【早大競走部】陸上全カレ×ラストイヤー特集(4)ラストシーズンにかける思い 青栁柾希×村上夏美

チーム・協会

【今年6月の木南記念で3年半ぶりに自己タイ記録をマークした村上【早稲田スポーツ新聞会】】

ラストシーズンの目標

【早稲田スポーツ】取材・編集 朝岡里奈、布村果暖

――ラストシーズンに臨むにあたって、最初にどんな目標を立てていましたか

村上 記録としては自己ベスト更新を目標にしています。成績としては、春の時点でまず日本選手権入賞を目標にしていて、その目標を達成するために、関カレや記録会で自己ベストに近い記録を出すことを目標にしていました。

青栁 僕は大学4年まで自己ベストを更新できなかったので、最低限の目標が自己ベスト更新でした。監督にも7メートル80は跳べる実力があると言われていたので、最高の目標は7メートル80です。それを出せば両インカレとも入賞は確実、うまくいけば3番以内に入れると思っていたので、記録にこだわっていました。日本インカレで確実に入賞して、1点を持って帰ってくることを目標にしています。

――それをふまえて、前半のシーズンは、ご自身としてどう評価していますか

村上 関カレの女子400メートル障害で、(欠場した)2人の分も背負いながら走るというところで入賞できて、そこから自分の中でも調子が上がってきたと感じています。その流れで木南記念で自己ベストタイを出せたので、結構記録もついてきているなと自信につながりました。そこから日本選手権を通して記録が少しずつ安定してきていると感じたので、プレシーズンの成績としては結構自信を持ちながら自分のレースに臨めました。

――関カレは一人きりの出場で、重圧などはなかったですか

村上 (早大としてこの種目)5連覇という言葉は頭の片隅にはあったのですが、そこまで重く感じていなくて。まずは優勝を取らなきゃいけないところで、自分のレースをしっかりつくることを大切にしていました。

――青栁選手は序盤の流れとしてはいかがでしたか

青栁 春夏秋シーズン、点数で表すと50から60点くらいかなと思います。目標だった自己ベストは更新できましたが、初戦からベストを出せそうな感覚があったにもかかわらず関カレまでにピークを合わせられず、標準を突破することができなかったので、また今年も応援に回ってしまった悔しさがありました。それが終わってからは感覚をつかめて、早大記録会で自己ベストを更新して、その後の千葉県選手権でも2回ほど自己ベストに近い記録を出せて優勝できたので、まぐれではなく、力としてついてきているなとの感覚を得られました。本当はすごく喜びたいのですが、関カレのことを考えると、どうしても高得点では表せないかなと思います。

――森戸主将が今季のチーム目標として、トラックだけのチームではないことを強調されていましたが、チームにおけるフィールドの存在は意識していましたか

青栁 目標を掲げるときに、人数の関係と、目標を立てた時点ではフィールドの点数や総合優勝が厳しいということで、男子トラック優勝が目標になっていました。ただ森戸が言っていたように、トラックのチームではなくてしっかりフィールドもいて、トラック&フィールドとして活躍したい、そのためにフィールドからも勢いをつけてほしいという熱い気持ちは、あまり口には出していなかったかもしれないですが僕自身は強く感じていました。結果として関カレでは跳躍陣が優勝することはできず、日本インカレも僕だけの出場になってしまったのですが、最後「早稲田は跳躍もいるんだぞ」と他大に見せつけて、自分以外の跳躍陣も、早稲田でも跳躍で活躍できるという自信を持たせてあげたいなと。それが僕の最後の仕事だと思っています。

――好記録を出せる感覚に関して、これまでの3年間と比べても違いがあったのでしょうか

青栁 全く違いました。恥ずかしい話、大学1、2年の時は、試合に出るのが怖いではないですが、また跳べなかった自分を見るのが嫌で恐怖を感じていました。今年は、もちろん不安や緊張はあるのですが、それよりもワクワクや楽しみのような、高校時代に活躍していたときの楽しかった感情が戻ってきて。なので試合も、前に比べると堂々と出場できているのかなと感じています。

――高校時代は強豪校のキャプテンとしてのプレッシャーもあったのではないかと思うのですが、それよりも大学の方が、不安が大きかったのですか

青栁 成田のキャプテンになったときも、僕はちょうど夏にうまくいっていなくて。同期に中大に行った本間(本間諒太)という選手がいるのですが、その選手がインターハイで活躍したのでその子がキャプテンになると思ったのですが、僕が任命されました。それくらいから僕も少しずつ芽が出始めて、自分の中でも跳べる自信がついてきた時期だったので、プレッシャーというよりはそれを弾みにしようという感じでした。

