【鎌倉みんなのスタジアム】プロジェクト続報 鎌倉インテル営業マン一年生のGKシュウヤマン日記 弐ノ巻

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人工芝ピッチを アカラクリニック院長は治療に活用する!?

夜は「スナック」になるアカラクリニック

 2018年1月、鎌倉インテルが創立され、まだ間もないころ、「鎌倉には、夜になると“スナック”になるクリニックがある」という情報をケンジーニョ鬼軍曹が聞きつけてきた。この高級レストランのような待合室で開かれた、「懇親会」に鬼軍曹が参加したのが、鎌倉インテルとアカラクリニックの出会いだったらしい。
 いろんな人と出会い、話を聞いたり、つながったりすることが好きな福田院長の発案だったという。思いついたら、すぐに実行する、という福田院長の姿勢、見習わなきゃいかん。最近はコロナ禍で「スナック」は開店できていないらしいが、世の中が落ち着いたら、ワイも参加したいな。看護師さんとの出会いがあったりして…。ドキドキ。

鎌倉市内のいたるところで見かける「鎌倉みんスタ」のポスター 【鎌倉インターナショナルFC】

グループで共同募金の動きも

 このアカラクリニックから程近い、鎌倉の深沢地域には、32ヘクタールもの広大な休眠地がある。東京ドームなら約7個分の広さだ。とにかく広い。本開発が始まるのは、まだ先のことなので、それまで3年間の暫定利用という形で、その広大な休眠地の一角に、人工芝のグラウンドを建設する、というのが、この「#鎌倉みんスタ」プロジェクトだ。
 このクラウドファンディングには、個人向けに約3年間にわたって一口3万円で1平方メートル四方のピッチのオーナーになれる、というリターンがある。当初、個人向けの一口3万円は、金額が少し高いこともあって苦戦したが、ようやく浸透し、支援者が少しずつ増えて来た。地元の少年少女サッカーチームや主婦、商店街などが、共同募金という形で、グループでの支援の動きも出てきた。本当にありがたい。
 だが、企業向けの高額のリターンは、依然として苦戦が続いている。一口110万円で、この鎌倉みんなのスタジアムにバナー広告(縦90センチ×横300センチ)を約3年間にわたって掲示するというリターン。さらに一口660万円で観客席+バナー広告や、一口1,650万円で、スタジアムのネーミングライツ、というものもある。
 苦戦が続くなか、鬼軍曹がこの「#鎌倉みんスタ」プロジェクトのことを話すと、福田院長は、すぐに110万円の支援に賛同してくれたという。

院長のワラジは何足?

 「先生はサッカーがお嫌いなんですよね? なのに、どうして110万円の支援をして下さったんですか?」と直球を投げてみた。というのも、実は福田院長も二足のワラジを履く。いや三足、といったほうが正しいかもしれない。昨年、こうした医療や看護に関する情報をもっと分かりやすく、広く知ってもらいたい、という思いから、「アカラケアデザイン」という会社を起業。訪問看護の部門を独立させ、「アカラ・ケア訪問看護ステーション」も立ち上げた。
 さらにこの1月、かわら版の体裁の「月刊アカラヴィレッジ」を創刊した。「アカラ」とはハワイ語で「太陽」を意味することや、愛車のジープのことを書き、さらに鎌倉インテルのことも記事にしてくれていた。そのなかで、福田院長は「サッカーが嫌い」と言っていた。
 試合も、営業も、事前の準備が大切だ。「福田院長のことをしっかりリサーチして来ました!」いうアピールも込めて、ズバリ聞いてみた。

かわら版スタイルの月刊アカラヴィレッジの創刊号 【鎌倉インターナショナルFC】

サッカーは嫌いじゃない!?

 すると福田院長は、「はははっ」と声を立てて笑った。「別にサッカーは嫌いじゃないですよ」。えっ? でも、月刊アカラヴィレッジにそう書いていたじゃないですか! 福田院長は相好を崩したまま続けた。「あの記事には、『小さいころ、サッカーが大の苦手で、ボールが転がって来たら逃げていた』と書いただけです。私はJリーグや日本代表の試合を見るのは大好きです。ただ、自分でやるなら、どちらかというとネットを挟んで相手と戦うような、バレーやテニス、卓球といった競技のほうが好きですね」。
 えっ!? 慌てて、手元の「月刊アカラヴィレッジ」を見る。先生の言う通りだ。「嫌い」とは、ひと言も書かれていない。しししまった…。忖度し過ぎ。いや単なる早合点か。鬼軍曹が再びギロッとワイをにらむ。顔が熱くってきた。致命的なミスじゃ〜!

