【ハンド世界選手権】彗星JAPAN帰国 ダグル監督インタビュー「試練の結果が見え始めた」
【Yukihito TAGUCHI / JHA】
選手たちに指示を出すダグル・シグルドソン監督 【Yukihito TAGUCHI / JHA】
「結果が以前より安定し、パフォーマンスの波がなくなった」「将来が楽しみな部分も」
男子日本代表彗星JAPANはメインラウンドでの最終戦、バーレーンを破って19位で大会を終え、27日に帰国しました。
2017年2月からチームを率いるダグル・シグルドソン監督による、大会総括のコメントをご紹介いたします。
前回大会(2019年1月)は国際ハンドボール連盟(IHF)による推薦枠「ワイルドカード」で出場したものの、全敗で24チーム中24位という結果に終わり、今大会は「前回より良い結果を残す」ことを目標として語ってきた監督。
今大会は出場が32ヶ国に増えた中で、予選ラウンドを24年ぶりに突破して24強入りし、メインラウンドでも1勝を挙げ、19位という結果で有言実行となりました。
ー 19位で大会を終えた感想は
最高な気持ちだ。今大会本当にすばらしい戦いができたと思う。
悪い試合はまったくなかった。強豪国であるエジプトとの開幕前のトレーニングマッチも含めて。
結果が以前より安定し、パフォーマンスの波がなくなったことは本当に嬉しい。
これでもっと自信がつくし、日本を崩すのは以前より難しいということを他国も知ることになる。
諦めない、良い姿勢。パフォーマンス全体を振り返り、最高に幸せだ。
ー 2年前との差は
色々な細かな違いだと思う。
経験。前回大会から多くを学んだ。
メンタルコーチをつけてやってきて、メンタル面が強くなった。
フィジカルコーチもいて、フィジカルも強くなった。
戦術的にも成長し、ゲームの理解が深まり、色々な局面で以前よりリラックスできるようになった。
素晴らしいゴールキーパーコーチがいて、ゴールキーパーたちを助けている。ゴールキーパーは全員、初めての世界選手権だったにも関わらず、非常に良いパフォーマンスだった。
このように、ポジティブな変化が多くある。
国際試合が初めての選手、まだ10試合に満たない選手もいるので、将来が楽しみな部分も多くある。
主力選手の成長「50〜100試合を一緒に経験すると、このような状況にたどり着く」
東江、吉野、渡部、それに笠原、成田、元木、土井。彼らの成長は大きい。
世界選手権2回とアジア選手権2回を一緒に戦ってきたので、ルーティンもでき、リラックスができる状況もできた。
以前に経験したことのある場面であればパニックしないし、落ち着いていられる。
4年前に就任した時に話していたことなのだが、50〜100試合を一緒に経験すると、このような状況にたどり着く。
たくさん教えることはできても、試合経験に勝るものはない。たくさん練習し、話をしても、ゲームでプレーをしないといけない。
現在のパンデミックの状況下の難しさもあった。テストマッチができなかったし、ほぼ1年間、試合もまったくできなかった。
それでもこのような結果を出せたということで、よりポジティブに捉えられる。
ー メンタル面の成長は
メンタルの向上は最初の一歩を踏み出したところだが、試合に勝つことが重なり、より良いパフォーマンスができれば、自信は高まることを忘れてはならない。
いまそれが同時に起こっていて、選手たちは(勝つこと、良いパフォーマンスをすることの)メンタリティーを理解してきているし、以前よりも成功体験を感じている。
チームが発足した時、強豪ばかりと試合をし、たくさんの試合に負けた。たくさん…私の人生であんなに負けたことはないくらい!あれはメンタル面で容易くはなかったが、自分たちを成長させるための試練として、やらなくてはいけなかった。その結果が少しいま見え始めたところだ。
アイスランド出身の47歳。男子日本代表監督に就任して約4年になる。 【Yukihito TAGUCHI / JHA】
