「歳をとると疲れがとれにくい」はホント?年齢と疲労回復の関係性
ところが、その常識は科学的には根拠が乏しいとした研究(1)が、アメリカの医学雑誌に発表されました。筋トレで疲労した筋肉の回復力とそのスピードは、加齢による影響をほとんど受けず、その差が生じる原因はむしろ個人のトレーニング歴によるというものです。
もし若い頃より疲れがとれないと感じているのなら、それは加齢ではなく単なる運動不足のせいかもしれないということです。
どんな研究内容だったのか
趣味程度の筋トレ経験とは、具体的に言うと「過去6か月間以上に渡って、少なくとも週に150分以上の筋トレを行っていた人たち」ということです。
同じタイミングで血液検査も行われ、筋肉のダメージと炎症の変化が記録されたとのこと。炎症がいかに回復するかは、筋トレで破壊された筋肉繊維が再生するプロセスの進行状況を見る物差しになるということです。
研究結果「回復力に明確な差異は発生しなかった」
絶対的な筋力そのものは当然ながら若者グループの方が勝っていたものの、その筋力を元に回復する相対的なスピードは、両グループとも同じでした。
筋肉のストレスと炎症が治まっていく過程も、両グループが同じ軌道で推移し、主観的な筋肉痛や張りの度合いについても同様です。年齢にかかわらず、普段からハードに筋トレを行っている人ほど回復力が高いという結果も見られました。
「年齢はただの数字に過ぎない」は正しいのかもしれない
そうした際、回復力と年齢との間には相関関係は出てくるのか。その疑問に答える回答は今のところ見当たりません。これは、今後の研究課題になるでしょう。
しかし、とりあえず「もう年だから」という常套句を、トレーニングを長い間休む理由、あるいは言い訳に使うべきではないということだけは、自分に言い聞かせてもよいのではないでしょうか。
参考文献: 1.Comparisons in the Recovery Response From Resistance Exercise Between Young and Middle-Aged Men
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28859014/
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