【2022年のマリノスは、なぜ優勝できたのか?】2021年の成績同様の成績をほぼ維持できたマリノスの強さ
【【2022年のマリノスは、なぜ優勝できたのか?】2021年の成績同様の成績をほぼ維持できたマリノスの強さ】
今年も、2022年のJリーグでの横浜Fマリノスを、勝ち点や得失点のデータから振り返っていこうと思います。
気がついたら、かなり長文になってしまいました。。。
しかし、誰でも簡単に読める内容だと思っています。
最後まで楽しんでいただけたら、これ以上の喜びはありません!
もちろん、気になる部分だけでも、ぜひ読んでいただければと思います!
1. はじめに
素晴らしいシーズンでした!
昨年2021年のリーグ戦は2位と、優勝にあと一歩届かなかったシーズンでした。
だからこそ、今年2022年のリーグ戦に期待する思いは、みなさん強かったのではないでしょうか?
そして、2022年、リーグ優勝を味わうことができ、一人のマリサポとしては嬉しい限りです。
今年最後にスタジアムで観戦したガンバ大阪戦の写真 【よたろ】
具体的には、「2021年に優勝できなかったマリノスは、なぜ2022年に優勝できたのか?」という問いに対して、「2021年」と「2022年」の勝ち点や得失点データを比較し、自分なりの答えを模索していこうと思います。
僕の中では、「単純に、2021年より2022年の方が成績が良くなったから、2022年は優勝できたんだ!」という安直な仮説を持っています。この仮説が正しいのか、データを見て検証し、掘り下げていければと思っています。
今回は「スポーツアナリティクス Advent Calendar 2022」に参加させていただきました。
完全に趣味でやっているため、「アナリティクス」と言えるレベルではない記事だと思いますが、2020年あたりから気になっていたので、思い切って参加させていただきました。よろしくお願いいたします!
2. 注意事項
3. 2021年に優勝できなかったマリノスは、なぜ2022年に優勝できたのか?
【よたろ】
3-1 勝ち点は、2021年よりも、やや少ない2022年…
勝ち点と試合数の比較 【よたろ】
勝ち点を比較すると、2021年は79、2022年は68と、2021年の方が高い勝ち点だとわかります。
ただし、試合数を見ると、2021年は38試合、2022年は34試合と、試合数が4試合差があることもわかります。
試合数の違いについては、2021年のJ1チーム数は20チームと、普段より2チーム多かったことが影響してます。
前提として、試合数が異なるため、単純に「勝ち点」という数値で比較すると、混乱を招いてしまいます。
そこで、「1試合あたりの勝ち点(勝ち点 / 試合数)」に変換して、勝ち点を比較してきました。
1試合あたりの勝ち点の比較 【よたろ】
そのため、昨年2021年よりも、今年2022年は成績が若干悪くなった、と捉えることもできます。
2022年優勝できたのに、2021年よりも1試合あたりの勝ち点は低くなっている、という点は不思議ですね…もう少し見てきましょう。
3-2 勝率も、2021年より、やや少ない2022年…
試合結果の割合 【よたろ】
青が勝率、黄が引率、赤が負率です。
左右のグラフを比べると、勝率が2021年の63.2%から2022年の58.8%へ、4.4%減少しており、勝率が若干悪化したことがわかります。
一方で、負率は2021年の18.4%から2022年の17.6%へ、0.8%減少しており、負率は若干改善したことがわかります。
勝率も2021年と比べて2022年が下がっていたんですね…
3-3 2021年よりも得点数は減り、失点数は増えた2022年…
得点数と失点数も、1試合あたりの数値で比較しました。
1試合あたりの得点数と失点数 【よたろ】
まず、1試合あたりの得点数を見ると、2021年の2.13から2022年の2.06へ、若干減少しています。
次に、1試合あたりの失点数を見ると、2021年の0.92から2022年の1.03へ、若干増加しています。
つまり、2021年よりも、2022年は得点数でも失点数でも、若干ながら数値が悪化している、とわかりました。
3-4 【まとめ】2021年より、成績はやや悪くなっていた…
最後に、3章の内容をまとめます。
2021年に優勝できなかったマリノスは、なぜ2022年に優勝できたのか?
仮説
2021年より2022年の方が成績が良くなったから、2022年は優勝できたんだ!
結論
昨年2021年よりも、今年2022年のマリノスは、リーグ戦での成績がやや悪くなったため、仮説は間違っていた
4. 2021年より成績がやや悪くなったマリノスは、なぜ2022年に優勝できたのか?
