実は、近年では傑出した数字だった。中田翔と周東佑京の成績を143試合に換算してみた
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試合数の減少もあり、昨季までと同様の成績を残すのは難しいシーズンだった
そんな中で、北海道日本ハムの中田翔選手は、108打点を稼いで自身3度目の打点王に輝いただけでなく、本塁打数もリーグトップまであと1本に迫る、自己最多の31本を記録。長年チームの主砲として活躍を続けてきた中田選手にとっても、今季はキャリアベストに近いシーズンの一つだったと言えるだろう。
また、福岡ソフトバンクの周東佑京選手も短縮シーズンながら50盗塁を記録し、自身初めて盗塁王のタイトルを獲得。出場試合数が103試合だったことを考えると、およそ2試合に1度の割合で盗塁を決めていたことになる。もちろん、例年と同じく143試合制のシーズンであれば、その盗塁数はより伸びていたことは想像に難くない。
そこで、今回はこの2選手が今季残した数字を143試合相当に換算すると、その成績はどれほどの水準に達するのかを紹介していきたい。それに加えて、過去のパ・リーグにおけるタイトルホルダーたちとの比較も行い、今季の中田選手と周東選手が残した数字の、一見するだけではわかりづらい傑出度について図っていく。
中田選手にとっては、キャリアの中でもとりわけ活躍を見せたシーズンの一つに
【143試合に換算した2020年の試合数、打数、安打、本塁打、打点、犠飛、四球は小数点第一位を四捨五入したものを掲載(C)PLM】
続けて、2020年の成績を143試合に換算した際の数字を見ていきたい。
本塁打数は37本まで伸び、打点数も2016年に記録した自己最多の110打点を大幅に上回る計算に。犠飛の数も11と2桁に乗る計算であり、これは歴代7位タイに相当する数字だ。また、四球もキャリア最多となるペースで選んでいたことも見逃せない。やはり、今季の中田選手は、過去のシーズンと照らし合わせても、かなりのハイペースで各種の数字を積み上げていたと考えてよさそうだ。
「129打点」という数字は、過去の例に照らし合わせても相当に優れたもの
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続けて、直近10年間というスパンに囚われずに評価すると、129打点という数字は歴代の中でどれほどの価値があるのかについて迫っていきたい。2リーグ制導入以降のパ・リーグにおける、シーズン129打点以上を記録して打点王を獲得した選手たちの顔ぶれと、その打点数は下記の通りだ。
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6名の選手たちの顔ぶれを見ていくと、三冠王の獲得経験がある野村克也氏、ブーマー氏、落合博満氏に加え、本塁打王と打点王をそれぞれ2度獲得し、史上初の両リーグ1000安打を達成した大杉勝男氏、1979年から2年連続で本塁打王に輝いたマニエル氏、2000年に本塁打と打点の2冠に輝き、2001年に2年続けて打点王を獲得した中村紀洋氏と、そうそうたる大打者たちが揃っている。
中田選手も3度の打点王に加えて、内野と外野で計2回ずつベストナインを獲得し、一塁手としてゴールデングラブ賞も3度獲得。広い札幌ドームを本拠地としながら、通算250本を超えるホームランも記録してきた。31歳と選手としてはまだまだこれからという年齢であり、今後も長距離砲として活躍を続け、偉大な大打者たちの領域にさらに近づいていく可能性も大いにあることだろう。
打撃力の向上に伴い、盗塁数も前年のちょうど倍に
【143試合に換算した2020年の試合数、打数、安打、本塁打、打点、盗塁、四球は小数点第一位を四捨五入したものを掲載(C)PLM】
しかし、今季は課題だった打撃面が大きく改善され、スタメン出場の機会が飛躍的に増加。9月からはトップバッターを務める機会が大半となり、出塁率.325とリードオフマンとしての適正を示した。出塁数の増加に伴って盗塁数も伸び、ちょうど前年から倍となる長足の進歩を遂げた。13試合連続盗塁というプロ野球記録も打ち立てた抜群の脚力を活かし、見事に自身初タイトルとなる盗塁王の座に輝いた。
そして、今季の周東選手の成績を143試合に換算してみると、安打数は99と、あと1本で3桁というペースであった。盗塁数もちょうど10個増加し、60の大台に乗る計算に。一見すると2019年とさほど変わらないように見えた出場試合数も、143試合換算であれば123試合という数字となり、レギュラー1年目としては十二分に優れた成績を残していたことが、各種の数字からもあらためて見えてくる。
1970年代まではシーズン60盗塁以上の選手も少なからず存在していたが……
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シーズン60盗塁という数字は、もちろん容易に到達できる数字ではない。2リーグ制導入以降のパ・リーグにおいて、60盗塁以上を記録して盗塁王に輝いた選手たちの顔ぶれは、下記の通りとなっている。
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野球を取り巻くデータの細分化、およびフィードバックの速度や質の向上に伴い、捕手のスローイング精度や、投手のクイック技術も進歩している。その影響で、時代を経るごとに盗塁という行為へのハードルが上がっている面はあるだろう。そんな中で、本多雄一氏以来10年ぶりに、シーズン60盗塁の大台に乗るペースを維持した、周東選手の脚力と技術。過去のケースに照らし合わせてみても、やはり希少な存在の一人と言えそうだ。
単純な数字では測れない、今季の中田選手と周東選手の傑出度
ファイターズの主砲と、ホークスの切り込み隊長。共にチームの屋台骨を担う両選手は、あらゆる意味で特殊な事例となった今シーズンを経て、来季以降もチームをけん引するような活躍を見せてくれるだろうか。その期待を持たせてくれるだけの数字を残した両者の今後のプレーぶりと、それに付随する数字にも、大いに注目していく価値はありそうだ。
文・望月遼太
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