まず、我々、選手たちを応援してくれた日本のファンの皆様にお礼を言いたい。
選手たちにとって、日本からの応援があることはとても大事なこと。夜中に起きて試合を観て、メッセージを送ってくれて…Fantastic。
良いパフォーマンスを通じて、日本中のハンドボールファン全員に、このチームを誇りに思ってもらえたことを願います。
この調子で頑張っていきます。ありがとうございました。
◇Dagur Sigurdsson(ダグル・シグルドソン)
1973年アイスランド生まれ。
ドイツブンデスリーガ最優秀監督賞(2011年)、IHF 世界最優秀監督賞(2015年・ドイツ代表監督)の受賞歴がある世界屈指の名将。
選手としては母国アイスランドでは代表キャプテンを務め、2000年〜2003年は日本の湧永製薬でプレー。2003年の全日本総合選手権ではチームを13年ぶりの優勝へ導いた。
ドイツ代表監督として、2016年に欧州選手権優勝、リオオリンピック銅メダルに導く。
2017年2月に男子日本代表監督就任。2020年1月の男子アジア選手権では3位の結果を残し、世界選手権(今大会)への切符を得た。
今大会6試合の振り返り
▽1月15日
日本 29(17-14,12-15)29 クロアチア
欧州2位の強豪国に対し引き分けで世界を驚かせる幕開け。GKの好守も光った。貴重な勝ち点1を獲得。
▽1月17日
日本 29(16-15,13-16)31 カタール
アジア王者カタールに対し、最後まで接戦。勝てる可能性も見えたが、終盤のミスが響いた。
▽1月19日
日本 30(16-12,14-17)29 アンゴラ
前半リードするものの後半逆転を喫する。残り5分からの再逆転で勝ち切り、24年ぶりの予選突破で歴史を塗り替えた。
【メインラウンド グループII】
▽1月21日
日本 24(13-17,11-11)28 アルゼンチン
日本対策をしてきた相手DFに苦しめられ、真価が発揮できず。後半も食らいつくが逆転ならず。
▽1月23日
日本 27(17-19,10-15)34 デンマーク
リオ五輪金メダルの前回大会王者に対し、スピードを生かして攻め続け、2点差で折り返す大善戦。
終盤に突き放されたが、GKの貢献も大きく、7点差は今大会大勝を続けるデンマークにとってここまでで最少。確実に成長した姿を見せた。
▽1月25日
日本 29(19-12,10-13)25 バーレーン
直近は1年前のアジア選手権で2回対戦し、2試合とも日本が1点差で勝った相手。
「勝って終わりたい」気持ちを前面に出し、前半、相次いだ相手の退場時間帯を利用して7点のリードを奪う。後半も堅守と確実な攻撃でリードを保って試合を優位に運び、有終の美を飾った。
メインラウンド同組からは、デンマークとカタールが準々決勝へ進出し、デンマークが準決勝へ進みました。
JHA広報ではアンケートを実施中
引き続き、SNSではハッシュタグ「#彗星JAPAN」「#ハンドボール」「#Egypt2021」などでご検索ください。
準決勝はフランス対スウェーデン(日本時間30日午前1時半)、スペイン対デンマーク(日本時間30日午前4時半)のカードです。
日本ハンドボール協会(JHA)では、今大会で彗星JAPANを応援いただいた方や、ハンドボールに初めて興味をお持ちいただいた方を対象に、オンラインでのアンケートを実施しております。
皆様のご意見ご感想をお聞かせいただき、今後の活動に生かしてゆく所存ですので、ぜひご協力ください。
▽方法:オンラインでの回答(下部にリンクがあります)。無記名です。
▽アンケート内容:今大会の情報発信や観戦についての感想やご意見を、選択肢回答(約2分で終わります)と自由記述でご回答いただきます。
▽締切:2021年1月31日(日)24:00
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