井上尚弥vs.マーロン・タパレス
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井上尚弥、2階級4団体統一!タパレスを10RにKO
総括
写真は共同
昨年末、バンタム級(53.52㎏)で4団体統一を成し遂げた井上尚弥(大橋)が、続いてスーパーバンタム級(55.34㎏)でも4団体統一を目指したタイトルマッチが26日、有明アリーナで開催された。
WBCとWBOの同級世界王者である井上は、WBAとIBFの世界王者マーロン・タパレス(フィリピン)と対戦。鉄壁の強さで4団体統一を楽観視する周囲に対し、井上はこれまでで最多となる116ラウンドのスパーリングを積み試合に臨んだ。
サウスポーのタパレスは後ろ足重心に構え、井上の強打を警戒して試合を進める。井上はしかしジャブ、ボディブローと削っていき、4R終了間際、左フックを効かせて下がらせ、連打をまとめダウンを奪って序盤を終える。
一気に試合を決めるかに思われた井上だが、タパレスは巧みなボディワークで井上の強打を殺して試合を進行。
だが判定も見え始めた10R、ワンツーの後で放った右ストレートをガードの合間に打ち込み、これにタパレスはダウン。ダメージの蓄積もあったかタパレスは立ち上がれず、井上がKOでスーパーバンタム級4団体統一に成功した。
史上2人目の2階級4団体統一王者となった井上は、しかしスーパーバンタム級を適正階級とあらためて語り、「来年5月に噂されている試合が実現するかどうかは交渉を詰めていくところですが、ファンが喜ぶような、見たいという試合を実現していきたいと思うので、どんどん声を上げてもらえれば」とファンにメッセージを送った。
試合詳細
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井上のリング上のインタビュー
「タパレス選手に本当に感謝したいと思います。
階級を上げて4本のベルトを集めることができたのも応援のおかげですし、大橋会長やみなさんのご尽力があってこそだと思ってます。スーパーバンタム級で4つのベルトを集めましたが、今の適正階級だと思うので、来年、再来年ともっと強い姿を見せれるよう精進していきたいと思います。
(タパレスは)タフで気持ちの強い選手でした。戦前予想していた通りの選手で、そういう相手に10R・TKOで勝てて自分のやってきたことが証明されてホッとしています。ポーカーフェイスで効いてる様子を耐えていたので、10Rに崩れ落ちた時にはビックリしました。でも自分もいいパンチを蓄積させていたので、ダメージがあったのかなと思います。1発のパンチもありましたし、自分もピリピリしながら試合を進めることができました。
来年5月に噂されている試合が実現するかどうかは交渉を詰めていくところですが、ファンが喜ぶような、見たいという試合を実現していきたいと思うので、どんどん声を上げてもらえればと思います。
またみなさんの前でいい試合をお見せすることができてうれしく思います。みなさん、来年もよい年を迎えてください。応援ありがとうございました」 -
10R
タパレスが距離を詰めてきて、右ジャブから左ボディ。井上もしかし察知してバックステップで間合いを戻す。そしてワンツーを放ち、続いて右ストレートを放つと、被弾したタパレスはダウン。ダメージが濃く立ち上がれず、井上のKO勝利となった。
勝利した井上は4本のベルトを両腕に下げ、勝者のコールを受ける。写真は共同 -
9R
井上は距離を詰め右ストレート。タパレスは体を反らしてパンチの威力を殺し、ジャブ、左ボディアッパーと反撃する。圧力を受けるタパレスだが、井上のワンツーを柔らかな上体の動きで軽減する。ワンツーでとらえられない井上。先手で攻め手数も上回る井上だが、タパレスのブロックにクリーンヒットを妨げられる。
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8R
後ろ重心で頭を遠くに置くタパレスに井上は右ボディフックの後で右ストレート。タパレスはクリンチの場面でラフにボディフックを連打し、続いて鋭い右フックで脅かすが、これは井上がかわす。ノーモーションの左ストレートを放ち、タパレスは浅くではあるがヒット。井上が出てきても巧みに右回りして圧力をかわすタパレス。
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7R
