【Tリーグ日本ペイントマレッツ】スタッフコラム#4 “変化”
【Ⓒ日本ペイントマレッツ】
【第1マッチ(ダブルス)】芝田 沙季・大藤 沙月 2-0 小塩 遥菜・小塩 悠菜(11-6/11-6)
【第2マッチ(シングルス)】橋本 帆乃香3-1 安藤 みなみ(11-9/11-7/9-11/11-2)
【第3マッチ(シングルス)】横井 咲桜 3-1 木村 香純(8-11/11-6/11-4/11-10)
【第4マッチ(シングルス)】大藤 沙月 3-1 南波 侑里香(11-3/10-11/11-7/11-8)
【Ⓒ日本ペイントマレッツ】
ストレート勝利のキーポイントとなったのは、再びタッグを組んだ大藤選手・芝田選手の“おおしばペア”のダブルスだ。開幕戦ではこのペアで勝利したものの、どこか歯切れの悪さを感じた。その時とは明らかに“変化”していた。その理由を芝田選手に尋ねたところ「前の試合は練習できる時間が限られていたのですが、今回は3日間とれたのが大きかったです」と答えてくれた。それだけではなかった。芝田選手はこの対戦相手になるだろうと予測し、試合に入る前から、自分のやるべきこと、相手のしてくることを事前に対策して準備していたため自信を持って臨めたようだ。一方大藤選手はこう話してくれた。「芝田選手・横井選手・青木選手といろんなペアがあるんですけどみんなプレースタイルが違うので自分の戦い方や戦術を変えるようにしています。今回は芝田さんと組んだので芝田さんのやりやすいタイミングや打点でプレーすることを意識しました。そうすることで、2人の息もあって組みやすくなったと思います」複数の選手とダブルスを組むのは大変だとは思うが、ペアの選手によって変えたり合わせたりすることにより、対応力に磨きがかかっているのではないかと思った。これまでにない大藤選手の“変化”を垣間見た気がした。お互いがやりやすいように対応できるからこそ、信頼関係もより一層生まれ、今日の勝利にも繋がっている。見ていて安心できるペアだ。
Tリーグという団体戦では初戦のダブルスの勝敗が、シングルスに出場する選手たちの気持ちへ大きく影響を与える。勝利の流れを創りシングルスへ出場する選手へ最高のバトンを渡す大役を果たしてくれたのだ。今シーズンのマレッツの強みは、ダブルスペアの組み合わせが多くオーダーが読み辛いところだ。これからどんなペアで臨み流れを創っていくのか楽しみである。
【Ⓒ日本ペイントマレッツ】
“変化”その言葉には色々な意味がある。技術面、精神面、状況の変化。技術面でいうとボールの長短・高さ・回転・スピード・コース・打点(*)とたくさんの種類の“変化”がある。初めて卓球を見る人は、ただ小さいボールを速く打ち返しているというイメージがあると思うが、あの数秒でボールをコントロールしているのだ。速いボールだけが良いボールとは限らない。横井選手の変化のつけ方や相手の変化に対応する能力が上がっていると感じた。速いボールだけを打つのは相手の調子を上げてしまうことになりかねない。なぜなら、大体の選手は普段から速いボールを打っている時間の方が長いため、速いボールに対しては反射的に反応できる選手が多いのだ。そういう選手たちに対して有効的なのがボールのスピードをわざとゆっくりしたり、回転量をコントロールしたり、コースを変えたり…いわゆる変化(ギャップ)をつけることだ。それにより相手の状態を崩すことができる。そこで課題になるのが、変化をつける側もリズムが変わってくるために崩れてしまうことだ。それを克服するには、相当な練習量と質が重要になってくる。そのことを意識しながら横井選手は日々練習していると坂本コーチは教えてくれた。少しの工夫や意識だけでこんなにも違う。何も考えず見ていると安定してミスが減ったなとしか思わないが、深掘りしていくと繊細な部分が卓球の勝敗を決めていることがわかる。改めて卓球が非常に奥深いスポーツだと思った。
チームの雰囲気も、全員が優勝という方向に向かっている。今シーズンはきっとなにか起こしてくれるのではないかと、期待が大きくなった。一人ひとりの成長を見守るのが楽しみでならない。
まだ始まったばかりの彼女たちの挑戦はきっと自分自身を超えて『頂点』にたどり着くはずだ。マレッツの成長という名の“変化”から目が離せない。
Text by Yu.Uchinami/ Photo by Yusuke Nakanishi)
(*)ボールを打つタイミングのこと
☆Today's ONE Shot☆photo by Yusuke Nakanishi
勝利後に笑顔でベンチに戻る横井選手、この写真がチームの勢いを表しているようだ。 【Ⓒ日本ペイントマレッツ】
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