【よたろ】
私の仮説では、「2021年より2022年の方が成績が良くなったから、2022年は優勝できたんだ!」と思っていました。
が、その仮説は見事に外れました。
そこで、4章では、問いを改め、「2021年より成績がやや悪くなったマリノスは、なぜ2022年に優勝できたのか?」とします。
マリノスの成績がやや悪くなったにも関わらず順位は上がった、ということは、「他のチームがもっと成績が悪くなったのではないか?」という仮説が立ちますね。
そこで、2021年に優勝し、2022年は2位であった、川崎フロンターレの成績を3章と同じように確認しましょう。
4-1 2021年の圧倒的な勝ち点を、2022年は維持できなかったフロンターレ
1試合あたりの勝ち点:マリノスとフロンターレで比較 【よたろ】
青が2021年、赤が2022年のデータを表しています。
このグラフを確認すると、2021年から2022年にかけて、両者とも試合あたりの勝ち点が減少したことがわかります。
マリノスの1試合あたりの勝ち点は、0.1減少。
フロンターレの1試合あたりの勝ち点は、0.5減少。
フロンターレは、マリノスよりも、1試合あたりの勝ち点の減少値が大きいことがわかります。
このグラフから、2021年から2022年にかけて、マリノスよりも、フロンターレの方が成績が悪くなっている、と言えます。
(今思うと、2021年のフロンターレの1試合あたりの勝ち点が2.42は、驚異的な数値ですね…)
4-2 2021年から勝率・負率が大幅に悪化したフロンターレ
試合結果の割合:マリノスとフロンターレで比較 【よたろ】
青が勝率、黄が引率、赤が負率です。
このグラフを確認すると、マリノスに比べ、フロンターレは勝率も負率も成績が大幅に悪化。
具体的には、勝率が2021年の73.7%から2022年の58.8%へ、14.9%の大幅減少。
それに伴い、負率も2021年の5.3%から2022年の23.5%へ、18.2%の大幅増加。
結論として、2021年から2022年にかけて、マリノスよりも、フロンターレの方が、勝ち点が大幅に減少したことがわかりました。
4-3 【まとめ】:2021年の成績を維持できなかったフロンターレ、ほぼ維持できたマリノス
マリノスの成績よりも、フロンターレの成績は、2021年から2022年にかけて悪化していることがわかりました。
フロンターレの成績が大きく悪化した結果と比較すると、「マリノスは2021年から2022年にかけて、成績がやや悪化している」と捉えるよりも、「むしろ2021年同等の成績を、2022年のマリノスはほぼ維持できた」と捉えた方が良いかもしれませんね。
では、4章の内容をまとめます。
2021年より成績がやや悪くなったマリノスは、なぜ2022年に優勝できたのか?
仮説
他のチームがもっと成績が悪くなったのではないか?
結論
2021年同等の成績をフロンターレは維持できなかったが、マリノスはほぼ維持できたことが優勝できた一要因である
4-4 【補足】:J1で上位の成績を毎年維持することは至難の業である
成績を維持する=現状維持、のような比較的容易な印象を持つかもしれませんが、大前提として、J1リーグにおいて上位の成績を翌年も維持し続けることは至難の業である、と思っています。
(特に、2021年のフロンターレの勝率73.7%と、かなり成績が良かったため、2021年の成績を維持するのは極めて困難だと思います。)
上位の成績を維持することを難しくする要因例をまとめてみました。
上位の成績を維持することが難しい要因例
さらなる成長を求めて、欧州リーグへ移籍する流れがある。補強に失敗した結果、戦力ダウンしてしまう可能性もある
フロンターレだと、三笘、旗手、田中碧らが該当する
https://nordot.app/797754905950208000
上位になった場合、ACLでの試合も加わる。さらに、主力選手の代表戦への招集など、過密日程により、十分な準備ができない状態に陥る可能性が高い
https://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2022/04/14/kiji/20220414s00002181072000c.html
選手の怪我は、いつ起こるか予測するのは難しい。立て続けに怪我人が出てしまう状況もある
怪我人の穴を埋めるような補強がうまくできないケースもある
https://www.soccerdigestweb.com/news/detail/id=106456
例えば、ヴィッセル神戸が大量に補強をして、チームが強くなり、上位を取る可能性もある
Jリーグの順位は相対評価である。すなわち、他のチームが強くなり、上位をとれば、上位に上がれる枠は、1つ少なくなる
みんな能力が高くで上手だから、みんな優勝でいいじゃん!という全員ハッピー状態は作れない仕組みが相対評価である
https://www.vissel-kobe.co.jp/news/article/19005.html
5. 2021年とほぼ同等の結果を、なぜマリノスは2022年も残せたのか?