85%の時間はみんなが使えるスタジアム

 鎌倉みんなのスタジアムは、今年春の終わりごろ、完成する予定だ。この広大な土地からすれば、ちっぽけなグラウンドに過ぎないが、ピッチの大きさは100メートル×64メートルあって、サッカーの国際基準を満たす。鎌倉インテルにはトップ、サテライト、シティーと3チームあるので、それぞれの練習や試合で使うことになるが、それは全体の使用時間からすれば、10〜15%にしか過ぎない。
 残りの85〜90%は、鎌倉の少年少女のサッカーチームやスクール、近隣の中学、高校のクラブ活動、大学や社会人チームなどに、練習や試合で使っていただきたいと思っている。みんなに貸し出して、商売をして約3年で7000万円を回収しないと赤字だ。

シュウヤマンの驚異的な跳躍。鎌倉みんスタができれば、みんなも跳べる 【鎌倉インターナショナルFC】

シュウヤマンの密かな野望

 実はいま、ワイが密かに練っている計画がある。GKレッスン会の開講だ。鎌倉の小学校、中学校の練習や試合を見て、痛切に感じるのは、ほとんどのGKは、基礎が出来ていないということ。そりゃ当たり前だ。鎌倉には芝のグラウンドは皆無で、すべて土だから、横っ飛びはもちろん、相手の足元のボールへ飛び込むなんて、痛くてできるはずがない。ましてやほとんどのチームにGKコーチがいないから、ボールのキャッチングをひとつとっても、基礎ができない子がほとんどだ。
 だからワイは伝えたい。地元鎌倉への貢献のひとつとして、GKの技術の基礎と面白さを。平日の夕方とか、鎌倉の小学校、中学校のGKのなかから希望者を集め、できれば参加費無料でGKレッスン会を開催するっていうのはどうだろう。無料なら、より多くのGKの卵が参加してくれるはず。こうした活動は、鎌倉インテルの理念にも合っていると思う。とはいえ、どうすれば無料で開催できるのか。頭をひねらないと…。

鎌倉インテルのデジタル作戦

 鎌倉みんなのスタジアムが完成したおりには、場内にアカラクリニックのバナー広告を掲示することになっている。一般的なバナー広告は、設置したら終わりだが、鎌倉インテルは違う。そのバナー広告をTwitterやFacebook、InstagramなどのSNSで展開し、YouTubeの動画や公式サイト内での記事や写真でも、クラブの活動とともに定期的に投稿していく予定だ。アカラクリニックのパートナーシップをリアルな広告だけじゃなく、デジタル上でも、幅広く認知されるよう、運用していくのが、鎌倉インテルのスタイルだ。

「鎌倉インテルの理念に大いに共感する」と語る福田院長 【鎌倉インターナショナルFC】

青々とした人工芝のピッチをみなさんと歩きたい

 福田院長もまた、グラウンドの活用法をいろいろ考えているという。「うちのスタッフや患者さんと一緒に、鎌倉インテルの試合の応援に行きたいです。一生懸命プレーする選手を応援すると、人は幸福感が得られます。また日中、天気のいい日には、患者さんを誘って、一緒に青々とした人工芝のピッチを歩いたり、駆けたり、寝転んだりしたいですね。ピクニック気分で、シートを敷いてお弁当を食べるなんていうのもいい。みんなで元気になりましょう。このような活動を通じて、これまで以上に地域医療の充実に取り組み、鎌倉インテルとともに、地元に貢献したいと考えています」

建設予定地を訪れ、スタジアムの完成を心待ちにする福田院長 【鎌倉インターナショナルFC】

福田院長が「第1号」を決断したワケ

 福田院長と鎌倉インテルは、立場や内容も全然違うのに、鎌倉みんスタを活用して地元貢献したいって、共通する部分が多い。しかも前例のないことをやるのに何らためらいもなく、どんどん突き進んでいく姿勢も似ている。帰り際、最後に聞いてみた。「だから、鎌倉みんスタの第1号バナー広告協賛になってくださったんですか?」
 福田院長は大きくうなずいた。「そうです。鎌倉インテルの地元に密着する姿勢と、単なるサッカークラブではなく、日本の国際化を目指す、という理念はすばらしい。さらに行政に頼らず、民間の資金だけで、鎌倉初めてとなる、人工芝のグラウンド作り。この無謀とも思えるチャレンジに、大いに共感しました。私がいま、この鎌倉で取り組む、これまでにない医療の提供と、相通じるものを感じています。しかも今回、当クリニックの支援は、企業からのクラウドファンディングとしては、最初となる『第1号』と聞きました。先んじて、一歩前へ踏み出す姿勢は、鎌倉インテル、また当クリニックの理念とも共通します。これからも鎌倉インテルを応援します。一緒に鎌倉に貢献していきましょう」

 福田院長と話していたら、元気になってきた。体のなかから、エネルギーが沸いてくる感じ。あれっ、GKと営業マンの二足のワラジが楽しくなって来たかも。今晩はぐっすり寝られそうだ。
(おわり)
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著者プロフィール

鎌倉インターナショナルFC(通称:鎌倉インテル)は、世界で最もグローバルなスポーツであるサッカーを通じて未来の日本を国際化していくため、2018年に設立された新しいサッカークラブです。現在は神奈川県社会人リーグに所属していますが、プロサッカークラブ(Jリーグ参入)、そして世界を目指して活動をしています。『CLUB WITHOUT BORDERS』をビジョンに掲げ、日本と世界を隔てる国境をはじめ、性別、年齢、分野、そして限界、あらゆる“BORDER”(境界線)をもたないサッカークラブを目指しています。

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