カーリング五輪出場国ランキング 女子編
記事
2月10日に、北京五輪のカーリング女子開幕する。出場10カ国の戦力はどうなっているのか。
富士急所属の小穴桃里選手と、フォルティウス所属の小野寺佳歩選手の2人が、各チームの戦力を分析。全10カ国を6つの項目別(各項目10点満点)で採点し、合計得点でランキング化した。
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ランキング
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寸評
堅い展望になってしまいますが、前回の平昌五輪優勝のスウェーデンと、2021年世界選手権優勝のスイスの両チームが大崩れする想像はできません。間違いなくラウンドロビン(総当たりの予選)の軸になり、メダルにからんでくると思います。
スウェーデンはテイク(相手のストーンを弾き出すショット)の精度は現在、世界一なのではないでしょうか。セカンドのアグネス・クノッシェンハウエル選手も、サードのサラ・マクメイナス選手も、ガードストーンを飛ばしてハウス(円)の中を狙う「ランバック」という難しいショットを当たり前のように決めてきます。対戦する側としてはいかにスキップのアンナ・ハッセルボリ選手にテイクショットを残さずに、ドロー(狙った場所に置くショット)を投げさせるか。私たちも試合した時はそれを意識していました。
日本代表のロコ・ソラーレにとっては初戦の相手で、いきなりのビッグカードとなりましたが、実は日本にとってはポジティブな要素かもしれません。お互いアイスやストーンの情報が少ない状態で、先にアイスを読んだもん勝ち。そんな展開のゲームになれば、ロコ・ソラーレはアイスリーディングに長けたチームですのでチャンスは増え、十分に勝機もあります。
スイスも全ての要素で高いレベルを誇る強豪です。特徴的なのはピーキングの能力ですね。シーズン途中で調子を落とすことはあっても、大舞台にピークをしっかり作ってくる印象です。世界選手権などの長丁場でも、各ポジションで高いショット率を残していましたし、作戦の組み方も含めてショットメイクの正確性も高いチームです。大きな舞台での勝負強さがあるので、表彰台には上がるのではないかと思います。
スイス、スウェーデンを追うのがイギリス、日本、韓国の最終予選(2021年12月オランダ)組です。イギリスは11月の欧州選手権(スコットランドとして出場)の決勝でスウェーデンに勝利するなど、今季は好調を維持しています。ナショナルチームとして活動する機会が多かったのも有利な点かもしれません。
韓国は日本でも人気の“メガネ先輩”ことキム・ウンジョン選手のチームが出場します。前回大会でファイナリストとなった経験をはじめ、技術や戦術は申し分ないチームですが、勢いという意味ではホームの大歓声を受けて躍進した平昌大会前後の2017/18シーズンのほうがあったように感じています。
カーリング王国・カナダのジェニファー・ジョーンズ選手率いるチームは、カナダ国内で今季はそこまで有力視されている存在ではありませんでした。しかし五輪トライアルで、サードで前回の平昌大会のミックスダブルスで金メダルに輝いたケイトリン・ローズ選手とスキップのジョーンズ選手のショットが見事なほどにつながり、一気に頂点に駆け上がりました。ハマった時の爆発力はどのチームでも止められないかもしれません。ジョーンズ選手も2014年のソチ五輪で金メダルを獲得しているので、ケイトリン選手との金メダル・バックエンド(サードとスキップ)に注目したいですね。
他にも開催国である中国、初出場で比較的若いチームのロシア、ハウス内に石を増やして勝負してくることが多いアメリカ、手堅いカーリングを展開するデンマークなどなど、それぞれのカラーを持ちながら史上最高のレベルといえる10チームがそろいました。確実に勝敗が読める試合はありません。
いずれにしても鍵となるのはアイスの状態とその把握です。傾向として五輪はよく石が曲がるアイスに仕上げてきますが、外気、会場内に除湿がかかっているか、ストーンの研磨のタイミング、観客の有無などでアイスは変化します。その未知数の変化をどう捉えるか。
さらにコロナ禍での開催となる今大会は、オフアイスでの行動制限も予想されます。アイス内外でチームではコントロールできないことを受け入れ、切り替える柔軟な強さが求められると個人的には考えています。
そういう点では日本代表のロコ・ソラーレは、強いと思います。もともとこれといった弱点はありませんし、アイスを読む能力、あらゆる変化に対応するアジャスト力が彼女たちの強みで、それをチーム内でしっかり共有できるコミュニケーションも備えています。
目の前の試合にひとつひとつ集中できれば、クオリファイ(ベスト4のプレーオフ進出)は十分に望めますので、みなさん、応援よろしくお願いします。
【簡易プロフィール】
小野寺佳歩(おのでら・かほ/フォルティウス)
ロコ・ソラーレの吉田知那美や鈴木らとは同級生で元チームメイト。2014年ソチ五輪出場。2021年日本選手権優勝。