 ただ、高3でインターハイに出場できなかったときは、キャプテンとしての威厳はもちろん、チームにすごく申し訳ないという気持ちは大きくて。でもその時はサポートとして、自分にできることに徹しようと思いました。大学と違うプレッシャーはあったのですが、高校の方が伸び伸び自分らしく陸上をやれてたのかなと思います。

――村上選手はいかがですか

村上 私が高3の時は、キャプテンだからしっかり成績を出さなきゃいけないという気持ちよりも、まずは自分のレースを楽しみたいという気持ちが大きかったのかなと感じています。大学の方がプレッシャーを感じていました。

――対校戦などで、早稲田というチームの代表であることが大きいのでしょうか

村上 高校に比べても大学の方が強い選手が多いので、そういった中でもしっかり成績を出して、早稲田の一員として立ちたいなと感じていたので、不安や焦りを感じることは大きかったかなと思います。青栁が言っていたように、意外と高校の方が伸び伸びやっていたかもしれないですね。

――村上選手は今季前半からの好調の要因は、どんなところでしょうか

村上 『最後の年』というのが自分の中で大きいです。焦りではないですが、残された試合の中でどうやって戦っていくかを自分の中で考えるようになりました。

――青栁選手は、自己ベストを出した早大競技会で、4本目を跳んで自己ベストタイだった瞬間はどんな思いでしたか

青栁 そもそもその日、1本目から(7メートル)20、30くらいで、シーズンのアベレージが出たので、絶対にいけるという感じでした。3回目でセカンドベストの44を跳んだのですが、そこで終わったらいつもと同じだ、これで終わってしまうという気持ちがあって。気持ちを緩めずに跳んで、自己ベストタイを出しました。それでインカレ標準は突破できたのですが、満足したらまた自己ベストを出せずに終わると思ったので、ベストを出すまでは、崖っぷちの状態を自分で想像しながら跳んだのを覚えています。

――ご自身の走幅跳での強みは何だと考えていますか

青栁 足が速いわけではないですが、走ってきたスピードをそのまま踏み切りに変換して跳べるのが強みだと思っていて。踏み切りも特段うまく高さが出るわけではないのですが、助走のスピードを殺さず跳べるのが強みだと思っています。体の大きい部分も含め、ダイナミックな跳躍が今シーズンは少しずつできてきたかなと思います。

――現時点での調子はいかがですか

青栁 動きとしては、夏の課題でうまくいかなかった部分を修正しつつあります。教育実習の業務で精神的な疲労もあるのですが、あとは休むだけだと思っているので、リフレッシュしながら臨みたいです。

村上 春先のシーズンよりは上がってきてない感じもありますが、今までやってきたことを信じて、頑張りたいです。

――では改めて、秋以降に向けた目標をお願いします

村上 まずは日本インカレでしっかり入賞して、チーム早稲田に1点でも多く貢献するのが第一の目標です。その中でも自己ベストをしっかり出して、残された試合が3つあるので、うまく自己ベストと満足のいく結果を残して、陸上競技を終えられたらなと思っています。

青栁 僕は来週控えている日本インカレでもう一度自己ベストを出すのが目標です。自己ベストを出せれば確実にエイト(上位8名)に入れると思っているので、順位ももちろん大事にしていますがもう一度自己ベストを更新する、自分の陸上をするという意味で臨みたいと思います。それで早稲田に1点以上入れて、チームにいい流れをもたらしたいと思います。

 あと僕は早慶戦があるので、慶應に負けず、ライバルの酒井くん(酒井由吾、慶大)にも勝って、後輩たちにも最後自分たちの代頑張ったねというのと、自分たちの代も頑張ろうという後押しができるような跳躍をして、自分の陸上を終えられればなと思います。

――ありがとうございました!

◆青栁柾希(あおやぎ・まさき)

1999(平11)年7月11日生まれ。千葉・成田高出身。スポーツ科学部4年。自己記録:走幅跳7メートル58センチ。日本学生対校選手権出場予定種目:男子走幅跳

◆村上夏美(むらかみ・なつみ)

1999(平11)年7月1日生まれ。千葉・成田高出身。スポーツ科学部4年。自己記録:400メートル障害58秒79。日本学生対校選手権出場予定種目:女子400メートル障害、女子4×400メートルリレー

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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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