【よたろ】
また、4-4章では、J1で上位の成績を毎年維持することは至難の業であると考えていることにも触れました。
そこで、最後に5章では、「2021年とほぼ同等の結果を、なぜマリノスは2022年も残せたのか?」という問いに対して、自分なりの答えを出していこうと思います。
成績をほぼ維持できた要因は、「移籍した主力選手もいたが、その分、補強がうまくできたからではないか?」という単純な仮説しか立ちませんでした。
こんな単純な要因だけではないと思うと信じて、2021年と2022年の得失点データから分析してみましょう。
5-1 2021年から2022年での主な変化
まずは、2021年から2022年での主な変化を見ていきましょう。
5-1-1 移籍や加入による選手の変化
マリノスは、意外と2021年のメンバーから主力選手が多く移籍しました。
その結果、多くのメンバーを補強しました。
■移籍した主な選手
FW
オナイウ 阿道
前田 大然
MF
天野 純
扇原 貴宏
DF
ティーラトン
チアゴ マルチンス
…
FW
アンデルソン ロペス
MF
西村 拓真
藤田 譲瑠チマ
DF
永戸 勝也
エドゥアルド
…
とはいえ、例えば、昨年2021年得点王を獲得した前田大然は、リーグ戦で23得点も獲得してます。
移籍した選手の成績を、補強した選手でカバーできたのか?という視点を持ちつつ、2022年と2021年の得失点を比較してみます。
5-1-2 ACL参加やW杯開催による日程の変化
昨年2021年はJ1のチーム数が20チームであり、今年2022年よりもリーグ戦の試合数が4試合多い状況でした。
しかし、2021年は、ACL出場なし、W杯も開催なし、でした。
ACL参加による国外での試合開催や、冬のW杯開催に伴う11月5日でのJ1閉幕の影響で、2022年はさらに過密日程になっていたと思われます。
2022年が2021年よりも過密日程であったとすると、2021年よりも多くの選手を起用するケースが増えると思われ、全員が活躍するチーム作りがポイントになりそうです。
より多くの選手が活躍できたのか?という視点も持ちつつ、2022年と2021年の得失点を比較してみます。
5-2 WGの活躍により、CFの得点数をカバーした2022年
マリノスの得点ランキング 【よたろ】
まず、単純に得点を獲得した選手数を比較してみると、2021年は13人だったのに対し、2022年は16人と増えています。(オウンゴールを除いてます。)2022年の方が、試合数が4試合少ないのに、2022年の得点者数が多いのです!
2022年のリーグ戦で、試合に出場したマリノスのフィールドプレイヤーが24人でした。(Jリーグ公式サイトよりカウント)
つまり、24人中16人が得点を記録してます。
次に、得点ランキング上位を見ましょう。
得点ランキング上位赤:移籍した選手、黄:加入した選手 【よたろ】
2022年に加入したアンデルソンロペスは12得点、西村は9得点。
加入した選手だけでは、2021年の前田大然・オナイウの得点数はカバーできてないようです。
では、どうやって昨年とほぼ同様の成績を維持できたのでしょうか?次に、ポジション別の得点の割合を比較したグラフをご覧ください。
ポジション別での得点の割合赤:CF、青:WG 【よたろ】
ポジション別に色分けしています。
注目していただきたいのは、赤のCF(センターフォワード)と青のWG(ウィング)の割合の変化です。
2021年から2022年にかけて、CFの割合は減っていますが、WFの割合は大幅に増加しています。
得点ランキングの表を再度見ていただくと、2021年と比べ、2022年はウィングの選手(水沼、エウベル、仲川、宮市)の得点数が増加していることがわかりました。
得点ランキング赤:主にWGで出場する選手 【よたろ】
やはり、補強した選手だけの活躍だけが、成績を維持できた要因ではなさそうですね!
5-3 アシスト数も得点数同様、2021年より多くの選手が記録
マリノスのアシストランキング 【よたろ】
2022年の方が、試合数が4試合少ないのに、2022年のアシスト者数が多いのです!
