【F1プレーオフ準決勝 第1戦】「よそ行きすみだ」を「1年間の積み重ね」で撃破! プレーオフ決勝進出へ、大分に不安要素なし。

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【軍記ひろし】

リーグ戦3位のフウガドールすみだに3-1で勝利。Fリーグ2019/2020 ディビジョン1 プレーオフ準決勝 第1戦はバサジィ大分が今シーズン見せ続けた強さを象徴するゲームだった。伊藤雅範監督は勝因をこう話す。

「相手のプレーや選手に応じた守り方。攻撃の狙いをピッチで出す。試合の流れに応じた判断」

そしてこう続ける。「この3つを1年間を通してしっかりとやってきた」。それが、大分の強さだった。

失点に絡んだ田村龍太郎のテクニカルな決勝弾

「相手どうこうではなく、自分たちが1年間やってきたスタイルを出せた」

試合のキーマンとなった田村龍太郎も、試合後にそう話す。積み重ねこそが、彼らに勝機をもたらしたのだ。

守り方、攻撃の狙い、状況判断。結果から逆算して振り返ると、序盤に押し込まれたことも、先制点を与えたことも、それらのミスを起こしてしまったことも、あまり重要ではないのかもしれない──。

先制点は、“田村のゴール”だった。

「立ち上がりから、自分自身はフワフワしていました。そういう流れのなかで、自分に当たって入ったゴール。しっかりと跳ね返せる状況だったので、個人的なミスです」

8分にFKを与えた場面は、シュート性のボールがエリア内の田村に当たって失点を許したのだ。

その後、0-1のまま時間が経過したが、15分、相手のミスを見逃さなかった吉田圭吾のゴールでようやく同点に。しかし、流れはすみだのままだった。16分、相手のカウンターを受けると、エリア内まで戻った仁部屋和弘がハンドを犯してPKを献上。決められれば1-2。試合を左右しかねない絶体絶命の場面だったが、これを救ったのが守護神・岩永汰紀だった。デネルのシュートを読み切り、体に当てて完璧にブロック。「あそこで止めてくれたことで、チーム全体で勢いが出ました」(田村)。大分はなんとか同点で試合を折り返した。

試合は少しずつ大分に傾き始めていた。そしてハーフタイム中の修正が、その流れを加速させた。

「前半にリズムがつかめていなくて、(ハーフタイムで)自分たちの強みであるプレスを見つめ直そうと。そこがしっかりいけるようになったことで、後半は立ち直れました」

25分、大分陣内でボールを持った中田秀人に対して、パカットがタックルを仕掛けてボールを奪取。相手の切り替えが遅れている隙に高速カウンターで攻め上がると、ボールは左サイドの田村のもとへ。

「失点していたので、『絶対に何がなんでも取る!』と思っていた」

田村は相手をいなして中に切り込むと、利き足とは逆の右足でシュートをねじ込んだ。

2-1。勝ち越しに成功した大分は32分、ドリブルで左サイドの奥までボールを運んだ仁部屋が、その場でゴールに背を向けながらキープしておしゃれなヒールパスを中に送ると、ヴィトンが押し込んで3点目。2点のリードを奪った大分は、すみだの猛攻を冷静なプレーで凌ぎ切ってタイムアップ。第1戦をモノにした。

敗れたすみだの須賀雄大監督は試合後、「第1戦は“80分の試合の前半”」と話した。つまり、2試合トータルで勝ち切るために、普段とは異なる“よそ行きの戦い方”を選択してきたのだ。だが、大分は違う。

前半で後手に回った戦いを守備からやり直して、得意の形から逆転のゴールを奪い、最後は展開を見極めながらゲームマネージメントする。それはリーグ2位を独走した大分の戦いそのものであり、この1年間で培ってきた「伊藤バサジィ」のスタイルをきっちりと出して勝ち切ったのだ。

だから大分は、第2戦もやることは変わらない。後がなくなったすみだがアグレッシブな真っ向勝負を挑んでくることも想定内。リーグ戦は3-1、6-1、5-0で3連勝。大分に不安要素はないだろう。ただ積み重ねてきたスタイルを出すだけ。それがプレーオフ決勝進出への、唯一にして絶対的なプランに違いない。
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