きさらぎ賞の上位人気馬を考える

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【2016/2/7 京都11R きさらぎ賞(G3) 1着 9番 サトノダイヤモンド】

今週日曜日に京都競馬場できさらぎ賞が行われる。翌週の共同通信杯と並び、クラシックへの登竜門と言われる注目レースだ。過去10年ではサトノダイヤモンド(菊花賞)やルージュバック(オークス2着)、ワールドエース(皐月賞2着)が勝利を飾っている。また、例年出走頭数が少ないレースでもある。2012年の13頭立てが最高頭数だ。今年も1週前の段階で10頭しか登録がなかった。

いつものように過去10年のデータを分析するが、今回は上位人気馬の傾向に注目してみたい。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

きさらぎ賞の1番人気馬成績(過去10年)

■表1 【きさらぎ賞の1番人気馬成績(過去10年)】

表1は過去10年におけるきさらぎ賞1番人気馬の成績。2016年サトノダイヤモンド、15年ルージュバック、12年ワールドエースが勝利を飾っている。この3頭は冒頭で触れた馬たちで、後にクラシックで連対を果たした。2着馬は17年サトノアーサー、14年バンドワゴン、10年レーヴドリアンでこちらも3頭。これら連対馬6頭中5頭は前走1勝(500万)クラスのレースを勝利していた
一方、4着以下に敗れた馬は4頭いる。その内2頭は前走新馬を勝ったばかりだった。残る2頭は前走重賞に出走し、4着以下に敗れていた。つまり重賞の実績は必須ではない。かといって、素質があっても1勝馬が簡単に通用するレースでもない。前走1勝(500万)クラス組が有利という傾向だ。

また、血統面でも興味深い傾向が出ている。種牡馬(父)はディープインパクトを中心にサンデーサイレンス系が大半を占めている。母父は横文字の英語馬名がズラリと並ぶ。案外見慣れた名前が多いものの、内国産馬や日本に輸入された外国馬の名前がない。これは大きな特徴だ。具体的な系統はRedoute s ChoiceとOrpenのダンジグ系と、Unbridled s Songのミスタープロスペクター系に注目してみたい。後ほど述べるその他の好走馬にも同系統が多いのだ。

きさらぎ賞の2番人気馬成績(過去10年)

■表2 【きさらぎ賞の2番人気馬成績(過去10年)】

表2はきさらぎ賞2番人気馬の成績(過去10年)。1着馬が1頭、2着馬が2頭、3着馬が4頭いる。複勝率は70%で、1番人気を上回る成績だ。前走レースの成績を見ると、旧京都2歳S(OP特別)や、シクラメンS・福寿草特別といった1勝クラスの勝ち馬が好成績を挙げている。前走新馬組はいないが、前走重賞の東スポ杯2歳Sや朝日杯フューチュリティSで好走した馬が負けている。このあたりの傾向は、1番人気馬のケースと似ている。

種牡馬を見ると、やはりサンデーサイレンス系が圧倒的に多く、中でもディープインパクトは産駒が6勝をマーク。母父はミスタープロスペクター系が非常に多い。17年のダンビュライトは父がミスタープロスペクター系で、母父がサンデーサイレンスという逆の配合だ。

きさらぎ賞の3番人気馬成績(過去10年)

■表3 【きさらぎ賞の3番人気馬成績(過去10年)】

表3はきさらぎ賞3番人気馬の成績(過去10年)。昨年の優勝馬ダノンチェイサーの名前がある。前走はこうやまき特別で1着。血統は父がディープインパクト、母父がダンジグ系のRock of Gibraltarという配合だ。11年1着のトーセンラーは前走福寿草特別3着。父はディープインパクトで、母父はミスタープロスペクター系のLycius。この配合はきさらぎ賞と相性がいい。

4着以下に敗れた馬を調べると、前走新馬を勝ったばかりのロワアブソリュー(16年)やインペリアルマーチ(10年)が残念な結果に終わった。前走重賞組ではカツジ(18年)やプラチナヴォイス(17年)、ジャスタウェイ(12年)が人気よりも走らなかった。血統的には感触が良さそうでも、前走1勝クラス組以外は割引が必要かもしれない。

きさらぎ賞を4番人気以下で好走した馬(過去10年)

■表4 【きさらぎ賞を4番人気以下で好走した馬(過去10年)】

最後にきさらぎ賞を4番人気以下で好走した馬もチェックしておく。表4の通り、過去10年では13頭いる。出走頭数が少ないこともあり、二けた人気馬はいないが、伏兵馬の出番も十分あると言える。近年は母父ミスタープロスペクター系かサンデーサイレンス系の馬が食い込んでいる。前走成績は1勝クラスで好走していることが望ましい。一方、18年はサトノフェイバーが前走新馬戦1着、ラセットが前走未勝利戦1着という成績で好走した。10年〜14年にかけては前走未勝利1着馬が5頭も好走している。穴馬に関しては格よりも調子・勢いを重視して選んでみたいところだ。

【結論】

■表5 【今年のきさらぎ賞出走予定馬】

それでは今年のきさらぎ賞を展望する。出走予定馬は表5の通りだ。
まず人気を推測すると、前走東京スポーツ杯2歳S2着のアルジャンナは上位人気が濃厚だろう。同レース優勝馬のコントレイルが次走ホープフルSを制していることも大きい。グランレイは前走朝日杯フューチュリティSで3着と好走。14番人気という超人気薄だったが、G1で好走したのは事実。この点が評価され、今回はある程度人気になりそうだ。そして、前走札幌2歳S2着のサトノゴールドや、前走シンザン記念3着のコルテジアも実績的には上位だ。ただ、きさらぎ賞は前走重賞組が不振。上位人気馬でも過信は禁物だ。血統面でもやや心配。アルジャンナは父ディープインパクトだが、母父はTiz Wonderfulというややマイナーな系統だ。サトノゴールドは父がゴールドシップで、母父がミスタープロスペクター系のFusaichi Pegasus。配合は本馬の感触が一番いい。
その他の馬に目を向けると、なんと前走1勝クラス組がいない。これはかなりめずらしいケースであり、予想も難しくなってしまった。そこで、前走新馬を勝ったばかりだがギベルティはどうか。父がオルフェーヴルで、母父がミスタープロスペクター系のDubai Millennium。血統的にはサトノゴールドと同じぐらい感触がいい。仮に上位人気に支持されると逆に買いにくい感じもするが、注目してみたい。
文:小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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