ロッテ小島 悔しさを糧に成長。3年目で二桁勝利をマーク。ロッテ左腕では2012年成瀬以来。

千葉ロッテマリーンズ
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【マリーンズ投手陣で唯一、二けた勝利を挙げている小島和哉投手】

 マリーンズの左腕投手では12年の成瀬善久投手以来の二桁勝利投手が誕生した。3年目の小島和哉投手がチームの連敗を4で止める今季2度目の完封勝利で10勝目を挙げた。10月3日のイーグルス戦(楽天生命パーク)。9回を投げて被安打3、無失点。先のバファローズとの首位攻防戦でまさかの3連敗を食らい、意気消沈していたチームを救う大きな勝利だった。

 「今年はとにかく後悔しないように、攻めの投球を意識しています。勝てて良かった」

 試合後、小島は気持ちよさそうに汗をぬぐいながらヒーローインタビューに答えた。

 すっかりマリーンズのエース格にまで成長した小島だがプロデビューは悔し涙を流している。2019年4月4日の埼玉西武戦(メットライフドーム)でのプロ初登板初先発。大役を任され意気揚々とマウンドに上がったルーキーは鼻をへし折られた。

 「緊張をして、マウンドでどうしていいか分からなくなった。野球人生でこんなに打たれたことはなかったと思う。プロの厳しさを改めて感じた」と小島は屈辱のデビュー戦を振り返った。2回を投げて被安打7、8失点でノックアウト。浦和学院出身。地元埼玉での試合とあって両親も含めて多数の知人が応援に来てくれていた中、マウンドでの雄姿を見せることなく肩を落としながらベンチに下がった。「親も見ていてきっと辛かったと思います」。あの時、スタンドで見守ってくれていた両親の心境を考えると今でも胸が痛くなる。試合後、寮の自室に戻ると悔しさがこみあげてきた。涙が止まらない。一晩、枕を濡らした。ただ、この悔しさを忘れないと誓った。次の日から徹底的に自分を見つめ直した。

 「あの試合の映像は二度と見たくはないほど嫌な思い出ですが10回以上は見ました。見ないと前に進まない。なにが悪かったのか、どこか課題なのか。必死に考えた」(小島)

 人生においてなにが幸運に繋がっているかは分からない。小島が「あの試合はとんでもない試合。地獄」と言う屈辱の試合は「あの試合がなかったら今はない。原点です」と言うほどステップアップのキッカケとなった。

 思えば、あの日から野球ノートもつけるようになった。登板後に必ずその試合の反省点、良かった点、課題など想った事を明記する。そして次回登板まで改善点を元にどのように過ごすかを明確化させている。人は成功体験からではなく悔しさ、辛い想いを糧にして成長していく。これからもいつまでも。喜んだ体験ではなく、悔しい想いを成長の糧にしながらマウンドに上がる。

文 千葉ロッテマリーンズ広報室 梶原 紀章
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