カーリング五輪出場国ランキング 男子編

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 2月9日に、北京五輪のカーリング男子開幕する。出場10カ国の戦力はどうなっているのか。

 2018年の平昌五輪に出場した両角友佑(TMKaruizawa)と、北海道コンサドーレ札幌所属の谷田康真選手の2人が、各チームの戦力を分析。全10カ国を6つの項目別(各項目10点満点)で採点し、合計得点でランキング化した。

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ランキング

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寸評

スウェーデンの特筆すべき強さはテイクとスイープ。谷田選手も実力を高く評価する【写真:ロイター/アフロ】

 本命がカナダとスウェーデン、そのライバルとなるのがイギリスという大会になると予想しています。

 選手として実際に対戦してみると、一番強いと感じるのがカナダですね。スキップのブラッド・グシュー選手をはじめ、全選手がどんなショットでも高いレベルで対応できるスキのない強さを持っています。特にハウス(円)にシューター(投げた石)を残す遅いウェイトのテイクがうまいので、対戦相手には常にビッグエンドのプレッシャーがかかります。スイーパー陣のウェイトジャッジにもほとんどミスが出ません。どの大会でもしっかりアイスが読めている証拠とも言えます。総合力を考えると、カナダが金メダル候補だと思います。

 対抗の1番手にはスウェーデンが挙がるでしょう。ランバックやダブルテイクアウトなどの早いテイクが得意で、劣勢でも1投で局面を打開する力は間違いなく参加10カ国でNo.1。その早いテイクがあるからこそ、戦術的にも彼らにしかできないエンド構成や、リスクのあるショットセレクションも可能になる。スキップのニクラス・エディン選手は欧州王者7回、世界選手権も5回勝っている現役最強のカーラーですが、ソチ五輪銅メダル、平昌で銀メダルと、五輪での優勝はまだないんですよね。残されたビッグタイトルを獲るのかという意味でも注目しています。

 個人的に再推しのチームが、イギリスのチーム・マウアットです。スウェーデン同様、テイクのうまいチームですが、トップウェイトで投げるというよりスピードを落としたコントロールテイクでランバックなどを次々に決めてきます。石の当て方、重ね方が独特で、石の配置は当然、有利なアングルを作って盤面を支配するエンド構成は、これまでのカーリングになかった要素かもしれません。その上でスイープもフルに活用する、いわば現代の理想のゲームを体現してくれるチームだと僕は感じています。イギリスがカナダ、スウェーデンを倒して優勝すればカーリングはこの先、戦術的に新しい方向に進んでいくかもしれません。

スウェーデンとイギリスの2強を追う、ノルウェー、カナダ、前回の平昌五輪で銅メダルのスイス(写真)【写真:ロイター/アフロ】

 この3チーム同士の相性ですが、アイス次第で少し戦況が変わってくると思います。今回のチーフアイスメーカーはカナダ人のハンス・ウ―リッヒ氏です。2020年の日本選手権にも来てくれた敏腕で、均一に滑るアイスを作ってくれる傾向がありますが、ミックスダブルスを観ている限り、いつもより変化が多く、シートによっては曲がりにくいパス(道)もありました。曲がらないアイス、あるいは変化の大きいアイスの場合、ドローを得意とするカナダよりも、テイク主体で戦えるスウェーデンやスコットランドに有利に働く可能性はありますので、大会後半に入ってのアイスコンディションにも注目したいですね。

 カナダ、スウェーデン、イギリスを出し抜くダークホース候補は、平昌3位で2021年の世界選手権でも3位という安定した成績を残すスイス、前回の平昌大会金メダルのアメリカあたりですかね。ただ、ROC、イタリア、ノルウェー、デンマーク、中国といったチームにとっては厳しい戦いになるとは思いますが、力の差はそこまで大きくないので「全く歯が立たない」というわけではありません。

 例えばイタリアは昨年の世界選手権でスイスに、欧州選手権ではスウェーデンにラウンドロビン(総当たりの予選)ではありますが、白星を奪っています。五輪という独特の雰囲気と中国のアイス、未知のコンディションを味方につけてチームダイナミクスを起こす国が、一気に駆け上がってくる。そんな展開も十分に考えられます。

 いずれにしても肝心なのは、序盤からしっかりアイスを読むこと。テレビ中継でも必ず解説者がアイスの変化について言及すると思うので、それを参考に注視すると観戦がより深まると思います。ぜひトライしてみてください。

【簡易プロフィール】
谷田康真
(たにだ・やすまさ/北海道コンサドーレ札幌)
2019年-21年日本選手権3連覇を果たしたコンサドーレのセカンド。2019年世界選手権ではオールスターに選出された。

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