Bloom --咲き誇れ!-- ツエーゲン金沢3rdユニフォーム

ツエーゲン金沢
チーム・協会

【zweigen kanazawa】

萌芽

「2019シーズンの”BLACK&GOLD”はかっこよかったんですけど、3rdユニフォームで黒というのはけっこう出てきたというか。今回はどっちかというとカワイイに振れているようだけど、攻めたデザインですよね」(廣井友信)

「まず水色というのもそうだし、柄もいままでにない感じで、けっこう攻めているというのが第一印象ですね」(藤村慶太)

キャプテン廣井と副キャプテン藤村が「攻めている」と同じ感想を抱いたのは、6月25日に発表された夏季限定3rdユニフォームについて。
フィールドプレイヤーは水色、ゴールキーパーはオレンジ色を基調に、梅の花が大胆にあしらわれたこのユニフォームはどのような過程、思いをこめて制作されたのだろうか。 

藤村慶太 【zweigen kanazawa】

後藤雅明 【zweigen kanzawa】

ツエーゲンは今シーズンからサプライヤーをヒュンメルに変更したが、中山大輔事業企画部長は契約発表時から3rdユニフォームへの意気込みを語っていた。「2年前はBLACK&GOLD(というコンセプト)でしたが、今年はもっと独自性のあるものをやりたいなという思いがありました」。


その思いを形にするため、最初に練られたのがベースとなるアイデアだった。近年のJリーグ界隈で期間限定の特別なユニフォームといえば、地元らしさや斬新さに大きく振ることもあるが、中山はあまりそこにこだわりを持っていない。「コンセプトに縛りをつけると、長くやっていくうちにどうしても似たようなデザインや色ができてしまいます。だからあまり気にせず、やりたいことをやるようにしました」。

今年だけではなく、先も見据えて継続的にファン・サポーターに楽しんでもらうこと。そしてスタジアムだけでなく、街でも着られるようなデザインも展開するということ。さまざまなリサーチを行った結果、「春・夏のファッションのトレンドだった」ということでデザインのベースとして花柄を入れることが決まった。

石川県の誇り高き伝統と挑戦の文化を世界へ向けて発信していくため、パートナー企業ロゴは全て英字となっている。 【zweigen kanazawa】

着蕾

そこからはヒュンメルとの共同で本格的なデザイン工程が始まる。しかし、これを進めるのは一朝一夕にはいかなかった。花をモチーフに、どんなユニフォームを作ればいいのか。石川県らしさである伝統や和のテイストをどこまで入れるのか。

それはグッズ担当としてユニフォームを販売する立場である中野由茉も頭を悩ませた。立ち返るべきは3rdユニフォームを着用する3試合のコンセプト。この3試合にどんな思いを込めるのか、だった。

そこでクラブが頼ったのはデザイナーの水橋一彰。
毎年、独自性のあるイベントを打ち出してきたツエーゲンだが、そのポスター、フライヤー、WEB等のキービジュアルや一貫性のあるデザインを手がけているのが水橋であり、クラブが立ち上げたアパレルブランドWAYZのロゴ(コンセプトエンブレム)などにも関わった、まさにクラブにとって「相棒」とも言える存在だ。

水橋一彰(JAPON DESIGN WORKS) 【zweigen kanazawa】

「3rdユニフォームに花柄を取り入れるという話は聞いて、そこにどういう背景を置くか、コンセプトをどう立てるかを提案してほしいという依頼でした」と水橋。インスピレーションが湧くのに時間はかからなかった。
「今シーズンは4チームが降格する厳しいシーズンです。選手は1試合1試合必死に闘い、練習に励んでいるなかで、そういう努力や思いが開花してほしいなと思いました。それから、このユニフォームを購入していただいた方がスタジアムを訪れて、ユニフォームの花でスタジアムを満開にしてほしいというイメージがパッと思いつきました。
そのうえで『何の花がいいんだろうな』ということを考えました」。

すぐに思い浮かんだのは石川県ゆかりの戦国武将・前田家の家紋にもなっている梅だった。
これはツエーゲンの「挑戦を、この街の伝統に。」というクラブ理念を表すロゴのモチーフにもなっている。
さらに梅の花言葉は「不屈の精神」や「忍耐」など、4チーム降格という厳しいレギュレーションを闘うことを考えても、これ以上にないふさわしいものだった。

梅の花に込められた思いとコンセプト。これを提出すれば水橋の仕事は終わり、のはずだった。

しかし「僕自身が盛り上がってしまって、ユニフォーム自体のデザイン案まで出してしまいました」。水橋は梅の花を見て、一から下地のスケッチを描き、それをコンピュータに取り込み彩色、ユニフォームへのレイアウトやカラー選定、細かなデザインの調整などを行い、3パターン制作した。

デザインを進めた花のスケッチ 【zweigen kanazawa】

破蕾

懸案のひとつだった「石川らしさ、金沢らしさ」はどうなったのか。「石川県の人が着ることを考えると、あまり『らしさ』を強調しすぎず、ある程度意味合いが入っていればいいかなと思いました」と水橋。
中山も「そこにこだわりすぎるのではなく、優先順位は街でも着られるというところ。水橋さんが良い落とし所を見つけてくれた」と、うまくソフトランディングした形となった。

今回のユニフォームでは花柄に加えて、ボディの色が特徴的だが、これは「夏に着たくなるような色をいくつか提案させていただいた」と水橋。そのなかから爽やかさと独自性が決め手となりフィールドプレイヤー用には水色を採用することとなった。「『なんでこの色なの』と聞かれると『おしゃれだから』としか答えようがないんです。街で着られると言っても、どうしても主観なので『あいつのセンスは悪い』と言われたらそれまでなんですけどね」と中山は笑う。

ドット柄はすべて梅の花になっている。 【zweigen kanazawa】

今回のユニフォームには背景に細かな梅のドット柄が敷き詰められているが、ベースの爽やかな水色の色合いも含め、これらが実際のユニフォームになったときにどこまで表現できるか。それが最後の課題だった。
しかし、そこはこれまでも斬新なデザインのユニフォームや数々のアパレルを手掛けてきたヒュンメル。完成したものは「おしべやめしべの細かい装飾も僕が提案したままのものを再現してくれています」と水橋が驚くほどだった。


クラブ、デザイナー、サプライヤーの思いが形になった3rdユニフォームは「Bloom」と名付けられた。そしてその思いは選手にも届いている。藤村は「不屈の精神で頑張りたい」と3試合の必勝を誓った。


「Bloom」はリーグ再開となる8月9日(月祝)の第24節・長崎戦を皮切りに、8月21日(土)第26節・磐田戦、9月4日(土)第27節・町田戦のホームゲーム3試合で着用される。


文:村田 亘

松田陸:ブラックカラーのコンセプトシャツも同時販売されている。 【zweigen kanazawa】

3rdユニフォームの予約受付は、7月8日(木)まで 【zweigen kanazawa】

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著者プロフィール

1956年に誕生した「金沢サッカークラブ」を礎に、2006年Jリーグ入りを目指すべく「ツエーゲン金沢」として生まれ変わりました。JFL、J3を経て2015年にJ2リーグに昇格。「挑戦を、この街の伝統に。」というクラブ理念を掲げ、石川県で先人の築いてきた伝統を大切に守りながらも新たな伝統をつくるため日々挑戦をしているクラブです。地域に貢献し、地域に愛されて発展していけるよう様々なことに挑戦していきます。

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