【日本野球連盟公式サポ通信】有観客で開催した都市対抗北関東予選の裏方の思い

公益財団法人 日本野球連盟
チーム・協会

【【写真提供:葛貫洋一】】

日本野球連盟公式サポーターの田中優美です。
社会人野球のちょっと裏側をお伝えする「日本野球連盟公式サポーター通信」第19回目。
都市対抗北関東予選をレポートします。

【有観客で開催された北関東予選】

【北関東予選の決勝戦には多くの観客がマナーを守り応援した】

北関東予選は9/29~10/4に群馬県の太田市運動公園にて行われました。コロナ感染防止のため、無観客で開催する大会が多い中、関東圏では唯一の有観客での開催でした。関東で有観客となると、東京からも観客が入ることが予想され、正直なところ大丈夫なのだろうか、と思っていましたが、実際に球場に向かうと、球場には多くの観客が入っているものの、皆さんしっかりマスクを着用し、ソーシャルディスタンスを保ちつつ野球を楽しんでいました。
決勝戦では600人ほどの観客が集まったそうですが、何事もなく無事に閉幕しました。この大会にむけて、裏方の皆さんがどのような努力をして、有観客で開催することができたのか、北関東予選を支えた裏方の皆さんに注目しました。

【来年以降も有観客で開催できるように】

「6日間の大会のために3か月前から準備してきました。」と話すのはJABA群馬県野球連盟の副理事長を務める日野貴透さん。
「一番は選手のため。お客さんが応援する中でプレーするのと、無観客でプレーするのではモチベーションが違う。」という思いから、“有観客にしよう”と北関東予選の関係者に相談。その思いは皆同じだったそうです。日野さんは大会中、誰よりも早く球場入りし、すべての部屋の準備を整えて選手たちの到着を待っています。これも選手に気持ちよく野球に専念してもらう為です。

【試合3時間半前から鍵開けや部屋の準備を行う日野貴透さん】

北関東予選を有観客で開催するために、まずは北関東予選よりも観客数の少ない一次予選でシミュレーションをし、群馬県野球連盟の関係者や野球部のスタッフで、改善点を幾度も話し合って、「人と人との接触をいかに無くすか」という点に特に力を入れたそうです。
例えば、外野席入り口に人を常駐させることで発生するリスクを減らすため、例年は常時開放している外野席を、今年は内野席が埋まった時のみ開放。また、チケット販売をせず、フリー入場にすることで、チケットを買う、見せるといった人と人のやり取りを減らしました。
有観客で開催することが決まると、次は宣伝活動に力を注いだと言います。入場にはマスクの着用・検温・消毒・住所記入が必須であることを事前に周知させるため、地元のテレビ局には、ゴールデンタイムで注意事項を呼び掛けてもらったそうで、私がスタジアムを見渡す限りは、マスクを外している人がいなかったことは正に宣伝活動の成果だと感じます。
日野さんは、「初めてのことが多く、例年よりずっと長く感じましたね。特に北関東予選初日は、お昼の時間かなと思って時計を見たらまだ10時で(笑)。ですが、コロナ禍でも有観客で開催することができると証明できたのは嬉しいです。来年以降もできる限りは有観客でやりたいと思っています。」と、社会人野球ファンにとって嬉しい言葉をいただきました。

【選手時代には分からなかった裏方の苦労】

【林稔幸さん】

都市対抗に18年連続で出場、日本代表としても活躍され、昨年SUBARU野球部を引退した林稔幸さんも今年は裏方として働いています。
林さんが今年の大会を通じて一番大変だと感じたのは、ソーシャルディスタンスを保つために行ったスタンドのテープを貼りだと言います。

【球場のスタンド全体に貼られたシール】

剥がした後にベタベタにならないテープを探し、2日に分けてスタンド全体に貼ったそうです。そして決勝戦が終わるとすぐにテープを剥がす作業が始まっていました。
長年鍛えてきた林さんでも腰が痛くなったそうで、「いざ裏方をすると、本当に大変な思いをして準備をしているのだな、と身に染みて感じました。選手の時には、裏方が何をしているのか知らなかったし、知ろうともしていなかったです。このような支えがあって試合が出来ているということを知り、僕自身も勉強になったので選手にも伝えていきたいです。」と教えてくださいました。

【入口で密にならない工夫とは】

【水久保国一さん】

「北関東では歴代の監督がお手伝いに来ることが伝統になっています」と話すのは、2010年〜2013年までSUBARU野球部の監督を務めた水久保国一さん。北関東予選では、入場口での検温や住所記入の案内を担当されており、入り口で人が滞留しないように「アルコール消毒→検温→住所記入」という順番に工夫を凝らしたそうです。
他にも、入り口の並び方をL字にするのも人が密にならない秘訣だと話します。

【入り口の並び方にも工夫を凝らした】

水久保さんは、「正直大変でした。ほとんどの時間を外にいるので、試合を見ることが出来ないですから。でも応援してくださる皆さんに野球を楽しんでもらえた、というのが一番嬉しいです。」と今大会を振り返りました。

コロナ禍の中においてもスタッフ皆さんや関係各所の尽力により選手が野球に集中でき、たくさんの観客が安心して観戦できたのは、これらの方々の長期間の努力と野球愛の賜物です。大会の開催、運営に多大な人員と労力が費やされていることを改めて認識することができ、それにより今後、より広い視野を持って様々な情報を発信していきたいと感じました。
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著者プロフィール

1949年に設立した社会人野球を統轄する(公財)日本野球連盟の公式アカウントです。全国の企業、クラブチームが所属し、中学硬式や女子野球の団体も加盟しています。1993年から刊行している社会人野球オフィシャル・ガイド『グランドスラム』の編集部と連携し、都市対抗野球大会をはじめ、社会人野球の魅力や様々な情報を、毎週金曜日に更新する『週刊グランドスラム』などでお届けします。

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