早大アイスホッケー シーズンを締めくくる早慶アイスホッケー秋季定期戦 半世紀ぶりの敗北を喫する

チーム・協会
第88回早慶秋季定期戦 1月5日 東京・ダイドードリンコアイスアリーナ
【早稲田スポーツ新聞会】記事 濵嶋彩加 写真 栗原礼佳、三浦佑亮、土橋俊介、河野紗矢、林朋亜

 日本学生氷上選手権(インカレ)をベスト8で終え、悔しさを胸に帰京した早大は、笑顔でシーズンを締めくくるべく、慶大との伝統の一戦に臨んだ。第88回を迎えた歴史ある早慶アイスホッケー定期戦には、今大会も多くの両校のファンが集結。会場は応援部吹奏楽団による演奏や、チアリーダーズによるパフォーマンスで試合前から大きな盛り上がりを見せた。一人一人の名前がコールされる選手入場を終えると、いよいよフェイスオフで第1ピリオドが開始。互いに譲らず0ー0のまま第2ピリオドを迎え、早大が貴重な先制点を挙げる。しかし直後に追いつかれ、さらに逆転を許すと、最後まで点差を覆すことができず、2ー4で50大会ぶりの秋季定期戦敗戦となった。

試合後、集合写真に納まる選手たち 【早稲田スポーツ新聞会】

 試合が開始すると、早大は最初のペナルティーを取られたこともあり、慶大に流れを奪われる。前半はそのままずるずると守りの時間が続いてしまった。後半にかけては早大のシュート数も増えたものの、なかなかゴールの枠を捉えることができない。FW林幹汰(文4=東京・早実)やFW田中裕人(スポ4=滋賀・光泉)の惜しいシュートもあったが、第1ピリオド残り3分からのキルプレーも得点に結びつけることができず、0ー0で第1ピリオドを終える。

ゴール前に攻め入るFW林 【早稲田スポーツ新聞会】

 第2ピリオドは、早く得点が欲しい両校が開始直後から激しくせめぎ合った。6分、FW林がゴール前まで運んで1人でシュートまで持っていったプレーには、会場も大きくどよめいたが、先制点とはならない。得点が動いたのは7分を過ぎたとき。ゴール左前でのフェイスオフから、パックをゴール裏に通し、FW笹沼葵(教2=東京・早実)が内にパスを出す。すかさずFW清水朝陽(社3=北海道・武修館)がゴール前の慶大ディフェンスをはがすと、こぼれていたパックをFW樋口能乙(スポ1=青森・八戸)が押し込み、先制点を挙げた。貴重な得点に観客は大盛り上がりとなり、選手たちも喜びを露わにした。しかし直後の10分、早大ディフェンスの綻びを見逃さなかった慶大が得点。さらに勢いに乗った慶大は16分にも追加点を奪う。歓喜の先制シーンから一転、1点ビハインドで第2ピリオドを終えた。

先制点を挙げ、喜ぶ選手たち 【早稲田スポーツ新聞会】

 迎えた最終ピリオドは、慶大の追加点で幕開けとなった。2点を追いかける早大に何度もパワープレーの機会は訪れたが、やはり決定力を欠き、チャンスを生かせないまま時間が経過。GK大塚斗琶(スポ1=北海道・苫小牧中央)はピリオド開始早々の失点を引きずらず、その後は好セーブを見せていたが、得点を追加しなければビハインドの状況は脱せない。プレーヤーはここ一番の猛攻を仕掛け、慶大にプレッシャーを与え続ける。試合終了の時が刻一刻と迫る中、徐々に早大の攻勢は強まっていった。
 そして15分、FW林のパスを受けたFW上山響平(スポ4=北海道・駒大苫小牧)が、ゴール横から切り込んでついに得点を追加。1点差とし、勝利への希望をつなぐ。残り1分54秒となったところで早大はタイムアウトを取り、攻撃態勢を整えた。採った作戦はGK大塚を下げ、6人全員での攻撃。しかしこの捨て身の作戦がハマらず、ガラ空きのゴールを狙われまさかの4失点目。このまま反撃及ばず試合終了を迎え、2ー4で試合を終え、秋季早慶戦半世紀ぶりの敗北を喫した。

