ロッテの開幕投手は二木康太!地道な努力が実を結ぶ
【力投する二木康太投手】
128キロ。マリーンズ2021年のオープニングピッチャーに指名された二木康太投手にとって忘れられない数字だ。プロ1年目の最初のキャンプで計測したストレートの球速は130キロに満たなかった。13年ドラフトではマリーンズの支配下指名最後となる6位でプロ入り。野球では無名校の鹿児島情報高校出身。もちろん過去にプロ入りした選手もいない。初めてのキャンプは薩摩川内での二軍キャンプ。ブルペン入りした時に唖然とした。「みんな、凄い球を投げていた。場違いなところに来てしまったと思った」。一軍ではなく二軍。それでもボールの勢いが違った。
「最初のキャンプに行った時に2、3年でクビになると思いました」
当時の事を二木はそのように振り返る。どうすれば生き残れるかを必死で考えた。結論は一つしかなかった。早道はない。だから地道に練習をした。細かった身体もプロ仕様に太くするためウェートに本格的に取り組んだ。周りは100キロの重さで軽くスクワットをする中、最初は20キロのバーベルを上げるのが精いっぱいだった。といっても20キロはシャフトの重さ。重りがまったく付いていない状態だ。恥ずかしかったが、少しずつ前に進む以外に方法はなかった。そして何よりも意識をしたのはフォーム。長身を生かし、体全体を使った投球を模索した。そこから少しずつ、しかし確実に成長した。努力は実り今がある。人生とは分からないものである。
2021年石垣島キャンプ期間中の2月11日の事。ブルペンで投球練習を行っている二木康太投手はいつもと違う空気を感じた。捕手の真後ろで井口資仁監督が仁王立ちをしている。微動だにしない。視線も動かない。ただ一点。ブルペンで沢山の投手が投げている中で若き右腕が投じるボールを凝視していた。投げ終わると二木の元に指揮官と吉井理投手コーチが歩み寄っていった。開口一番。「いつ投げたい」と聞かれた。二木にとって予期しない問いではあったが、すぐに自分の気持ちに対して素直になれた。「開幕に投げたいです」。即答だった。我が意を得たり。2人は顔を見合わせると笑顔を作った。「開幕を任せた。頼むぞ」。武者震いを感じた。二木はその場に立ち尽くした。
「今年は1月からずっと開幕に投げることを思って練習をしてきた。だから、ものすごくうれしかった。ただ実際に言われた時は夢のようだった。不思議な感じだった」
二木は開幕投手に指名された時の気持ちをそう表現した。入団して8年。ついに掴んだ栄光だった。ルーキーの時、ストレートが130キロ台を計測することすら出来ず肩を落とした。それが今はどうだ。昨シーズンからは背番号「64」からエースナンバーの「18」を背負った。そして今年。チームの看板投手が務める開幕投手に指名された。この歩みを順風満帆と周囲は言うかもしれない。しかし、ここまでの道筋は本人の努力の賜物と言える。
「一年目のボクからしたら背番号18をもらって、開幕投手に指名してもらえるなんて信じられないです。開幕投手は特別。チームの最初の試合に投げさせてもらえるわけですから。143分の1ではない。いいピッチングがしたい」と二木は近づく開幕に向けて腕をぶす。
開幕の舞台は福岡PayPayドーム。今でこそホークスキラーとして名を馳せるが、プロ入り前は小学校の時に家族でスタンド観戦をしたことがある球場だ。「鹿児島と言えば川崎宗則さん。一度しか観戦をしたことはないですけど川崎さんの応援に行ったのを覚えています」と振り返る。そんな若者が3月26日の開幕戦でマリーンズの先発投手として4年連続日本一のチームに相対することになる。それは夢ではなく現実。地道な努力が実った結果だ。二木は今、エースへの階段を確実に一歩ずつ昇っている。
文 千葉ロッテマリーンズ広報室 梶原紀章
「最初のキャンプに行った時に2、3年でクビになると思いました」
当時の事を二木はそのように振り返る。どうすれば生き残れるかを必死で考えた。結論は一つしかなかった。早道はない。だから地道に練習をした。細かった身体もプロ仕様に太くするためウェートに本格的に取り組んだ。周りは100キロの重さで軽くスクワットをする中、最初は20キロのバーベルを上げるのが精いっぱいだった。といっても20キロはシャフトの重さ。重りがまったく付いていない状態だ。恥ずかしかったが、少しずつ前に進む以外に方法はなかった。そして何よりも意識をしたのはフォーム。長身を生かし、体全体を使った投球を模索した。そこから少しずつ、しかし確実に成長した。努力は実り今がある。人生とは分からないものである。
2021年石垣島キャンプ期間中の2月11日の事。ブルペンで投球練習を行っている二木康太投手はいつもと違う空気を感じた。捕手の真後ろで井口資仁監督が仁王立ちをしている。微動だにしない。視線も動かない。ただ一点。ブルペンで沢山の投手が投げている中で若き右腕が投じるボールを凝視していた。投げ終わると二木の元に指揮官と吉井理投手コーチが歩み寄っていった。開口一番。「いつ投げたい」と聞かれた。二木にとって予期しない問いではあったが、すぐに自分の気持ちに対して素直になれた。「開幕に投げたいです」。即答だった。我が意を得たり。2人は顔を見合わせると笑顔を作った。「開幕を任せた。頼むぞ」。武者震いを感じた。二木はその場に立ち尽くした。
「今年は1月からずっと開幕に投げることを思って練習をしてきた。だから、ものすごくうれしかった。ただ実際に言われた時は夢のようだった。不思議な感じだった」
二木は開幕投手に指名された時の気持ちをそう表現した。入団して8年。ついに掴んだ栄光だった。ルーキーの時、ストレートが130キロ台を計測することすら出来ず肩を落とした。それが今はどうだ。昨シーズンからは背番号「64」からエースナンバーの「18」を背負った。そして今年。チームの看板投手が務める開幕投手に指名された。この歩みを順風満帆と周囲は言うかもしれない。しかし、ここまでの道筋は本人の努力の賜物と言える。
「一年目のボクからしたら背番号18をもらって、開幕投手に指名してもらえるなんて信じられないです。開幕投手は特別。チームの最初の試合に投げさせてもらえるわけですから。143分の1ではない。いいピッチングがしたい」と二木は近づく開幕に向けて腕をぶす。
開幕の舞台は福岡PayPayドーム。今でこそホークスキラーとして名を馳せるが、プロ入り前は小学校の時に家族でスタンド観戦をしたことがある球場だ。「鹿児島と言えば川崎宗則さん。一度しか観戦をしたことはないですけど川崎さんの応援に行ったのを覚えています」と振り返る。そんな若者が3月26日の開幕戦でマリーンズの先発投手として4年連続日本一のチームに相対することになる。それは夢ではなく現実。地道な努力が実った結果だ。二木は今、エースへの階段を確実に一歩ずつ昇っている。
文 千葉ロッテマリーンズ広報室 梶原紀章
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