カーリング五輪出場国ランキング 混合ダブルス編
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2月2日に、北京五輪のカーリング混合ダブルスが他の種目に先がけて開幕する。日本は昨年12月に行われた世界最終予選を戦った末、惜しくも出場権を逃したが、出場10チームの戦力はどうなっているのか。
日本選手権3連覇を果たしたコンサドーレのスキップで、混合ダブルスでは世界選手権にも出場した松村雄太選手と、2018年の平昌五輪に出場した山口剛史選手(SC軽井沢)の2人が、各チームの戦力を分析。全10カ国を6つの項目別(各項目10点満点)で採点し、合計得点でランキング化した。
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ランキング
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寸評
本気で予想するとしたら、ファイナルはスウェーデンvs.イギリスというカードになると思います。チームカラーを分かりやすくするために一応、数字は微差をつけていますが、この2チームはすべての項目が10点でいいくらい完成度が高いですね。
ミックスダブルスは男女ペアで1エンドに5投するゲームですが、イギリスの4人制女子のセカンドとして出場するジェニファー・ドッズ選手、同じく男子でスキップを務めるブルース・マウアット選手のペアは、とにかくテイクもドローも高い精度で投げることができます。特に2-4投を投げるマウアット選手がしっかりといい形を作ることで、常に優勢にゲームをコントロールできている印象ですね。初戦の相手がスウェーデンというのは激アツです。
両チームとも予選、特に初戦は「負けてもいいや」とまでは思っていないでしょうけれど、勝ち負けよりアイスの状態を見極めるための情報収集を重視しながら、いろいろなことを試すと思います。多種のショットが見られる上に、ファイナルの伏線となるプレーも出てくると思いますので、見逃せない一戦になるでしょう。
スウェーデンの特筆すべき強さはテイクとスイープです。4人制でもそうなんですが、スウェーデンの選手は男女や年代を問わず「ランバック」というガードストーンを撃ってハウスの中に飛ばすショットを使います。とても難しいのですが、それをいとも簡単に決めてきますね。男子の4人制も出場するオスカー・エリクソン選手、女子のアルミダ・デ・ヴァル選手はふたりともサードですので、ランバックも含めあらゆるショットを苦にしない柔軟性も強みです。
余談かもしれませんが、デ・ヴァル選手は世界ジュニア選手権で金メダルを獲得している若いタレントです。今回、4人制には出場しませんが、まだ24歳なので来季以降、4年後のミラノ・コルティナ五輪の次世代スター候補として覚えておいて損はありません。
この2強を追うのが昨年の世界選手権準優勝でワールドツアー最上位のノルウェー、カーリング大国のカナダ、前回の平昌銀メダルのスイスあたりでしょうか。
どのチームも多くの経験を持っていて、戦術的引き出しは多いペアですが、4人制で現在進行形でトップオブトップを走っているスウェーデンとイギリスと比較すると、どうしても差はついてしまうかなという印象ですね。
個人的には、世界的スキップのレイチェル・ホーマン選手と、日本でも“ジョンモリ”の愛称で親しまれているジョン・モリス選手が組んだカナダに注目しています。
ジョンモリ選手は僕の憧れのカーラーで、とにかく勝つグループを作り上げる手腕がすごいんです。2010年バンクーバー五輪で金、2018年の平昌では混合ダブルス初の金メダリストになっているほか、チームを移っても常にそのチームで結果を出します。
また、彼は実はオーストラリアのナショナルコーチでもあり、指導者としても結果を出しています。オーストラリアの初出場は彼のコーチングによる部分も大きいでしょう。ただ、本人がカナダ代表に選出されたため、オーストラリアは違うコーチが任命されています。これはオーストラリアにとっては痛手ですね。ちょっと厳しい戦いになりそうです。
ただ、その“ジョンモリ・マジック”をもってしても、スウェーデン、イギリスの壁は厚いです。カナダとイギリスは大会2日目に対戦しますが、カナダが早い段階でアイスリーディングに成功してやっと五分かな、というバランスでしょうか。それくらいイギリスは強いです。
アメリカもうまくまとまったペアですが、大きな弱点がない一方で「これが強い」という武器もない印象です。チェコもイタリアも欧州の第一線で活躍する選手のペアなんですが、ミックスダブルス、五輪という舞台では未知数ですね。ただ、カーリングの怖い部分として、曲がり幅やウェイトが恐ろしいくらいにビタっと合うことがごくまれにあります。五輪のアイスと奇跡のマッチングが起これば、いずれかのチームがプレーオフ戦線を盛り上げる可能性は十分にあります。
開幕直前になって情報が出た中国でしたが、范蘇圓選手と凌智選手はおそらく国際経験もほとんどない状態での出場になるはずです。アイスの情報を入手しやすいというホームアドバンテージはあれど、星を拾うのは難しいのではないでしょうか。
クオリファイ(プレーオフ進出)に必要な白星は、6勝(3敗)が理想、5勝(4敗)でギリギリ、というラインだと思います。スウェーデンとイギリスが星を稼ぐのでしょうが、その過程で中堅どころに不覚を取ると混戦必至ですね。まずは初日のスウェーデンvs.イギリスと、2日目のカナダvs.イギリスの結果次第でラウンドロビン(総当たりの予選)の行方が左右されるでしょう。
【プロフィール】
山口剛史(やまぐち・つよし/SC軽井沢クラブ)
2018年平昌五輪出場。2018年、19年日本ミックスダブルス選手権優勝。同年の両世界選手権でいずれも5位入賞。