敗戦が決まり、天を見上げるDF有賀俊(社4=北海道・白樺学園) 【早稲田スポーツ新聞会】

 早慶アイスホッケー秋季定期戦は、この半世紀の間ずっと早大が優勝を収めていた。インカレ後のインタビューでも「先輩たちが築いてくれた歴史を途切れさせないために」と棚橋俊太主将(スポ4=愛知・東海)が話していたが、結果的に今試合で惜しくも敗れ、長い間早大が守っていた優勝の座を譲るかたちでシーズンを終えることとなった。

 棚橋主将を含め、今試合をもって引退を迎えた8人の4年生は「悔しさを糧に必ずリベンジを」と後輩への期待を口にする。関東大学リーグ戦やインカレでも大きな功績を残すことができず、苦しみも多く味わったシーズンだったが、この1年を経たからこそ、来季を担う後輩たちは大きく成長した。来季、関東大学リーグ戦1部Aグループへの昇格を決めている慶大とは、またすぐに顔を合わせることとなる。早慶戦のみならず、2025年は最大のライバル・慶大から全勝し、また新たな早大の歴史を紡いでいってほしい。

コメント

DF棚橋俊太主将(スポ4=愛知・東海)

――どのような気持ちで早慶戦を迎えましたか

 インカレで関大に負けて、毎年と変わらないベスト8敗退というところで終わってしまって、自分たちは本当に優勝を目指してやってきていたので悔しい思いが強くて、その悔しさはチーム全体として持っていたと思うので、今までの思いをぶつけて、慶大をボコボコにしようと思っていました。

――今日の試合内容は振り返っていかがですか

 シュート数とか試合内容を見ると、早稲田の方が攻めていたのですが、そういう中で得点できなかったのは、インカレの関大戦と同じく、今シーズンの課題であった得点力を解決しきれず、そういったところで失点して流れを持っていかれたと思います。慶大の方が勝利のために気持ちの入ったプレーが多かったと思うので、そういったところが自分たちには足りなかったと思います。

――早慶戦で全ての試合を終えましたが、4年間を振り返っていかがですか

 本当に長いようで短い4年間でした。最初の方は環境が変わって、厳しい環境にも慣れなくて、最初は辛いことも大変なことも多かった分、長く感じていたんですけど、年を重ねるにつれて余裕も少し出てきて、後輩に教えたりすることも増えて自分としても大きく成長できました。ホッケーに関しては、毎シーズン悔しい思いをしていたので、今年こそはと思って4年生は主将を務めたのですが、結局は結果は変わらなかったので、後輩たちに何か残せたのかなという思いもありますけど、振り返ってみれば楽しい思い出ばかりで、毎年毎年のメンバーでホッケーをやれたことはすごく楽しかったです。この4年間は本当に良い思い出です。

――後輩に向けてのエールをお願いします

 本当に今シーズンは悔しい思いをする試合が多かったですが、逆になかなかここまで悔しい思いが募る試合をする年もないと思いますし、1年生はまだ分からない部分もあるかもしれませんが、どうすればチームが強くなるのか、来年度4年生になる清水(清水朝陽、社3=北海道・武修館)たちを中心に考えて、共有して、今年を生かしてどんどん強い早稲田になっていって欲しいです。頑張ってください!