過密日程で選手をローテーションしたとしても、アシストを誰でもできるチームになっていた、と捉えられそうですね。
誰が出ても、得点に関与できるチームになっていたと思います。
また、2021年の移籍した選手と、2022年の加入した選手で、アシスト数を比較してきます。
アシスト数ランキング(移籍・加入した選手のみ)赤:移籍した選手、黄:加入した選手 【よたろ】
(何度もいいますが、2021年の方が試合数が4試合多い、という点も忘れてはいけません。)
5-4 2022年は、PKでの失点が0
続いては、失点に関するデータも確認してみましょう。
ますは、シチュエーション別の失点数をまとめました。
シチュエーション別の失点数 【よたろ】
シチュエーション別に色分けしています。
緑:Play(セットプレー以外からの失点)
黄:CKからの失点
赤:FKからの失点
青:PKからの失点
2021年は合計で4回ありましたが、2022年は0回です。
PKからの失点をした試合は、成績が悪くなる傾向があります。
昨年2021年のPKでの失点をした3試合結果を確認しました。
2節 広島戦:引き分け
6節 G大阪戦:勝ち
14節 鹿島戦:負け
2021年の全試合での平均勝ち点が2.07であることを踏まえると、PKで失点した試合に期待できる勝ち点は低い、と捉えることができそうです。
つまり、PKでの失点をしなかった2022年は、それだけで勝ち点の低下を回避できた、とも言えるかもしれません。
とはいえ、3章で紹介した通り、2021年よりも1試合あたりの勝ち点は低下しています。どんな要因で勝ち点が低下したのでしょうか??
さらに別軸で失点を確認してみましょう。
5-5 終盤での失点が、ほぼ2倍に増加した2022年
時間帯ごとの失点の割合 【よたろ】
15分刻みで、失点数の割合を色分けしています。
ここで注目してほしいのは、右側のオレンジ(61-75分)と青緑色(76-90分)の部分です。
2021年の61-90分での失点の割合が22.9%だったのに対し、2022年は43.2%と、ほぼ2倍になっています。
特に、青緑色(76-90分)の失点数の割合が高くなっていますね。
2022年の76-90分に失点した9試合を確認してみましょう。
1節 C大阪戦:引き分け
2節 柏戦:負け
11節浦和戦:引き分け
13節湘南戦:勝ち
19節清水戦:勝ち
24節川崎戦:負け
26節京都戦:勝ち
27節磐田戦:負け
32節G大阪戦:負け
2022年の全試合での平均勝ち点が2.00であることを踏まえると、76分以降に失点した試合に期待できる勝ち点は低い、と捉えることができそうです。
そのため、終盤での失点数が増えたため、獲得できる勝ち点を減らしてしまった、と考えられます。
5-6 【まとめ】:2021年とほぼ同等の結果を維持できた結論
2021年とほぼ同等の結果を、なぜマリノスは2022年も残せたのか?
仮説
単純に、補強がうまくできたからではないか?
結論
得点数がほぼ維持できた要因
得点は、補強した選手の活躍だけでなく、WGの選手の得点力が高まったこと
アシストは、移籍した分を加入した選手で完全に補完できたこと
得点者数とアシスト者数、共に過密日程であった2022年は増加し、どの選手が出ても得点に関与できていた
失点数がほぼ維持できた要因
終盤での失点が増えたものの、PKでの失点が0になったこと
6. 終わりに
改めて、定量的にデータを見ていくことで、「自分で思っていた感覚とずれていたな…」「やっぱりそうだよねーん」など、納得感を持ってマリノスの2022年を振り返れたことが、マリサポとしての好奇心が満たされて、すごくよかったです。
好奇心が満たされたと同時に、「なぜ終盤での失点が増えたのか?」など、さらに深ぼれる要素もたくさんあり、「今回は表面的で当たり前のことしか知れなかったなー」という感覚もあります笑
まあ、趣味でやっているだけなので、表面的でも良いのかも知れませんね。
かなり久しぶりにNoteで記事を書くことができました。
個人的には、今年は、仕事もプライベートでも大きな挫折の連続のさらに連続という状態で、Noteを書くどころではありませんでした。
とはいえ、マリノスが優勝したシーズンを振り返らないわけにはいかない、という、ただただマリサポとしての好奇心に駆られて、今回楽しくNoteを書くことができました。
2,3週間ほどかけて、データを整理し、グラフを作り、文章を書き上げました。特に、グラフ作成までの処理は、手動部分も多く、思った以上に時間がかかってしまいました。
グラフを作成するまでの流れ 【よたろ】
2023年シーズンが開幕する頃には、仕事もプライベートも落ち着いている状態になっている(はず)なので、隙間時間でNoteやYouTubeで、マリノスの得失点データの分析を上げていこうと思います。
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