3年目を迎えた中日・根尾は8位にランクイン。今季は遊撃一本で練習していたが、好調な打撃を生かすためオープン戦では外野起用も【写真は共同】
『ファンが予想! 2021年新人王は誰だ?』セ・リーグ編はトップ10を球団別に見ていこう。ユーザーから寄せられたコメントは、カギカッコで紹介する。
興味深いのは中日だ。ルーキーではなく高卒2年目、3年目の野手が3人、8位から10位にランクイン。野手の層を厚くすることが今季の課題であるというチーム状況を受け、ユーザーの期待も野手に集中したのだろうか。
10位(得票率1.51%)の岡林勇希には、ユーザーから「天才的なミート力」「可能性を感じたから」と期待の言葉が集まると同時に、与田剛監督からは『外野3つ、全部守ってほしい』との注文が。岡林と同じ2年目の内野手・石川昂弥(9位、1.56%)には「日本最強スラッガーの可能性あり」と、東京ヤクルト・村上宗隆のような2年目の大ブレークに期待がかかる。
8位(1.73%)は3年目の根尾昂。今季は遊撃一本で練習していたが、好調な打撃を生かすため外野にも挑戦している。「4代目ミスタードラゴンズになるためには必須(願望)」「今年来る!」と、ファンの熱は高まる一方だ。
ヤクルトも即戦力ルーキー・木澤尚文(14位、1.10%)や元山飛優(20位、0.63%)以上に、2年目・奥川恭伸に票が集中した(4位、5.65%)。ルーキーイヤーの昨年は右肩、右ひじを痛め、一軍では1試合の登板に終わった奥川。「高卒2年目とは思えない完成度の高さから」票を投じたファンに今季こそ実力を見せつけてほしいし、奥川の「圧倒的なスター性」にファンはロマンを感じている。
横浜DeNAは内野手の牧秀悟が6位(2.85%)にランクイン。2019年秋に戦国・東都を制した中央大で、1年時からレギュラーを張る逸材だ。本職は二遊間だが、キャンプから一塁にも挑戦。外国人選手の合流時期によっては、開幕レギュラーの可能性も十分に考えられる。ファンからは「三拍子揃った戦力」として大きな期待が寄せられ、野球評論家は『村田修一(元横浜、巨人)のようになれる』『浅村栄斗(東北楽天)タイプ』などと評する。楽しみな選手だ。
2位の広島・栗林は社会人ナンバーワン投手の呼び声高い右腕。1年目はリリーフでの起用が想定されている【写真は共同】
投手陣再建中の広島からは、即戦力の呼び声高い2人の新人投手が票を集めた。八戸学院大から入団した右腕・大道温貴は7位(2.18%)に、トヨタ自動車出身のドラフト1位・栗林良吏が2位(10.77%)になった。この2人が現在、チームのクローザーの座を競い合っている。
大道は大学時代、北東北大学リーグタイとなる1試合18奪三振を記録。7回参考記録ながらノーヒットノーランも達成している。気迫を前面に押し出し、三振を狙いにいくピッチングが持ち味で、ファンは「栗林ばかり注目されているが、その反発心から新人王を狙ってほしい」と期待する。
栗林には「打者とのかけひきがうまい」「ストレートとスプリットが凄い」などのコメントが集まった。本人も特徴として挙げる投げっぷりの良さとともに、じわじわ評価を上げているのが癒し系フェイス。今村猛、大瀬良大地、一岡竜司に続き、『カピバラ兄弟』の仲間入りなるか。
佐々岡真司監督はすでに栗林、森浦大輔、大道のルーキー3人に対し、リリーフでの起用を伝えたという。切磋琢磨しながら、新たな勝利の方程式を築くことができるか。
巨人からは投打のルーキーが1人ずつトップ5入りを果たした。注目は5位(3.23%)の秋広優人。200cmの高身長で、育成8位入団の阿部剣友と並びNPB最長身を誇る。ドラフト指名時は投手で二刀流になるか話題を呼んだが、今季は内野手登録となった。長身ながら俊足でパワーも抜群。「スケールが大きい。大谷(翔平/エンゼルス)みたいで化けそう」と、ファンは伸びしろに期待する。
実力派の宝庫・亜細亜大から入団した右腕・平内龍太は3位(8.63%)に。長身から投げおろすMAX156km/hのストレートとフォークを武器に三振を奪う。「球に力があり、1年目から即戦力として使える選手。チームの強打と堅守もあって、勝ち星を重ねそう」。平内は先発ローテーションの5番手候補に名前が挙がっている。
ファンの圧倒的な支持を受けた阪神・佐藤輝。恵まれた体格を生かした打撃はもちろん、守備や走塁も一定のクオリティーを持つ即戦力ルーキーだ【写真は共同】
そして、残るは阪神。2位の栗林と34.75ポイントもの大差をつけて1位(45.52%)に輝いたのは、佐藤輝明だ。甲子園のお膝元・兵庫県西宮市で生まれ育ち、近畿大時代には関西学生リーグの通算本塁打記録を更新(14本)。ドラフトでは4球団が競合したスラッガーで、しかも走攻守三拍子揃っている。「バッティングにロマンがある」「まさに柳田(悠岐/福岡ソフトバンク)二世。打ち方もそっくり」「驚愕のパワーと器用さ、そして選球眼。すべて桁違いすぎる」と、ファンも大絶賛。実際、キャンプから自慢の飛距離を見せつけており、開幕スタメン、しかもクリーンアップを任されるのではないかとまで言われている。
期待の大型新人が加入し、ロハス・ジュニアとアルカンタラの実力派外国人選手も獲得。16年ぶりの優勝へ、阪神ファンはかつてないほどのロマンを感じていることだろう。
(文・前田恵、企画構成:株式会社スリーライト)