田)は期待以上でしたね。落ち着いてやれていました。

――山田選手は水町選手の代打として活躍されていました

そうですね。今はもうちょっと良いんじゃないですかね。

――重藤選手はサーブがよく決まっていました

そうですね。サーブも良いし、大事なところで点を取れていましたね。

――天皇杯予選について伺います。3セット目、先にマッチポイントを握ったにもかかわらず、逆転されて悔しい負け方をしたと思います。あれがチームにとってターニングポイントになりましたか

まあそれは一つのターニングポイントですね。条件が悪い中での大会ではあったのですが、それでもやれるんじゃないかなということと、チームにまだ何か足りないんだなというのがわかりましたね。

――足りないものというのは何だったのでしょうか

チームの中の約束事のような、細かいこと一つ一つを徹底しきれなかったということですね。大塚(大塚達宣、スポ3=京都・洛南)が帰ってきて1カ月も経っていなかったので。チーム練習ができていなかったという部分と、約束をする時間もそんなに作っていなかったということですね。いつも秋までは意外とそんな感じでいるので。

――選手たちに考えさせるために、あえて約束事を共有する時間を作っていなかったということでしょうか

両方ですね。こちらから提示することもありますし。

――今は積極的に教えていらっしゃるのですか

一回基礎をもう一度教えたので、そのベースをもとに自分たちで戦術を考えてやっています。

――大塚選手のお話にもあったように、リーグ戦がぶっつけ本番のようなかたちでしたが、試合を重ねるにつれて大塚選手のサーブレシーブやセッターとのコンビは良くなっている印象がありましたが、ご覧になっていかがですか

 そうですね。やっぱり落ち着いてきていますよね。ただ、大塚と水町と荒尾(荒尾怜音、スポ2=熊本・鎮西)でレセプションをしていたものが、順位決定戦の時は(水町に代わって)あまり得意でない山田が入って少し崩れてしまいました。でもだいぶ山田も良くなってきましたし、また水町が戻れるようであれば、層が厚くなったということで、安定すると思います。

――日体大戦は水町選手の不在もあって負けてしまいましたが、白熱したラリーが続きました。課題もあった中で、収穫はありましたか

 実は秋のリーグで一位を狙っていたわけではないのですが、その割には準優勝だなっていう感じはありましたね。良いと思いましたよ。優勝できると思っていませんでしたし。学生たちもあっけにとられたわけではなく。勝ち負けにはこだわっていません。負けたことは悔しいでしょうけど、自分たちの中ではリーグ戦にピークを持っていっていないので、そういう意味では理解していたんじゃないですかね。

――4年ぶりに優勝を逃すというのは、チームにとって痛手だと思うのですが、気にされていないのでしょうか

 全くですね。秋に勝ったところでインカレで勝てるわけではないですし。去年もそうですが、その前の堀江(堀江友裕、令2スポ卒=現堺ブレイザーズ)の時と小林(小林光輝、平31スポ卒=現ジェイテクト)の時と喜入(喜入祥充、平30スポ卒=現サントリー)の時は勝っていますが、秋に優勝してもインカレで必ず優勝するという大学の構図ではないので。やっぱり秋が終わってからですね。慌ててはいないです。

――日体大戦に負けて準優勝になった後、どのような話をされたのですか

 自分たちがもう一回やるべきことを明確にしようということですね。そこでもう一回チームルールを確認して、難しいプレーではなくて基本ですよね。点数を相手に与えている部分は相当日体大戦でもあったので、相手に楽をさせてしまった。逆に相手がミスするようなプレーができなかったということですよね。

――選手に聞いても、チームとしての目標はインカレ優勝なのだと改めて感じました

 二つの山にピークを持っていくのは難しくて、そこで満足してしまうんだよね。まだまだ成長できる部分を残しておかないと、最後まで走れない。いつもそうですけど、優勝するためにやっているわけじゃないのでね。全部出すということだけをいつもやっているので、そういう意味ではあの時点で全部出しきれて、大塚のマークがきつくなって、やられちゃったって感じでしょうね。メンバーが変わりましたしね。

――3年生中心のチームになっていますが、どうお考えですか

 非常にいいと思いますよ。今年で終わりじゃないですし、言い方が正しいかわかりませんけど、4年生以上に個がしっかりしています。それはものの考え方だったりとか、先を見通す力だったりとか、あるいはリーダーシップだったりとか、フォロワーシップだったりとか、人としての一人一人の力がものすごくあるので、チームを任せてもいい。4年生に見劣りしないというか、今はそれ以上に良いんじゃないですかね。

――全日本インカレの話に移りますが、観客に注目してほしいポイントはどこですか

 サーブですね。強いサーブを見てもらいたいのと、ブロックとディフェンスの関係というのもこれから見てもらいたいですね。

――全日本インカレに向けて、選手たちに期待したいことを教えてください

 まず4年生が最後だということで、当然のことですけど力を出し切る。3年生は来年もあるから、あまり勝ち負けを考えないで、とにかく思い切ってやってほしいということしかないです。

――チームの目標は何ですか

 練習でやってきたことを全部出すということだけです。

――ありがとうございました!

【早稲田スポーツ新聞会】

◆松井泰二監督(まつい・たいじ)

千葉・八千代出身。1991(平3)年人間科学部卒業。2012年に早大のコーチに就任し、2014年から監督に。チームを全日本インカレ4連覇に導きました。松井監督は試合において「自分たちの力を出し切ること」を大切にしているそうです! 色紙は昨年と同じく『全部出せ!!』。ベストを尽くし優勝します!
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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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