きさらぎ賞の上位人気馬を考える
【2016/2/7 京都11R きさらぎ賞(G3) 1着 9番 サトノダイヤモンド】
いつものように過去10年のデータを分析するが、今回は上位人気馬の傾向に注目してみたい。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
きさらぎ賞の1番人気馬成績(過去10年)
■表1 【きさらぎ賞の1番人気馬成績(過去10年)】
一方、4着以下に敗れた馬は4頭いる。その内2頭は前走新馬を勝ったばかりだった。残る2頭は前走重賞に出走し、4着以下に敗れていた。つまり重賞の実績は必須ではない。かといって、素質があっても1勝馬が簡単に通用するレースでもない。前走1勝(500万)クラス組が有利という傾向だ。
また、血統面でも興味深い傾向が出ている。種牡馬(父)はディープインパクトを中心にサンデーサイレンス系が大半を占めている。母父は横文字の英語馬名がズラリと並ぶ。案外見慣れた名前が多いものの、内国産馬や日本に輸入された外国馬の名前がない。これは大きな特徴だ。具体的な系統はRedoute s ChoiceとOrpenのダンジグ系と、Unbridled s Songのミスタープロスペクター系に注目してみたい。後ほど述べるその他の好走馬にも同系統が多いのだ。
きさらぎ賞の2番人気馬成績(過去10年)
■表2 【きさらぎ賞の2番人気馬成績(過去10年)】
種牡馬を見ると、やはりサンデーサイレンス系が圧倒的に多く、中でもディープインパクトは産駒が6勝をマーク。母父はミスタープロスペクター系が非常に多い。17年のダンビュライトは父がミスタープロスペクター系で、母父がサンデーサイレンスという逆の配合だ。
きさらぎ賞の3番人気馬成績(過去10年)
■表3 【きさらぎ賞の3番人気馬成績(過去10年)】
4着以下に敗れた馬を調べると、前走新馬を勝ったばかりのロワアブソリュー(16年)やインペリアルマーチ(10年)が残念な結果に終わった。前走重賞組ではカツジ(18年)やプラチナヴォイス(17年)、ジャスタウェイ(12年)が人気よりも走らなかった。血統的には感触が良さそうでも、前走1勝クラス組以外は割引が必要かもしれない。
きさらぎ賞を4番人気以下で好走した馬(過去10年)
■表4 【きさらぎ賞を4番人気以下で好走した馬(過去10年)】
【結論】
■表5 【今年のきさらぎ賞出走予定馬】
まず人気を推測すると、前走東京スポーツ杯2歳S2着のアルジャンナは上位人気が濃厚だろう。同レース優勝馬のコントレイルが次走ホープフルSを制していることも大きい。グランレイは前走朝日杯フューチュリティSで3着と好走。14番人気という超人気薄だったが、G1で好走したのは事実。この点が評価され、今回はある程度人気になりそうだ。そして、前走札幌2歳S2着のサトノゴールドや、前走シンザン記念3着のコルテジアも実績的には上位だ。ただ、きさらぎ賞は前走重賞組が不振。上位人気馬でも過信は禁物だ。血統面でもやや心配。アルジャンナは父ディープインパクトだが、母父はTiz Wonderfulというややマイナーな系統だ。サトノゴールドは父がゴールドシップで、母父がミスタープロスペクター系のFusaichi Pegasus。配合は本馬の感触が一番いい。
その他の馬に目を向けると、なんと前走1勝クラス組がいない。これはかなりめずらしいケースであり、予想も難しくなってしまった。そこで、前走新馬を勝ったばかりだがギベルティはどうか。父がオルフェーヴルで、母父がミスタープロスペクター系のDubai Millennium。血統的にはサトノゴールドと同じぐらい感触がいい。仮に上位人気に支持されると逆に買いにくい感じもするが、注目してみたい。
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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