【フットサル】Fリーグベスト5にノミネートされた“小さな巨人”岩永汰紀。歴代最少失点守護神を生み出した「最高の練習環境」とは?

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【軍記ひろし】

25勝3分5敗、勝ち点78。リーグ2位を“独走”した今シーズンのバサジィ大分は、とにかく強かった。日本代表でも10番を背負うエース・仁部屋和弘を筆頭に、レイチ、ヴィトン、小門勇太らを擁する攻撃陣は破壊力抜群。1試合平均4.8点、名古屋オーシャンズに次ぐ159得点をたたき出した。

だが、彼らの強さを示す数字はそれだけではない。

失点数59。得点が入りやすいフットサルにおいて、1試合平均失点1.79という数字は驚異的だ。これは62失点の名古屋をおさえてリーグ最少。それどころか、1シーズン33試合になった2014シーズン以降では、2017シーズンの名古屋と並ぶ歴代最少記録。その守備力を最後尾から支えたのが、ゴレイロの岩永汰紀だった。

ブラジル人トリオのシュートを浴び続けた毎日

22歳の岩永汰紀は、今シーズン途中から先発に定着。日本代表の矢澤大夢や、経験豊富な石黒紘久が加入したこともあり、開幕当初はメンバー外も多かったが、7月に矢澤が負傷離脱して以降にポジションを勝ち取ると、安定したプレーでチームの躍進に大きく貢献してみせた。

岩永のすごさはずばり、圧倒的なゴレイロスキルの高さにある。身長163センチとF1のゴレイロでは2番目に小さいが、それを補って余りある正確なポジショニングが彼のプレーのベースだ。ボールの位置に合わせるだけでなく、ボールを持った相手選手の体勢や体の向き、味方DFの付き方、ファーに入ってくる敵・味方の位置関係など、多くの情報から的確なポジションを瞬時に割り出し、数センチ単位で、すり足でポジションを修正する。鋭い反応からのビッグセーブも、シュートが飛んで来る前の丹念な下準備があってこそ可能になるのだ。長短のスローイングも非常に正確で、タイプとしては名古屋の篠田龍馬に近いスタイルだ。

そんな岩永のさらなる成長を促したのは他でもない大分のチームメートだ。

レイチ、ヴィトン、パカットのブラジル人に加え、山田ラファエルユウゴ、小門、森洸……。名古屋をもってしても、これだけの強力シューター陣をそろえていない。Fリーグ屈指のパンチ力を誇るそのシュートを毎日のように浴び続けられる練習環境は、ゴレイロにとっても「間違いなくプラス」(岩永)だという。

「一番シュートが早いのは7番のヴィトンです。長い脚をしならせるように打ってくるので、見た目以上に伸びてきます。ボールの置きどころが多少ズレても、一つ外側からでも同じように伸びるシュートが飛んで来る。ああいうタイプは日本人にはなかなかいないと思います」

「9番のレイチは、シュート自体はそこまで速くないですけど、コースやタイミングが合わせづらい」

「12番のパカットは、シュートがとにかく重いので、しっかり弾きにいかないと逆に自分の手が弾き飛ばされて入ってしまうこともあります」

特に群を抜くブラジル人トリオのシュートは、岩永のスキルを飛躍的に向上させたのだ。「ゴレイロにとってすごくいい練習になっている」という環境でもまれ、若くして守護神となった岩永。今週末、いよいよプレーオフ準決勝。充実のシーズンのクライマックスで、岩永はどんなプレーを見せてくれるのだろうか。

■プレーオフ試合日程
プレーオフ準決勝
@駒沢オリンピック公園総合運動場体育館

第1戦 1月18日(土)
17:30 バサジィ大分 vs フウガドールすみだ

第2戦 1月19日(日)
15:30 バサジィ大分 vs フウガドールすみだ

プレーオフ決勝
@武田テバオーシャンアリーナ

第1戦 1月25日(土)
14:30 名古屋オーシャンズ vs 準決勝勝者

第2戦 1月26日(日)
14:30 名古屋オーシャンズ vs 準決勝勝者
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