降級制度廃止の恩恵を受けたのは3歳馬か?
【2019/10/5 京都11R 長岡京ステークス 1着 10番 サウンドキアラ(牝4歳)】
4歳馬のクラス別成績推移(3歳以上・平地戦)
■表1 【4歳馬のクラス別成績推移(3歳以上・平地戦)】
実際にレースを見て4歳馬の成績低下を実感しやすかったのは、おそらく1勝クラスだろう。過去3年に比べ勝利数はほぼ半減しており、「4歳馬が勝ちづらくなった」という印象が強いはずだ。ただ、出走数も3分の2程度になっているため、勝率〜3着内率にさほど大きな低下は見られない。
明らかに成績が「悪化した」と言えるのは2勝クラスだ。出走数が2018年以前より1.4倍前後に増えていながら勝利数や好走馬数は減少し、その結果、好走確率の大幅な低下を招いた。以前の1000万条件は、500万条件に比べると4歳の好走確率がかなり高かったが、昨年の2勝クラスは1勝クラス並みの成績にまで落ちている。
一方、1勝クラスとは逆の意味で「実感」に好走確率が伴っていないのが3勝クラスである。一昨年の1600万条件から勝ち鞍を8つ上積みするなど好走馬数は増えているが、出走数も大幅に増加したため、好走確率は大きく低下。3着内率では前年比で10ポイント以上のマイナスになった。ただ、単複の回収率は上々なため「3勝クラスでは4歳馬がよく来るようになった」という印象で予想しても、馬券成績に悪影響はなかったと思われる。
そしてオープン(重賞含む)は3勝クラス同様に好走馬数が増加し、こちらは好走確率の低下もごくわずか。4歳馬の成績が今ひとつだった2017年比ではプラスになっている。オープンには、仮に降級制度が存続していてもその対象にならないだけの賞金を持つ馬が在籍するほか、4歳春までにオープン入りできるほどの馬なら降級しなくても十分に強かった、という面もあるだろう。
3歳馬のクラス別成績推移(3歳以上・平地戦)
■表2 【3歳馬のクラス別成績推移(3歳以上・平地戦)】
一方、3勝クラスとオープンについては、ほぼ例年並みになった。前年比で見てしまうと好走確率の低下が目立つが、これは2018年の成績が良すぎたため。2016〜17年との比較では、さほど大きな差は見られない。
5歳馬のクラス別成績推移(3歳以上・平地戦)
■表3 【5歳馬のクラス別成績推移(3歳以上・平地戦)】
6歳以上馬のクラス別成績推移(3歳以上・平地戦)
■表4 【6歳以上馬のクラス別成績推移(3歳以上・平地戦)】
以上、降級制度廃止の影響がどんな形で出ているのか、年齢別に探ってみた。1、2勝クラスへの影響が特に大きく、3歳馬はもちろん、5歳馬も以前に比べればかなり成績を上げていた。また、降級しなくなった4歳馬の成績変化は、クラスによって大きな違いが出ている。特別レースで年齢別の過去の傾向を探る際には、その数字を鵜呑みにするのではなく、これらを踏まえた上で予想の参考としたい。また、年が明けてそれぞれ年齢をひとつ重ねている点にはご注意いただきたい。
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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