DF沼田恵祐副将(文4=青森・八戸)

――どのような準備をして早慶戦に挑まれましたか

 練習で特別なことをしたということはないのですが、前の試合から期間が空いていたので、早慶戦に向けて感覚を取り戻すことは意識していました。

――試合内容は振り返っていかがですか

 なかなか1ピリオドで点数を取れなくて、2ピリオドで先制点を取れたところまでは良かったのですが、そこから早い時間で逆転されて、慶大の勢いに押されてしまったかなという印象です。

――副将としての1年間を振り返っていかがですか

 最初はどうなるかと思っていたのですが、結果的に春の大会でも、夏の大会でも、秋冬のシーズンでも良い結果を残すことが出来ず、不甲斐ない気持ちでいっぱいです。

――早稲田での4年間のアイスホッケー人生を振り返っていかがですか

 入寮して1回目の陸トレ(陸上トレーニング)からこんなにキツい環境でやっていけるのかな、と思っていたのてすが、なんとか先輩や後輩、同期、親など多くの方の支えがあってやってこられたので、感謝の気持ちでいっぱいです。

――後輩へのメッセージをお願いします

 今年1年間、悔しい思いしかしていないと思うし、悔しさはもう存分に味わったと思うので、これから1回1回の練習を大切にして、インカレや早慶戦で良い結果を残して欲しいなと思います。

FW平林慶太副将(スポ4=北海道・釧路江南)

――インカレを終えて、引退試合となる早慶戦、どのような気持ちで臨みましたか

 早慶戦は最後という気持ちはありましたが、今まで通りプレーしようという気持ちで臨みました。

――今日の試合内容を振り返っていかがですか

 第1ピリオドの流れは、良かった部分はありました。しかし、だんだんプレーが軽くなってきてしまって、そこを突かれて失点に至ってしまいました。今日の負けは、そういう軽いプレーが多かったことが反省点だなと思います。

――4年間の早稲田でのアイスホッケー人生を振り返っていかがですか

 苦しい時の方が多かったですが、その中で少しずつ成長できたことが自分にとっては励みになっています。早稲田大学という環境で、氷上でもそれ以外の場所でも色々なことを学べたという点は、とても幸せだなと思います。

――後輩へメッセージをお願いします

 自分が今年副将を務めて、自分たちで決めたことをやり続けるのとはとても難しいことだなと思いました。後輩たちには続ける、継続といういうことを大切にしてもらって、自分たち以上の結果を来年残してほしいと思います。

FW田中裕人(スポ4=長野・光泉)

――インカレを終えて、引退試合となる早慶戦、どのような気持ちで臨みましたか

 4年間の集大成として、全て出し切ろうという気持ちでした。チームとして今年度は良い結果を残していなかったので、絶対に勝とうと思って臨みました。

――今日の試合内容を振り返っていかがですか

 3セット目で出たので、失点が続いた状況でこちらに流れを作る役割を求められていたのですが、あまり良いプレーができなかったことをすごく反省しています。

――4年間の早稲田でのアイスホッケー人生を振り返っていかがですか

 自分は高校まであまり強いチームに所属していなかったので、 1年生の時から強いチームが相手の試合に出させてもらえて、とても楽しかったです。4年目は怪我と病気が続いてしまったので満足にホッケーをできていない気持ちを早慶戦でぶつけたかったのですが、負けてしまったのでとても悔しいです。でもすごく良い4年間だったと思います。

――後輩へメッセージをお願いします

 リーグ戦もインカレ(日本学生氷上選手権)も良い結果を残せなかったので、頑張ってほしいです。また早慶戦も、必ずリベンジしてほしいという気持ちですね。

FW林幹汰(文4=東京・早実)

――インカレを終えて引退試合となる早慶戦だったと思いますが、どのような気持ちで望みましたか

 インカレのことは一旦忘れて、最後油断のできる相手ではないのでしっかりミーティングして、祭っぽい雰囲気になるけどチームで1年間やってきたことの集大成を出そうという気持ちで望みました。

――今日の試合内容を振り返っていかがでしたか

 結果的に4ー2で負けたというのは不完全燃焼ではあるんですけど、妥当な結果かなとは実感しています。慶應は勝つ気持ちを行動に移して対策しているところを、インカレのままズルズル早稲田は来てしまったのかなと試合を通して感じました。自分自身も心のどこかで勝てるんじゃないかと思っていたところがあったので、慶應に勝つ気持ちっていうのが負けたことに結果として出て悔しいですけど仕方がないなとおもっています。

