「メディアコーチ」とは?:ラ・リーガ・コース第1回

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 昨年に続き、ラ・リーガがスペイン政府の文化機関インスティトゥト・セルバンテス東京と共同で開催するオンライン講座が今年も始まった。

「Curso de LaLiga #PLAYLaLigaSantander(ラ・リーガ・コース #プレー・ラ・リーガ・サンタンデール)」と名付けられた今年の講座では、各クラブの経営面にフォーカスした昨年とは違い、よりフットボールのプレー面を掘り下げた内容となる予定だ。受講者にはスペイン語・日本語の特製フットボール辞書も贈呈される。

 9月27日に行われた第1回はラ・リーガが誇るデータ分析システム「メディアコーチ」について、同システム部門のディレクターを務めるリカルド・レスタ氏が説明してくれた。

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 メディアコーチはラ・リーガが2010年に開発し、改良と進化を重ねてきたデータ分析システムだ。いちリーグが独自の分析部門を持ち、そのデータを各クラブに提供している例は珍しく、レスタ氏はその目的を次のように説明している。

「最高のリーグであるためには各クラブ、選手たちが最高のツールを持つ必要があります。彼らが成長すればリーグも成長する。それにデータをリーグが一括管理し、全チームに同じ情報を提供すればコンペティションとして高い平等性を保つことができます」

 メディアコーチが扱うデータは主に2種類ある。選手、ボール、レフェリーのピッチ上における移動の軌跡、走行距離やスピードといった動きのデータ「トラッキング」と、パス、シュートといったボールに関わるプレーのデータ「イベンティング」だ。メディアコーチはそれらのデータを試合の映像にリンクさせ、必要なシーンに必要なデータを瞬時に抽出できるよう作られている。

 メディアコーチのデータを扱うソフトは年々増えている。PCに直接ダウンロードして使用する「デスクトップ」。試合中にリアルタイムでデータを閲覧できる「ライブ」とスマートフォン用のアプリケーション「モバイル」。他にもクラウド上のデータにオンラインでアクセスできる「ポータル」「ビジョン」「レポーツ」、レフェリーのパフォーマンスデータに特化した「レフェリー」などがある。

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 これらのソフトのメインユーザーは各クラブの監督、コーチやアナリストといった指導者、ドクター、トレーナー、スポーツディレクター、スカウトといった「現場のプロ」たちだ。メディアコーチは彼らがより深く試合を理解するためのツールとして作られており、現時点では一般人に対するソフト販売やデータ提供は行なっていないが、将来的にはより多くのユーザーを対象としていく可能性を秘めている。

 実際、ラ・リーガの公式サイトにはチームや選手個々の細かな統計データが掲載されている。5年ほど前からはラ・リーガのテレビ放送に関わる実況、解説、アナリストといったジャーナリストにもメディアコーチのデータが提供されるようになり、一般のファンもテレビ中継を通して様々なデータに触れられるようになった。

 スペインのラ・リーガ中継では、プレー中に攻撃側のチームがどのエリアから何回攻撃を仕掛けているか、セットプレー時にはキッカーの選手や所属チームがこれまでどこに何回ボールを蹴ったか、といったデータが一目で分かるビジュアルが表示されている。それらはみなメディアコーチを用いた映像なのである。

 2010年に実用化されたメディアコーチは最新テクノロジーの導入によって年々進化し続けており、今後はAI(人工知能)を用いたデータの収集、管理も進めていく予定だという。
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