5番アイアンが上手く打てないのは、腕前のせいでもヘッドスピードのせいでもなかった?
還暦を過ぎたら5番アイアンが難しく感じて、代わりにUTを使うようになってきた。記憶を辿って見れば、UTが一般化する前はシニアゴルファーも5番アイアンを普通に打っていたのに、どうしてなのかを考えてみたら3つの理由があった。
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やさしいと思って買ったクラブは、実は難しいクラブかも!?
「5番アイアンが打てないのではなく、5番アイアンが打てないクラブを選んでいるからでしょ」 と。
アイアンのロフト。これが、5番アイアンを思うように打てないひとつめの理由だ。
大学を卒業してゴルフクラブメーカーに入社したのが41年前。当時のアイアンのロフトは7番で34度前後、6番で30度前後、5番で26度前後だった。これが今では、7番で30度が当たり前、中には25度の猛者もいる。5番になるとさらに立っていて、24度とか21度になっている。41年前なら3番とか4番のロフトなのだから、機能的に進化していたとしてもやさしいはずはない。
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球が上がりやすいことがやさしいクラブの条件
「球の打ち出しが高くて、バックスピンがいっぱいかかるクラブがやさしいクラブでしょう。だから、ドライバーやロングアイアン、ミドルアイアンが打てない初心者でもショートアイアンやウェッジは打てる」のだと。要するに今のアイアンはロフトが立ち過ぎていると言うことだ。だから7番は打てても、5番になると打てなくなる。
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店頭の試打クラブと計測器も原因
90年後半まではメーカーが店頭に設置する試打用アイアンの番手は5番だった。2000年以降のストロングロフト化によって、大手ゴルフショップから「5番だと打てない人が多いから試打用は7番にして欲しい」との要望があった。この時すでにモデルによっては5番アイアンが難しくなっていたということだ。
これに先立つバブル崩壊の影響で、店頭でのアイアンセットの販売価格を抑えるためにアイアンセットの本数が8本から6本以下に減り、5番アイアンは別売りというセットも出始めたこともあり、店頭の試打用クラブが7番に変って行き、2004年頃にはすっかり7番に入れ替わった。
これ以降、7番を試打してアイアンを選んでいるから、5番アイアンが上手く打てるかどうかは、購入後にしか分からないと言う状況が出来上がってしまった。
3つ目は計測器。計測器のお蔭で店頭の打席での試打でクラブを選べるようになったことのメリットは絶大なのだけれど、データの見方を間違っている人が多いと思っている。
プロが打った、ロフト25度、28度、30度のアイアンの計測データを比較して欲しい。25度はTOTAL159.0ヤード、28度は155.5-ドで25度の方が飛んでいるけれど、キャリーは逆に28度の方が飛んでいる(同等と言った感じだが)。
28度でもランは155.5-141.1ヤードで15.4ヤード出てしまっているから、グリーンを狙うクラブとしては飛距離は出なくても30度をチョイスしたい。参考にロフト25度のアイアンと24度のUTを同じ条件で試打したデータは次の通り。
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使える5番アイアンの選び方は?
今では、メーカーやネットの貸し出しサービスで、アイアンをセットで借りることが出来るので、これを利用すれば5番アイアンを実際に試打することが出来る。その上でデータを計測できれば完璧。
データ計測が出来なくても、広い練習場で5番を打って「これはやさしい」と感じるものを選べばOKだ。5番アイアンを打たずにアイアンセットを選んでいる。そもそも、これが5番アイアンを打てない一番の原因なのだ。
文/大塚賢二(ゴルフギアライター)
1961年生まれ。大手ゴルフクラブメーカーに20年間勤務。商品企画、宣伝販促、広報、プロ担当を歴任。独立後はギアライターとして数多くのギアに関する記事を執筆。有名シャフトメーカーのシャフトフィッターとしての経験も持つ。パーシモンヘッド時代からギアを見続け、クラブの開発から設計、製造に関する知識をも有するギアのスペシャリスト。
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