――4年間の早稲田でのアイスホッケー人生を振り返っていかがですか

 一回もインカレ優勝とかタイトルが取れなかったことは悔いに残ったり悔しい思い出として残っているのですが、先輩後輩に恵まれて楽しいアイスホッケー生活が送れたので仲間には感謝したいなと思います。
――最後に後輩へのメッセージをお願いします

 今年自分が最高学年の年はインカレもトーナメントの組み合わせも良くてタイトル取れなかったり、早慶戦で50年ぶりに負けたり、ある意味貴重な体験ができた年でもあったので最高学年としては最後このような結果で終わってしまったことは悔しいし申し訳ない気持ちはあるのですが、このような貴重な経験ができた年を経験している後輩たちは悔しさを生かして、来年、今年よりもいいチームを目指して仕上げていってくれたらいいなと思います。期待しています!

DF有賀峻(社4=東京・白樺学園)

――インカレを終えて、引退試合となる早慶戦、どのような気持ちで臨みましたか

 18年続けてきたアイスホッケーに一区切りをつけて、納得できる試合で終われるようにしようと思って臨みました。

――今日の試合内容を振り返っていかがですか

 この1年間を通して課題になっていた得点力不足が顕著に出た試合だったと思います。

――4年間の早稲田でのアイスホッケー人生を振り返っていかがですか

 たくさんの人の支えがあってアイスホッケーができているということをとても実感する4年間でした。

――後輩へメッセージをお願いします

 まずは次の早慶戦でリベンジしてほしいです。あとはインカレ(日本学生氷上選手権)で僕たちの代の結果を少しでも超えていけることを期待しています。

FW上山響平(スポ4=北海道・駒大苫小牧)

――インカレを終えて、引退試合となる早慶戦、どのような気持ちで臨みましたか

 インカレでも全然結果を残せなかったので、結果を残そうという気持ちと、最後だから楽しもうというふうにやっていました。

――今日の試合内容を振り返っていかがですか

 攻めれてはいたんですけど、なかなか点が入らなかったり、苦しい時間帯が続いて、結局最後まで全然点が入らないまま負けてしまって、すごい悔しいです。

――4年間の早稲田でのアイスホッケー人生を振り返っていかがですか

 こんな経験っていうのはもう他ではできないと思います。すごい同期であったり、後輩たちだったり、あとは監督、コーチ、マネジャーとかに感謝していますし、楽しかったなというふうに思います。

――後輩へメッセージをお願いします

 最後、早慶戦で負けてしまいましたが、この悔しさっていうのを糧にこれから先も頑張って、来年は絶対に勝ってほしいです。

FW仲見颯太(スポ4=北海道・苫小牧東)

――インカレを終えて、引退試合となる早慶戦、どのような気持ちで臨みましたか

 インカレはベスト8という悔しい結果で終わったので、最後の集大成として4年間やってきたことを全て出さなきゃいけないのかなと。ここで4年生としての意地を見せるというのを試合へ臨むにあたって考えていました。

――今日の試合内容を振り返っていかがですか

 自分たちも決して悪いプレーだけだったわけじゃなくて良いプレーもできていたし、チームとしてやらなきゃいけないことはできていたのでそこは良かったと思います。それでも結果につながらなきゃ試合はだめなので、本当に反省しかないです。

――4年間の早稲田でのアイスホッケー人生を振り返っていかがですか

 自分が一番良かったところは人に恵まれたことだと思っています。良いメンバーでホッケーも日常生活もずっと一緒に過ごせてかなり楽しかったというのが、早稲田で過ごして良かったと思っているところです。

――後輩へメッセージをお願いします

 今回の早慶戦は50回ぶりに負けてしまって、かなり悔しい結果に終わってしまいました。ありえない結果を残していってはいけないと思うので、これを糧に来年からは勝てるチームを作っていってほしいです。
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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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