このラウンドもやはり井上はジャブに左フックを合わせ、右ストレートで脅かす。タパレスのストレートがとらえるが、井上は大丈夫だと軽く首を振る。井上もタパレスのように後ろ足重心にし警戒しながら試合を進める。井上のカウンターに注意しながら右ジャブを飛ばすタパレス。井上のジャブをL字ガードで上体を振ってかわすタパレスだが、井上のストレートがとらえる。
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6R
前に来るタパレスに対し、井上は横へのフットワークでさばかんとする。しかしタパレスは圧力を落とさず、井上をロープに追い込む。だが井上はストレート、連打と強打し、タパレスを下がらせる。井上はガードの合間からストレートをヒット。タパレスのジャブに左フックを合わせ、右ストレート、左ボディフックと徐々にヒットを上げていく。井上はタパレスのジャブに左フックをカウンターし、前に来ないと見ると右ストレートを放っていく。
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5R
井上は右ストレート、左ボディフック、右アッパーとパンチに力を込める。グローブを叩き合わせ、来いと呼び込むタパレスだが手が出ない。しかし右フックのカウンターを井上にヒット。タパレスは被弾しながらも前に出て、井上にフックの上下打ち、ジャブと見舞う。だが井上はジャブで突き放し、タパレスの右フックに右ストレートをカウンター。しかしタパレスも見えづらいタイミングで右アッパーを放って当てる。
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4R
井上はジャブ、右ストレートと先制。タパレスも左ストレートを打ち返す。井上は右ボディアッパーをヒット。タパレスもやはりボディを返す。井上は右クロスから左ボディ。井上の右フックにタパレスは右ジャブをカウンター。そこから前に出て井上をロープまで押していく。しかし井上はそこから出て、力のこもった左ボディフック、右ボディアッパーをめり込ませる。タパレスもボディを打ち返す。だが井上は左フックを効かせてタパレスを後退させ、ロープ際で連打でとらえダウンを奪ってラウンドを終える。
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3R
井上はジャブからのストレートを顔、ボディと振るうが、タパレスもそこに右ジャブを合わせて狙う。井上は左腕を低くしてタパレスを誘い、右ストレートの強打。だが、これはタパレスがブロックする。タパレスもL字ガードから右ジャブで応戦する。ジャブ、右アッパーと振るう井上だがタパレスは察知がよく当てさせない。
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2R
両者体をゆすって向き合う。井上はジャブ、ストレートと前に出るがタパレスがガード。井上のジャブにタパレスが前足の膝(右)を着くもこれはスリップ。井上はジャブを顔・腹と打ち分け、タパレスが打ってきたところを左フック、ワンツーと狙うが当たらない。タパレスは後ろ足に重心を置いて構え、井上の右ストレートを警戒する。
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1R
レフェリーから諸注意を受け、20時過ぎにゴング。
井上は左ジャブから右ボディ。続いてワンツーを放ってタパレスの反応を探る。タパレスはガードを上げ、体を振って様子見する。ノーモーションの左ストレートを放ち、この2発目を軽く井上に当てるタパレス。続いての右フックは井上がかわす。井上がジャブを飛ばせば、タパレスもボディに右ジャブを返す。両者高く固いガードを崩さず初回を終える。 -
リングアナのコール
リングアナがレフェリー、ジャッジを紹介し、井上、タパレスとコールする。井上はコール時、右拳を振るようにアピールし、対してタパレスは右拳を軽く突き上げる。
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リングイン
先にタパレスが入場。左右の拳を軽く上げてファンにアピールし、胸の前で十字を切ってリングに入る。
井上は入場曲がしばらく進んでから姿を現し、軽く体を左右に振り、リングに歩を進めていく。リング下で精神統一してから階段を上がりリングインする。
フィリピン、日本の順で国歌が演奏され、コミッショナー宣言が行われる。