松山英樹は過去最高の状態でオーガスタへ 佐藤信人プロが予想するグリーンジャケットの大本命は?

野中真一

今年も魔のアーメンコーナーがドラマを生む 

数々のドラマを生んだ12番パー3。2016年、連覇を狙うジョーダン・スピースは痛恨の2度の池ポチャで大きくスコアを落とした 【Photo by David Cannon/Getty Images】

――マスターズで優勝できる選手の共通点は?

 アイアンの技術が高くて、アプローチが天才的に上手い選手です。オーガスタはドライバーショットはそこまでスコアに影響しません。多少、曲げても2打目を狙えますし、タイガー・ウッズや往年のセベ・バレステロスはドライバーをブン曲げながら勝っています。スコアメイクのカギになるのは2打目の距離感。アイアンが上手い選手は距離感が良くて、スピンコントロールができるのでスコアを伸ばしていけます。そして、スコアを落とさないために大事なのがアプローチ。オーガスタはグリーンを外したときのアプローチが恐ろしく難しい。タイガー・ウッズもフィル・ミケルソンもパトリック・リードもアプローチが抜群に上手い。松山選手もアイアンとアプローチの両方を兼ね備えたタイプです。

――今年、特に注目したいホールは?

 コースを改造したのは2番ホールです。2番パー5は昨年の難易度ランキングで18位、つまり最も簡単なホールでした。今年はティーイングエリアを約10ヤード左後方に下げたことで575ヤードから585ヤードになりました。ただ、事前に練習ラウンドを行ったローリー・マキロイなどは「言われなかったら気がついていないかも」とコメントしていて、選手にとってはそれほど影響がないかもしれません。2番ホールのティショットで気になるのは300ヤード付近にある右のフェアウェイバンカー。このバンカーに入れてしまうとアゴが高いのでグリーンを狙えなくなる可能性が高い。でも10ヤード伸びても、今の選手たちはほとんどこのバンカーを超えてしまうので関係ないかもしれません。

――勝敗のカギを握るホールは?

 やっぱり11番から16番までをどうやってまとめるかがポイントになると思います。過去のマスターズを見ていても17番、18番でトップの選手が入れ替わることはほとんどありません。スコアが大きく動くとすれば16番まで。その理由は池が絡むからです。11番、12番、13番がアーメンコーナーと呼ばれるのは3ホールとも池があるためにバーディもあるけどダブルボギー、トリプルボギーの可能性もあります。有名なところでは2016年に2年連続優勝まであと一歩に迫っていたジョーダン・スピースが12番ホールで2度も池に入れて優勝を逃しました。また松山選手も優勝した2021年に15番ホールの2打目をグリーン奥の池に入れてしまって、一気に2打差まで詰められてしまいました。最終日は11番から16番までが優勝争いのキーになると思います。特に12番ホールは風が読みにくく、ティーイングエリアで感じる風と上空の風が違っている。それもドラマを生む要因になっています。

マキロイのグランドスラムか? 新たな王者の誕生か?

マスターズに挑戦し続けているものの、なかなかグリーンジャケットに手が届かないローリー・マキロイ。今年こそ念願のグランドスラム達成なるか 【Photo by Gregory Shamus/Getty Images】

――なぜ、マスターズはメジャーの中でもここまで注目度が高いのでしょうか?

 元々、大会が生まれた背景として伝説のアマチュアゴルファーで唯一の年間グランドスラムを達成しているボビー・ジョーンズと実業家のクリフォード・ロバーツが招待試合としてはじめたのがマスターズ。今でも、選手は招待されて試合に出場するという伝統が残っています。そして、毎年同じ舞台であるオーガスタナショナルGCで開催されているので、幅広い年代のゴルファーがアーノルド・パーマー、ジャック・ニクラウス、そしてタイガー・ウッズや松山英樹の名場面を覚えているので、試合を見ていても楽しい。それと、他の試合は4日間という印象ですが、「マスターズ」の場合は前の週の日曜日からジュニアゴルファーのチップイン大会、そして月曜日には選手たちがコースに来て練習、火曜日には歴代チャンピオンが揃うチャンピオンズディナーがあります。水曜日にはパー3コンテストがあって、木曜日から日曜日までが本戦。私も会場に行ったときは1週間の長いオペラを観劇しているような壮大さがありました。

――今年はどんな展開になると予想されていますか?

 やはり優勝争いの軸はスコッティ・シェフラーだと思います。そこに世界ランキング上位のローリー・マキロイや松山選手がどのように挑んでいくのかが見どころです。もし、マキロイが優勝すれば悲願でもあるグランドスラム(4大メジャーで全て優勝すること)達成になります。もう一つ、マスターズで注目したいのはメジャータイトルを初めて獲得する選手がよくいるジンクス。そういう意味では今年は開幕から好調をキープしているザンダー・シャウフェレや昨年の年間王者ビクトル・ホブランなども個人的には優勝に絡んでいきそうな予感がしています。

解説・佐藤信人

 1970年3月12日生まれ。高校卒業後に渡米して、ネバダ州立大学に進学。帰国後に日本のプロテストに一発合格して、ツアープロに。日本ツアーでは通算9勝をマークして、2000年には年間平均ストローク1位に輝いた。現在はPGAツアー、日本ツアーの解説者としても活躍。

U-NEXTライブ配信予定

【U-NEXT】

<ライブ配信>
前日(パー3コンテスト):4月11日(木)午前4:00~6:00
第1日:4月11日(木) 21:30~12日(金) 8:30
第2日:4月12日(金) 21:30~13日(土) 8:30
第3日:4月13日(土) 23:15~14日(日) 8:00
最終日: 4月14日(日) 23:15~15日(月) 8:00

<見逃し配信>
各日ライブ配信終了後、準備が出来次第 ~ 5月14日(火)23:59

※天候の都合等により配信開始時間は変更となる場合があります。
※第1日~最終日は全5チャンネルのマルチチャンネルにて配信。詳細は下記をご確認ください。

<各チャンネルについて>
【CH1】日本語実況付きメイン中継
【CH2】ドライビングレンジ(練習場)
【CH3】フィーチャードグループ(注目組)
【CH4】アーメンコーナー(11番〜13番)
【CH5】15番・16番

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